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2019
03.16

理想の恋の見つけ方 95

「それにしても牧野さん遅いですね?三条さん女性用の化粧室ってこんなに混んでるものなんですか?」

和彦の言葉に時計を見た桜子は確かに時間がかかり過ぎると感じていた。

「そう言えば遅いわね......。かなり早いペースで飲んでたから、もしかして飲みすぎて気分でも悪くなったのかしら。ちょっと様子を見て来るわ」と言って席を立ったが、司はそんな桜子に言った。

「手洗いに行ったのは何分前だ?」

「え?何分前って道明寺副社長がいらっしゃる前ですけど?」

司が桜子と和彦のいるテーブルで話し始めてから少なくとも10分は経っていた。
女は男と違い化粧室で長い時間を過ごすことが多い。それは司も経験上知っている。だが10分以上その場所に留まるならそれなりの理由がある。そのひとつは酒を飲みすぎたことで気分が悪くなるということ。だが司のアンテナに引っ掛かったのは、理恵という名で銀座のクラブでホステスをしている高森開発の社長だった男の妻、いや今は離婚して名前が変わった川上真理子のこと。
そして司の勘というのは外れたことがなかった。

「おい。この店の中で派手な女を見なかったか?年は牧野つくしと同じだが年上に見える。つんとすました鼻っ柱の強い女で見るからに気が強そうな女だ」

派手な服装で派手な匂いをまき散らす女は、夫がいながら司に色目を使い傍に近づいて来ただけで気分が悪くなった。

「いいえ。そんな女性は見ませんでしたけど」

桜子がすかさず返事をしたのは、自身も気が強いと言われていることから、同じタイプの女性には敏感だからだ。だがそんな女をこの店では見かけなかった。

「ここの化粧室はどこだ?」

「え?私もここに来たのは初めてで_」

この店に行きたいと言って雑誌の切り抜きを出したのはつくしで、桜子はこの店がイタリアンという以外何も知らなかった。

「道明寺副社長。僕は以前このレストランが別の店だった頃に来たことがあります。化粧室は向うです」

和彦はビルの1階にあるこの場所には、以前同じ洋風の造りだがフランス料理の店があり来たことがあると言い、化粧室はかなり奥まった所にあると言った。

「どうしたんですか?道明寺副社長?」

司は三条桜子にそう言われたが、答えることなく化粧室に向かって駆け出していた。
この時、他のテーブルにいた男女が席を立ち同じように化粧室に向かったが、それは司が牧野つくしに付けたボディーガードだ。そして他にも入口にいた数名の男が同じように店の奥に向かったのを見ると、桜子と和彦は互いに目で何かを確かめると彼らの後に続いた。







***







「理恵ちゃん。その人をどうするつもり?」

「どうする?」

「そうだよ。理恵ちゃんの知り合いだって言うし、気分が悪そうだから送って行くって言ったけど本当に知り合いだよね?」

石田は後部座席に理恵と眠る女性を乗せた車を運転していたが、バックミラーで理恵と目を合わせると訊いた。

「勿論よ。彼女の名前は牧野つくし。年は私と同じ年よ。それに住まいも知ってるわ」

「そうか。それならいいんだ。いや、別に変な意味で訊いたんじゃないんだ。ただ、その….なんとなくそう思っただけだから」

「石田さん。私と牧野つくしは本当に知り合いよ。ただ最近はご無沙汰しているだけなの。だから石田さんが何を心配しているのか知らないけど大丈夫よ」

理恵こと真理子はハンドルを握る石田にそう言うと、ニッコリと笑顔を浮かべたが、その言葉は嘘だ。
真理子は転んでもただでは起きない精神の持ち主だ。道明寺司によって奪われた生活や財産を取り戻すことが出来ないなら、あの男が大切にしているものを壊せばいい。
そのためには、美しいと言われた顔を効果的に使い、真理子の為に足しげく店に通う石田の手を借りることにした。

そして真理子は臆病ではない。だが石田は決して気が強いとは言えず、どちらかと言えばお人好しだ。
だから危険な流れになれば逃げだす恐れがあったが、真理子にとって石田は使いやすい都合のいい男だ。

「ねえ石田さん。もう少し急いで欲しいの」

と後部座席から耳元に口を近づけ言った真理子の声に、石田は隣の車線を走る空車のタクシーを追い越していた。




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コメント
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dot 2019.03.16 06:29 | 編集
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dot 2019.03.16 10:52 | 編集
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dot 2019.03.16 12:19 | 編集
童*様
真理子が行動に移しましたねぇ。
真理子は色香で石田を使っているようですが、相手は道明寺司です。
怒らせると怖いと思うんですが、真理子が捨て身で来られると怖いものがありますよねぇ。
果たして真理子の企みは....。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.03.16 21:30 | 編集
司*****E様
こんにちは^^
3人で話がヒートアップ!(笑)
と、そこでつくしが中々戻ってこないことに気付いた若林君。
そして司のアンテナに掛かったのは川上真理子。
それにしても桜子。怪しい人間には敏感のはずが、真理子のことが分からなかったのは、地味な石田が一緒だったからでしょうか。
そうです石田さんは地方の建設会社の社長の息子で真理子に首ったけです。
石田さんは気のいい人 。確かにそうですね~。悪い人には思えません。

つくし大ピンチ!車だとあっという間に遠くまで行くことが出来ます。
そしてその通りです。早く見つけてあげないと!
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.03.16 21:49 | 編集
い*****く様
食欲をそそるお名前に、そのものを想像してしまい食べたくなります(;^ω^)
シーラカンスは水族館で展示されていたものがさらわれたようです。
サメ司は救出に向かわなくては!(笑)

オニイソメ理恵!スケールワーム真理子!(@_@。
どちらも恐ろしいです。その姿はまさに深海に棲むエイリアンですよね?
理恵こと川上真理子の姿はどちらにも匹敵しそうです。
サメ司。深海は暗闇ですが、その嗅覚でシーラカンスを見つけ出して下さい。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.03.16 22:11 | 編集
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