FC2ブログ
2019
03.22

理想の恋の見つけ方 100

「横浜横須賀道路を走っていた石田章夫の運転する車は逗子で下りたようです。しかしそこから先の行方がまだ分かりません」

その言葉に目だけで問い返す男の言わんとする事を理解出来るのは西田だからだ。

「ただ葉山には以前高森隆三のものだった別荘があります。今そこは地元の不動産会社の所有になってはいますが、その不動産会社と川上真理子は過去の仕事上の付き合いから懇意にしていたこともあり今でも真理子にはその別荘を自由に使っていいと言っているようです。恐らくそういったことから川上真理子と石田章夫は、その別荘にいるのではないかと思われます。そして牧野様もそちらにいらっしゃるはずです」

ヘリは既に三浦半島上空にいて、眼下には逗子の街の明かりが見えた。
そしてそのすぐ隣が葉山だ。

「それにしても不思議なのは、何故川上真理子が牧野様に対しこのような行動に出たということですが、やはり我社に対する恨みからでしょうか」

西田は社長の楓から司と牧野つくしとの関係を報告するように言われ状況を報告していたが、あるとき楓から言われたのは、『まるであの子は北風ね』の言葉。

それは「北風と太陽」という童話の北風のことだが、物語の内容は、北風と太陽のどちらが強いかということから力比べをすることになり、どちらが道を歩く旅人の上着を脱がせることが出来るかを競った話。

北風は冷たい風で旅人の上着を吹き飛ばそうとした。
しかし旅人は寒さに震え、上着をしっかりと押さえ脱がせることは出来なかった。
だが太陽は優しい暖かさで旅人を包み、やがて旅人はその日差しの強さに自ら上着を脱いだ。
つまり急いては事を仕損じるではないが、心から望むことなら時間をかけて行うべきなのだが、女を好きになったことがない我が子はそれが分からなかった。

『いくら自分の力を見せつけることをしても、牧野さんのような女性には通じないわ。
司は彼女に平手打ちされたそうだけど、牧野さんはわたくしの幼馴染みであり彼女が師事する副島の教え子よ。研究熱心であることは間違いないけれど意志が強い女性よ。乱暴に彼女の心を自分の方に向けようとしても無理。それよりもゆっくりと時間をかけて彼女の心を自分に向けさせることをしなくては』

西田は社長であり母である楓が我が子を試すではないが、心に分厚いコートを纏った女性を手に入れることが出来るか。男としての力量を試しているのではないかと感じていた。
だから姉を除き、女に叩かれたことがない我が子が平手打ちされたことをある意味喜んでいたのは間違いない。
それに息子は周りにチヤホヤされることを嫌っている。
自分の言いなりになるような女性は息子の好みではないことを知っている。
だからその息子が撥ね付けられても欲しいと思う女性こそが道明寺には必要だと考えているはずだ。

そして西田は自分が投げかけた問い掛けに対する男の返事を待っていた。


「西田。川上真理子がうちの会社というよりも俺に恨みを抱いていることは明らかだ。だがそうだとしても、それだけとは言えないはずだ」

「と、申しますと?」

「あの女は牧野つくしが俺と付き合ってると思ってる。あの女の贅沢な暮らしを奪ったのは俺で俺に恨みがあるとしても俺に手を出すことが簡単じゃねえと分かっている。だから牧野つくしを狙ったってことだが、あの女は牧野つくしが嫌いってことだ。人間は誰でも会った瞬間から虫が好かねぇ人間がいる。その人間は自分にとっては悪だ。害をなす相手としか考えねぇ。牧野つくしは高森隆三の誕生パーティーであの女と初めて会った。その時のあの女の顔は笑みを浮かべていたとしても眼はそうじゃなかった。あの時の川上真理子の眼は相手を見下すような眼をしていた」

司はビジネスで大勢の人間に会う。
顔には笑みを浮かべていたとしても、眼を見ればその人間の心が分かる。
そして司に向けられる眼に浮かぶのは畏怖の念であり、誰も彼と争おうとは考えなかった。
だがこれから司が相手にしようとする女は既に思慮分別を失っていると言えた。

「西田。今の川上真理子にあるのは人を憎む心だ。今のあの女の行動は腹を括っての行動とは違う。あの女の心は壊れている。罪を犯すことを何とも思ってねぇ危険な存在だ」

だからこそ、川上真理子の居場所を早急に見つける必要があった。
その時だった。
西田の電話が鳴り、番号を確認すると出た。

「手配中のレンタカーが葉山で見つかったそうです。場所は先ほど話していた以前高森隆三が所有していた別荘です。ですが中に人はいなかったそうです」



にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
関連記事
スポンサーサイト




コメント
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2019.03.22 05:58 | 編集
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2019.03.22 07:41 | 編集
このコメントは管理人のみ閲覧できます
dot 2019.03.22 12:28 | 編集
F***e様
こんにちは^^お久しぶりです。お元気でしたか?
なんと、こちらのお話は100話まできてしまいました。
え?サスペンス劇場の音楽が鳴っているんですね?
確かにそのような雰囲気が!
そして司は間に合うのか。つくしはあの時のように海に飛び込んでしまうのか。
司VSサメ?(≧◇≦)
この先はまだ不透明な部分がありますがお付き合い頂けると幸いです。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.03.23 20:44 | 編集
イ**マ様
わー100話まで来てしまいました(笑)
拍手ありがとうございます!
そうなんです。真理子は恐ろしい女です。
そしていつも嵐に巻き込まれるのは牧野つくしという名前の女。
司の足音はすぐそこまで来ているのですが、どうなるのでしょうねぇ(笑)
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.03.23 20:48 | 編集
司*****E様
おはようございます^^
真理子の居場所を突き止めましたが一歩遅かった!
副島教授と楓は幼馴染みだったこともあり、つくしのことは楓の肝入りです。
さて司はつくしの太陽となるのでしょうか。彼女の心を解かすことが出来るのでしょうか。
そのためには今頑張らなくてどうするんですか!(笑)
そうです、まずはつくしの救出。そこから距離を縮めるしかありませんよねぇ。

100話まで来てしまいました。
まさかという思いですが、司よ。早くつくしのことを掴まえて!(;^ω^)
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.03.23 20:59 | 編集
管理者にだけ表示を許可する
 
back-to-top