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2018
12.18

理想の恋の見つけ方 48

『恋は好奇心から始まる』

牧野つくしにもあきらにも言われたその言葉。
だがあの女に対しての司の関心は恋ではない。
それは、今まで周りにいた女とは毛色が違うということに過ぎないはずだ。エレベーターに閉じ込められたことで面接に遅れ、そのことを非難した司に立ち向かって来たことが関心を引いたに過ぎず、それがたとえ他の女だったとしても同じような行動を取れば関心を寄せたはずで、あの女が特別な存在というのではない。
だから、あきらが言った牧野つくしはお前の初恋かの言葉にあえて反論はせず、単に片眉を上げただけだったが、仮に百歩譲ってあの女に対する気持ちが、あきらの言う通りの初恋だとすれば、苦笑せずにはいられなかった。
それは女を求めるよりも煙草を求める方が多い男の初恋ほどおかしな話はないからだ。

とにかく今は煙草が吸いたかった。
健康のために止めろと言われるが、そう簡単に止めれるものではない。
それに煙草を止めることで多少長く生きるくらいなら煙草を吸う方を選ぶ。
だが自宅に帰った司は煙草に火を点けるよりも前にパソコンを立ち上げると、牧野つくしのファイルを呼び出しその顔を見ていた。

世の中の女に合格、不合格を付けるとすれば、どちらでもないというごく平凡な容姿。
男に何かを求めるよりも、自分で未来を切り開いていく女。弱音も愚痴も一切吐かず全てをありのままに受け入れるが常に前を向いて歩く女。

あきらの言葉通りだとすれば、牧野つくしは気概がある人間ということになる。
そして外見という表面的なレベルや金には興味がない。だがそんな女には終ぞ出会ったことはなく、もし牧野つくしが本当にそんな女なら非常に珍しい女ということになるが、結論に達するにはまだ早い。

それは、夜の電話の男に対して見せる牧野つくしの態度は、若林和彦に出会ったことで変わるのではないかと思うからだ。
見ず知らずの相手と電話で話をすることは、自分を偽ることが出来る。ただし、それは相手が自分のことを知らなければの話で、司は女が牧野つくしであることを知っている。
だから実際に接している牧野つくしと比べ、電話の牧野つくしの態度が変わるとすれば、やはり牧野つくしも裏表のある女ということになる。
だが今のところ、司に対して欲求めいたことを口にすることはなかったが、それは全てをありのままに受け入れる女だからか。それとも年齢に伴う心の成熟がそうさせるのか。
人は学ぶことも出来るが、本来持って生まれたものの方が強いと言える。それなら愚痴を言うことがなく常に前を向いて歩くという姿に納得出来るものがあった。
何故なら人間の本質というのは、隠せたとしても変わることはないのだから。

そして週に一度電話で話をしようと言った女は、そろそろ電話をかけてくるはずだ。
プライバシーに関わることは話さないと決めた二人。
前回の電話でパーティーへ出席しなければならないと司に告げた。だから次にかかって来る電話の話は、あのパーティーのことになるはずだが、牧野つくしはどんなことを話すのか?
自分より6歳年下でかつて家庭教師として教えていた若林和彦のことを話すのか?
その男に好きだと言われたことを話すのか?
司はデスクの上に置かれた携帯電話が鳴ると、通知された番号を確かめ「はい」と出た。すると機械の向こうから「私です。今いいですか?」と声がした。








***








真理子は夫の誕生パーティーで道明寺司に伴われて現れた牧野つくしが海洋生態学が専門の大学准教授であることを知った。そしてそれ以外のことは興信所に調べさせた。
同じ年の女だが牧野つくしは真理子よりも若く見え、貧相な身体つきだったがミッドナイトブルーのドレスは、まるであつらえたように身体にピタリと合っていた。

真理子が銀座でホステスをしていた頃、自分のヘルプについていたホステスに牧野つくしによく似た女がいた。その女は真理子と同じ年で田舎から出て来たばかりだと言った。そして見るからに野暮ったい女だった。だが何故そんな女が銀座の一流店で働くことになったのか。そして何故ママがその子を雇ったのか理解に苦しんだ。
だがやがてそんな女も銀座の水に慣れたのか。数ヶ月もしないうちに醜いアヒルの子だったアヒルが白鳥に変わり輝き始めた。

歩合給のホステスはその日の売上が勝負を決める。
大学生のアルバイトとは言え、女の園の中でトップを目指したことがある真理子は、自分のヘルプについていた女に負ける訳にはいかなかった。そしてあの頃、大学を卒業する間際、道明寺司が店に来たことがあった。

道明寺司と言えば道明寺財閥の後継者であり高校時代はF4として名前が知られていた。
そしてひとつ年上の道明寺司は、ニューヨークの大学を卒業後、家業である道明寺ホールディングスに入社してニューヨークで働いていた。
そんな男が東京を訪れたのは取引関係にある会社を訪れる為であり、真理子が働いている店に現れたのは取引先の重役の接待によるものだった。
その重役は店を訪れれば、いつも真理子を指名してくれる客だったことから、その時も指名された。だが道明寺司が隣に座る重役に何か言うと、真理子はママに呼ばれ席を外すように言われた。そして代わりに座るように言われたのが田舎から出て来た女だった。
あの女が、牧野つくしに似ていた田舎臭いあの女が道明寺司のいる席に呼ばれた。

やがてその女は銀座のナンバーワンと呼ばれるホステスになり、今ではママとなり店を構えていたが、あの時真理子は売れっ子ホステスとしての立場をバカにされたと感じた。大学を卒業と同時にホステスを辞め高森の会社に入ることは決まっていたが、最後に花を咲かせたかった。それなのにあの男とあの女が邪魔をした。
だから道明寺司が牧野つくしとパーティーに現れたとき、一瞬だがあの女が現れたのかと錯覚した。

「それにしても男の趣味って変わらないものなのかしらね?でもいいわ。あの時は残念ながら逃したけど今度はどうかしらね?」





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コメント
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dot 2018.12.18 06:02 | 編集
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dot 2018.12.18 06:25 | 編集
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dot 2018.12.18 14:44 | 編集
司*******E様
おはようございます^^
恋は好奇心から始まる。確かにそうですよね~。
司の好奇心はまさにつくしに向いてます!でもそれが初恋だと気付くのは何時なんでしょう?
そして真理子。昔を思い出していました。銀座のホステス時代。司の接待の席で自分が外され田舎者の女が呼ばれたことにプライドが打ち砕かれた! 派手でキレイだけがモテるのが銀座ではないですよね。
それにしても真理子。何を考えているのでしょうね。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2018.12.18 22:52 | 編集
童*様
自分の気持に素直にならない頑固な男は、つくしに対する好奇心が何であるか気付いていなんです。
そして諦めの悪い人妻。
え?早く高森夫妻に地獄を?すみません、イライラですよね(汗)
それにしても高森真理子何を考えているのでしょう。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2018.12.18 22:57 | 編集
ま**ん様
こんにちは^^
自分の生きる世界でただ地味に研究をしていた女が、司と関わったことでその環境が変わりつつあります(笑)
深海に棲んでいた女。かなり浮上して来たかもしれません。
そして真理子の逆恨みを買う羽目になりそうな女と、その当事者であるはずの司は、つくしのことを守るところまでは....行ってませんよねぇ。早く自分の気持に気付けよ司!と言いたいですが、人を好きになったことがない男の初恋は何処へ向かうのでしょう。
そして司の心の変化は、いつ訪れるのでしょうねぇ。
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2018.12.18 23:03 | 編集
L**A(坊****愛)様
わ~(笑)
可笑しな日本語が!(>_<)
ご連絡ありがとうございますm(__)m
時々あるんです。またあったら是非教えて下さいね!
ありがとうございました^^
アカシアdot 2018.12.18 23:09 | 編集
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