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2019
03.03

理想の恋の見つけ方 89

日曜日午後12時。
都心にあるホテルメープルの1階にあるラウンジは休日ということもあり大勢の人で溢れていた。
つくしは12時という時間よりもかなり早めに到着し、杉村と思われる人物が現れるのを待っていたが、身長が180センチ以上あると言った男性は、赤いバラの花を胸のポケットに挿して行くと言った。
それはひと目を惹くはずだが、今日は何かのパーティーがあるのか。ラウンジに胸に赤いバラの花を挿した男性はいなくても、正装した男女が多数見受けられ、その人の存在を見失いはしないかと思った。

何故なら男性は赤いバラの花を胸に挿して来るといったが、外見にさして特徴の無いつくしが自分を見つけてもらうために選んだ方法は、テーブルの上に置かれた本を目印にしてもらうこと。
タイトルは『進化と適応』。それは表紙にサメの絵が描かれている深海ザメの生き残り戦略について書かれている本でサメの研究者以外は興味を持つことはないと言われ今では絶版だ。

そして服装は、いつものようにパンツスーツだが、職場の大学へ行く時と違うのは、それがつくしの中では上等なスーツであり、かしこまった場所へ行く時にはいつも着て行くスーツであること。
このスーツは道明寺財団の面接の時にも着用したが、エレベーターの中に閉じ込められる事態になり焦り慌てたが、今はあの時とは違い焦りも慌てもしなかったが、それでも神経は張りつめた状態でラウンジへ足を踏み入れる人間に目を向けていた。

そしてその人間の視線の動きを追っていたが、テーブルの上に目を落とす男性はいなかったが、まだ時間も早いのだから当然だ。
杉村という男性に会うために化粧をしている自分は浮かれている。
今朝。鏡に向かいながらそう思ったが、実際にもうすぐその人と会うとなれば気持ちは浮かれるというよりも緊張の方が強くなった。
それに約束の時間よりもかなり早めに到着し、まだ来るはずのない人を待つことが心臓にいいはずもなく、テーブルの上に運ばれて来たコーヒーを口にしたが、味など感じられるはずもなく、ただ茶色い液体を飲み干したとしか言えなかった。

今まで傷のせいで男性とは距離を置こうとした。
傷があることで心を殺して研究だけに目を向けて来た。
けれどこうして杉村と会うことを決めたのはどこかで自分を変えようとする気持ちになったから。
そして自分を変えようとする気持ち。
それは外見上魅力的ではないと言った女に、あなたと話すのが楽しい。会って話す時間が無駄だとは思わない。直接会って話す方が楽しいに決まっている。そういった言葉が小さな自信を与えてくれ前向きに杉村に会えるのではと感じた。
そして杉村になら今まで口に出さず胸の中で語ってきた言葉も言えるような気がしていた。

「はぁ…..それにしても早く来すぎたのは失敗だったわね」

そう言うとテーブルの上に置いた『進化と適応』に視線を落としたが、サメの絵は大きな口を開けた状態で獲物を狙っていたが、経済界のサメと呼ばれる男は、つくしに惚れたと言い、熱心に送り迎えをしていたかと思えば、送迎最後の日は素っ気ない態度で別れたが、その態度は何を考えているのかよく分からなかった。

道明寺副社長は足にある傷を知っているが何も言わない。
けれどこれから会う杉村はその傷に対して何を思うのか。だが自分は足に傷があることを杉村に告げて関係をどうしようと言うのか。偽名に守られた関係を終え、本人と直接会うこと決めたのは今まで関係を終えるということだが、そこから何かが始まることを期待している自分がいないとは言えなかった。

そんなことを考えていた時だった。
賑やかとは言わないが大勢の人がいるラウンジが突然水を打ったようになった。
丁度その時つくしは氷が浮かんだグラスの水を飲んでいた。そしてグラスをテーブルに戻し氷だけが残されたグラスを見つめていたが、周りの人々の視線が自分の方へ向けられているのが感じられると、誰かが自分の前に立っていることに気付いた。

視線を持ち上げ顔の高さに見えるのは黒い色の生地。
それがスーツを着た男性の姿であることは直ぐに分かった。
そして顔を上げ男性を見たが、その視線を待っていたかのように、男性はつくしの視線をしっかりと捉えたが、そこにいたのは背が高く特徴的な髪を持つ経済界のサメと言われる男によく似た男性。つくしに惚れたと言った男によく似た男性がスーツ姿で立っていた。
いやだがそこにいるのはよく似た容貌を持つ男性ではない。
唯一無二と言われる道明寺司の顔立ちに背格好をした男性は世の中にいない。
つまりそこにいるのは道明寺司本人ということになる。

だが何も驚くことはない。ここはメープルで道明寺グループのホテルだ。
だから彼がここにいたとしても不思議ではない。だがつくしは、しばらく口を開くのを忘れ食い入るように道明寺司を見つめていたが、慌てて気持ちを立て直し口を開いた。

「……道明寺副社長?どうしてここに?」

と、椅子に座ったまま立ち上がることなく言ったが、次の瞬間目に入ったのは胸のポケットに飾られた赤いバラの花。

「…..え?」



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コメント
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dot 2019.03.03 06:04 | 編集
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dot 2019.03.03 07:18 | 編集
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dot 2019.03.03 09:52 | 編集
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dot 2019.03.03 12:47 | 編集
ま**ん様
おはようございます^^
いよいよご対面。やっとご対面ですね(笑)
さて、つくしの前に胸に赤いバラの男が立っています。
これからどのような会話が交わされるのか。
一人二役の男の運命は!
見守ってやって下さいませ^^
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.03.03 21:50 | 編集
と***ト様
はじめまして。こんにちは^^
いつもお読みいただき、ありがとうございます。
シリアス感満載のお話から今日のように少しドキドキもあったりしますが、楽しんでいただければ幸いです。
それにしても電話の男の正体を知ったつくしはどうなるのでしょうねぇ。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.03.03 21:59 | 編集
司*****E様
おはようございます^^
さて、いよいよご対面の日がやって来ました。
う~ん。そしてこの状況は、え?ホラー映画で背後から誰かが近づいてきて、その正体は?という感じですか?(≧▽≦)
司は堂々とした態度で彼女の前に立ちましたが、第一声はと問われれば、きっと堂々としているんでしょうねぇ。
それにしても二人の会話の内容はどんなものになるのでしょうねぇ。そこから二人の関係はどう変化するのか。
見守りたいと思います。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.03.03 22:12 | 編集
イ**マ様
なりすましはいけません!本当にその通りですよね?
でも彼はどうやったってつくしに惚れてしまう運命!(≧▽≦)
そうです運命には逆らえないんです(笑)
そして運命の人に受け入れてもらうためには襟を正すことが必要なんです!
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.03.03 22:24 | 編集
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