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2019
03.18

理想の恋の見つけ方 97

つくしは酒に弱いことを自覚している。
だがどうしても飲みたい時もある。
それは道明寺司に騙されていたことで傷ついたからなのか。
それとも嘘をつかれていたことに腹が立っているのか。
どちらにしても騙すも嘘をつくも言葉としての意味は同じこと。そして騙され嘘をつかれた自分がバカだとしか言えなかった。

だから昨日はおいしい料理を食べて憂さを晴らしたかった。
そして丁度研究室を訪ねて来た若林和彦と桜子と3人で雑誌に掲載されていたイタリア料理の店へ出かけ、ワイングラスを2杯空にしたところで火照った顔で化粧室に行った。
そこまでは覚えている。だがそこから先の記憶がない。

そして目覚めた部屋の中は明るかった。
だが今の状態がいつもの朝と同じかと言われれば違うと言えた。
それは頭が痛いということと、喉が渇いて仕方がないということだが、その理由は簡単だった。いつもなら1杯がいいところのワインを2杯も飲んだのだから頭が痛くなるのは当然だ。それに喉が渇くのはアルコールのせいだということも分かっている。

そして、てっきりここが自宅だと思っていたが、目覚めたここが自分の部屋ではなく、見覚えのない場所だと気付いたとき、昨日の夜の記憶を取り戻そうとしたが、化粧室に行った先の記憶は戻ってはこなかった。
と、同時に頭の痛みとはまた別の痛みが感じられ、それがアルコールのせいではないと気付くに時間はかからなかった。

「何これ…..」

つくしは両手両足を縛られた状態でベッドに横たわっていた。
その瞬間押し寄せたのは何故自分がこんな目に合っているのかという思い。
その思いがそのまま口をついた。

「ちょっと待って….これ一体どういうこと?」

すると、今が朝だと思っていることが確実だとは思えなくなっていた。
つまり二日酔い状態で両手両足を縛られた状態の女に時間の感覚などなく、ここにこうしているが、ここがどこであるかと同時に今が何時かということが全く分からなかった。
それにこの状況にどんな結論が出せるというのか。出せるとすれば誘拐されたということと、まさか自分がという思いだ。
何しろ牧野つくしは、ただの大学准教授で金持ちでもなければ盗み取られるような高度な科学的な研究をしているのではない。生理学や医学分野でノーベル賞を取るような研究をしているのではない。専門は海洋生物学で研究テーマは深海ザメの生態学的研究であり、世界的に注目される分野ではない。研究費に事欠くただの准教授で誘拐したところで何の利益にもならないはずだ。
だからどうして自分がこんな目に合うのかが分からなかった。

その時だった。
部屋の扉が開き、ひとりの女性が入って来た。






***







「それで?」

『はい。30分の間に店の裏の道を走った車は多くはありません。それから他の店の防犯カメラの中にあの道を通過した車のナンバーを映しているものがあります。今その画像を分析して所有者を調べていますが時間がかかります』

「どれくらいかかる?」

『1時間もあれば可能かと』

「急げ。時間は一分一秒でも早い方がいい」

『それから川上真理子ですが、今日は店には出ていません。それに店に届けている自宅となっている場所はデタラメです。そこに住んでいる形跡はありません』

司は車内でかかって来た電話に出ると報告を受けていた。
川上真理子が牧野つくしを誘拐した。そのことは疑念であり確固たる証拠はない。
だがビジネスの世界で培われた直感というものは、あなどれない。
だからその直感を信じて行動していたが、早急に手を打つ必要がある。もし。いや。犯人が川上真理子なら悪知恵を働かせたということだが、狡猾な女狐は司に向けられるはずの敵意を牧野つくしに向けた。それはいみじくも牧野つくしが司の急所であることを知っていたと言ってもいい。

『それから客の方ですが、足しげく通っている男がいます。石田という名で地方の建設会社の跡取りです』

車内は運転手の他に警護の人間が二人乗っているが、無駄口を叩く者はいない。
そしてそこに緊張感が感じられるのは、司が怒りの感情を抱いているからだ。

『その石田という男ですが、今日は地元にいません。会社には出てなかったようです』

「つまりその男は_」

『東京にいる可能性が高いと思われます』

「川上真理子と一緒だと?」

『はい。恐らくそうだと思われます。これから写真を転送しますが、1ヶ月前に銀座のクラブで撮られた写真です。川上真理子の隣にいる男がそうです』

司はタブレット端末に送られてきた写真を見た。
そこに写っているのは一見して気の弱そうな男。女の言うことならどんな命令でも訊くといったタイプだ。
つまりあきらが言っていた言葉に訛りのある男とは、この男のことだと確信した。

「川上真理子の所在もだが、この男の居場所を突き止めろ」



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コメント
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dot 2019.03.18 06:08 | 編集
司*****E様
おはようございます^^
目覚めてみれば、ここは何処状態。
何が起きたのか?ワインを2杯飲んで記憶が飛んだ?
お酒に弱いとそんなこともあります。それに飲みたい日もありますよね?
でも両手両足を縛られている状態は異常です。我が身に何が起こったのか?
怖いですよね?そしてそこに現れた女性はどんな態度を取るのでしょう。
そして司!つくしに魔の手が迫ってます。居場所を特定して助けに行くことが出来るのでしょうかねぇ。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.03.19 21:47 | 編集
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