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2019
03.17

理想の恋の見つけ方 96

「副社長。ここのレストランは化粧室の向こうに裏口があります。普段そこは施錠されていて従業員以外の出入りはありませんが、内側からは誰でも開けることが出来ます」

裏口の向こうは一方通行で車1台が通れる道。
華やかだと言われる六本木の裏通りは意外にも静かだった。
化粧室に行くと言った女は、荷物を残した状態で姿を消した。
だがそれは自らの意志で消えたのではない。

「裏口の防犯カメラを確認しましたが、男性がひとりと女性が二人出ていく様子が確認出来ました。ただ、中央にいる女性は足元がふらついているのか、両脇を男性と女性が抱えるようにしています。その様子からその女性は意識が朦朧としていると思われます」

東京タワーを頭上に仰ぐ六本木は、どこへ行くにも交通の便がいい。
交差点は五つの方向に別れ車の流れを止めることはない。
そしてここは夜になれば様々な人種と幅広い年齢の人間が集まってくる場所だ。そんな場所で悪酔いした女が友人に支えられて歩いている姿はよくある光景だ。そして女はどこかで車に乗せられたはずだがタクシーではない。それは防犯上の理由から車内の様子が録画されていることがあるからだ。

「この30分の間にこの界隈を通行した車を調べろ。ここは一方通行だ。防犯カメラの角度によってはナンバーも分かるはずだ。それから川上真理子の所在を調べろ。目撃者を見つけろ。どんなことでもいい。女が二人と男がひとりだが女は変装している可能性もある」

司が指示を出すと男たちは、すぐに行動に移した。

「まさか…..牧野先輩が連れ去られたってことですか?でもどうして?」

桜子が女性のボディーガードと飛び込んだ女性用化粧室には誰もいなかった。

「川上真理子だ。あの女が牧野つくしを連れ去ったはずだ」

「道明寺副社長。川上真理子って誰ですか?」

和彦はそう訊いたが、「川上真理子は高森真理子だ。高森開発の社長だった高森隆三の妻だった女だ」と訊かされピンと来たようだが「でもどうして牧野さんが?」と言った。

「理由か?それは俺が高森開発を潰したと恨んでいるからだ」

「でもあの会社は現職の大臣に借用書無しで4億の金を貸した。それが法に触れたのは勿論ですが、そのことをきっかけに色々なことが明るみになりました。その中には粉飾決算の話もありました。だからあの会社が潰れたのは決して道明寺副社長のせいではないはずです。それに高森真理子が気に入った男性社員を自分専用の運転手にしていたという話もありました。不正経理と多くのスキャンダルがあの会社をダメにしたことは誰もが知ることです。だからどうして高森真理子が牧野さんを連れ去る必要が__。そうか….。道明寺副社長は高森隆三の誕生パーティーの時、牧野さんを同伴されていましたが、高森真理子は牧野さんが道明寺副社長の恋人だと思っている。そういうことですね?」

和彦がかつて家庭教師をしていたつくしと再会したのは、高森邸で行われたパーティーだったが、あの時のつくしは司の同伴者だった。

「そうだ。あの時、牧野つくしをパートナーとして同行した。その時あの女は勝手に勘違いしたんだろうが、ま、俺としては、女除けのために同行したことは間違いない」

あの頃の司は、間違い電話から始まった関係を利用して牧野つくしの本性を暴こうとしていた。それはどんな女も裏表がある。女は平気で嘘をつく生き物だということを暴こうとしていた。
そんな状況のなか、司は高森開発が持つ駅前の土地を手に入れる為に招待されていた隆三の誕生パーティーへ出向き真理子に会った。
そしてその後。社長の高森隆三に会う為に訪れた会社で待っていたのは真理子で、馴れ馴れしく司の隣に座り身体を寄せ、あの土地は売るつもりはない。あの土地の開発がしたいなら自分の所と組めと言って来た。だから高森開発と現職の大臣との関係もだが、真理子が自分達夫婦の性癖のため社員に手を出していること。そして監査法人を巻き込んだ大掛かりな経理操作がされていることを知っていると告げた。

「待って下さい。じゃあ先輩は道明寺副社長に対して恨みを持つ高森真理子って人に誘拐されたってことですか?それって先輩は何の関係もありませんよね?」

「そうだ。牧野つくしは全く関係ない」

嫉妬や羨望といった感情は人間誰しもが一度は持つ感情だが、恨みは自分が不幸になったことに対しての感情であり悪意に満ちている。
そしてそれが向けられた人間はそのことに気付かないことが殆どだ。

「信じられない…..。先輩はあなたに心が傷つけられたばかりなのに、また傷付くってことですか。それも今度は心だけじゃなくて身体に危害が加えられる可能性があるってことですよね?」

「ああ。図書館で書庫に閉じ込められことも、あの女が関係しているはずだ。あの女は俺に会社を潰され贅沢な暮らしを奪われたと思っている。それに自分に靡かない男はいないと思うような女だ。そんなプライドの高い女のプライドを踏みつけた男に対する恨みから誰かを使って俺の代わりに牧野つくしを傷つけようとしているはずだ。だが心配するな。絶対にそんなことはさせない」

司はきわめて現実的な性格だ。
感情に左右されないことが自慢とも言えた。
だが今のこの状況は彼の感情を激しく揺さぶった。

司は携帯電話を取り出すと電話をかけた。

「あきらか?俺だ。お前が川上真理子を見たバーはどこだ?___そうか。それから一緒にいた相手の男は訛りがあったそうだな?___わかった。___悪いが今忙しい。全てが終ったらまた電話する」

そして電話を切ると裏口から外へ出たところに止まっていた車に乗った。



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コメント
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dot 2019.03.17 09:38 | 編集
司*****E様
おはようございます^^
真理子さんは何に対しても行動力がある(笑)確かにそうですね。
どんなことにも積極的なのはいいことなのですが、悪事にも頭が働くとすれば、つくしの身にピンチが!
すでにお話が進んでいますので、こんな感じになりましたが、ここから先は司の力が示されることになるのでしょうかねぇ^^
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.03.19 21:37 | 編集
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