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2019
02.11

理想の恋の見つけ方 79

自宅と大学の送り迎えがついてから3日間が過ぎた。
それは3日間自宅で静養した後、大学に復帰した日数であり捻挫をしてから6日が経っていた。

自宅療養の間。桜子がマンションに泊り込み大学へ通勤したが、困ったことはないですか。無理はしないで下さいと世話を焼き、4日目には帰って行った。
そして6日目ともなれば腫れていた右足も随分と良くなって来たように思えた。だが杖なしで歩けるようになるには2週間は必要だと言われていたことから、あと10日もあればなんとかなる。身体の方はそんな思いから気持ちは楽だった。

だがそれとは別に考えなければならないのは道明寺副社長との関係だ。
好きだと言われた男性との間にどうすれば距離を取ることが出来るか。
杖なしで歩けるようになるまで車で送迎すると言われたことは、正直大変有難かったが、まさか道明寺司本人が現れるとは思いもしなかった。

毎朝港区内にある大学までつくしを送り、それから丸の内へ向かうのだが、それが忙しいビジネスマンにとっては負担になるはずだという思いがあった。

「お忙しい中わざわざ副社長がお迎えに来ていただかなくても大丈夫です」
と車内で隣に座る男性に言ったが、
「好きになった女の世話を焼いて何が悪い」と堂々と言われ、「困ります」と答えれば、「何が困る?」と返され「遠回りをすることで業務に支障をきたす恐れがあるのでは?」と返事をすれば、「うちの会社は俺がいなければ崩壊するような会社ではない」と言われ、「いえ。それでもお時間を取らせては申し訳ございませんので自分で通いますから」と答えれば、
「どうやって大学まで通うつもりだ。松葉杖で満員電車に乗るつもりか?無理に決まってるだろ」と低く張りのある声で一蹴された。
そして車が大学に着くと、つくしを車から降ろし松葉杖をつくしに握らせたが一連の身のこなしは優雅だった。


道明寺副社長は足の傷跡を見た。
それはモーターボートのスクリューに身体をひっかけてしまったことで出来た傷。
もう随分と昔の事で、研究室でそのことを知る人間は副島教授と桜子だけだ。

人は他人の深い傷跡を目にすれば同情を込めた言葉と視線を送るはずだ。
もしくは表に出さなくとも哀れみや不快な思いを持つ。
だが傷跡を見た副社長の態度は変わらなかったし、そのことについて何も言わなかった。
それどころか、「帰りは迎えに来てやれなくて悪い」と言ったが、それはまるで恋人に向かって詫びているようなもので、大学構内まで車を乗り入れてのその行動を周囲が見れば足を怪我した最愛の人の世話をする恋人に思えるはずだ。

そしてその恋人に思える男の自信に満ちた態度は他を圧倒しているのは明らかで、ここが大学だとしても男が誰なのか。男の会社に就職を望む学生ならその顔を知らない者はいないのだから、噂が広がるのも時間の問題だった。
だからつくしは道明寺司の正気を疑った。
華やかな男の恋人が冴えない大学准教授。それを世間は笑うはずだ。
だが掬い上げるように見上げる背の高さを持つ男性は、そんなことを気に留めもしないらしい。

つくしは、松葉杖を使い研究室に向かいながら、そんな道明寺司に無性に腹が立ってきた。何に腹が立つのかと言われればそれは分からなかったが、勝手につくしのことを理解しているような態度が、まるでつくしのことを知り尽くしているような態度に腹が立っていた。

そしてつくしは、夜の電話の男性杉村に週に一度電話をかけることになっていたが、かけることが出来ずにいた。
それは自宅療養の間、桜子が泊り込んだこともだが、それから後も遅くまでいた日もあったり、つくし自身が疲れ果て早々に休んでしまったこともあったりで、いつもの時間10時に電話をすることが出来ずにいた。
だが今夜こそ電話をしよう。そして電話をかけることが出来なかったことを詫びようと思っていた。




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コメント
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dot 2019.02.11 07:44 | 編集
司*****E様
おはようございます^^
車での送迎はありがたい気持ちですが、段々と腹が立って来た!(≧▽≦)
司はその気になればどんな強引なことも出来る男ですが、好きになった女に本領発揮となるでしょうか。
そしてつくしは杉村に電話をしようとしています。司=杉村です。
どんな話をするのでしょうねぇ。
そして司も電話を待っているはずです。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2019.02.13 21:58 | 編集
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dot 2019.02.15 18:45 | 編集
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