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2018
11.19

理想の恋の見つけ方 25

つくしは、桜子の言葉を借りれば、「寄付の件ですが、ありがとうございます。謹んでお受けします」と道明寺副社長に言わなければならなかった。
と同時にそれが意味するのは、やはり桜子の言葉を借りれば、道明寺副社長に貸し出されるということだが、相手は経済界のサメと呼ばれる重要人物。財力はもちろん多方面への影響力も半端ないと言われていて、教授の副島も経済界と繋がりが出来ることは研究室にとってありがたい話だと言った。

そして「返事をいつまでも待たせることは失礼です。早く電話して下さい」と桜子に言われ、つくしは手にした名刺に書いてある番号に電話をしたが、その番号は秘書課に繋がり副社長の秘書の男性が出た。


『わたくし先日お電話でお話をさせていただきました西田と申します。牧野先生。大変申し訳ございません。只今副社長は会議に出ておりますが、話は承っております』

と言われ、本人は電話に出ることは出来ないと言われた。
だが考えてみれば相手は忙しい立場の人間だ。だから直接話が出来ないとしても仕方がないのだが、思えばそれで良かったのかもしれない。

初めの出会いが悪かったのか。
だがそのことが後を引いている訳ではない。物事に神経質になるタイプではないのだが、道明寺副社長のことを考えると胸の中にはモヤモヤとしたものがあった。だが秘書に話は承っていると言われれば、秘書と話せという意味だろうから、寄付の件はありがたく頂戴いたしますと答え、副社長の依頼も引き受けることに決めたと伝えた。

それにブレーンとは言え、つくしの場合は深海の環境について問われたら答える程度のものであり、企業の経済活動に大きな影響を与えるとは考えてはおらず、ましてやそう度々意見を求められるとも思えず、自分の仕事に関係のない事に対し意見を求められることもない。それに研究には口出しはしない。好きにしていいと言ったのだから、助言をするだけなら問題ないと自分に言い聞かせた。
そして教授の副島からこういった経験が今後のキャリアになると言われれば、そうかもしれないと前向きに捉えた。


『そうですか。ありがとうございます。それでは早速ですが、振込先を教えていただいてもよろしいでしょうか?後ほどわたくしの方から牧野先生のパソコンのメールアドレスにメールを送らせていただきますので、そちらのアドレス宛に口座の情報をお書きいただきご返信下さればすぐにお振込をいたします』

5千万円の寄付は桜子から教えられた大学の研究室名義の口座に振り込まれることになったが、すぐ振込むという秘書は5千万円がまるで5千円のような口ぶりだった。

『それからこちらのお金については副社長の個人的なお気持ちであり、節税対策ではございませんのでそのような書類についてのお気遣いは無用です』

と言われ、税金対策として寄付をすることがあると知ってはいたが、いったい幾らの年収なのかと思うも、いやそれ以前に道明寺副社長が税金がどうのといった事は気にしていないように思えた。
だが5千万と言えば相当な金額であることは間違いないのだが、寄付に伴い受け取ることが出来る大学からの書類や感謝状や名誉も不要だというのだから、道明寺副社長の方が余程変わった人だ。
そして秘書の口ぶりからしても、道明寺副社長にとって5千万は5千円と同等だと改めて感じた。

そして5千万が振り込まれたと同時に、つくしは図書館の本のように貸し出しOKということになる訳だが、貸し出し期間は殆どないと思いたい。それにあったとしても、ごく短期間で返却してもらいたい。そして何故か思うのは、自分はサメの餌にされようとしているのではないかということだ。いや。そうではなく生贄にされるのではないか。
いや違う。何をどう言えばいいのか分からなかったが、何故かサメの興味の対象として見られているような気がしていた。
けれどそんな風にほのめかされたかと言えば、それはなかったはずだ。それなのに何故サメの興味が自分にあると思ってしまったのか。
やはり最初が悪かったのだろうか。何しろ何事も最初が肝心なのだから。
あの時の印象が__


『__牧野先生?』

「あ、はい。すみません、今なんとおっしゃいましたか?」

つくしは慌てて諸々の思いを振り払い返事をした。

『はい。よろしくお願いいたしますと申し上げました』

「え?はい。こちらこそよろしくお願いいたします。それからご寄付の件。道明寺副社長に本当にありがとうございましたとお伝えください」

『かしこまりました。牧野先生が感謝申し上げていたとお伝え致します』












西田は一旦電話を切ると、再び受話器を取った。

「西田です。___はい。牧野様は受け取ることにお決めになられました」





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コメント
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dot 2018.11.19 08:24 | 編集
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dot 2018.11.19 13:10 | 編集
司*****E様
5千万で貸し出されるとすれば、凄い貸出料金ですね(笑)
そしてつくしは貸し出されたとしても返却されると思っていますが、どうなんでしょうねぇ(笑)
そして西田の電話の相手は誰?
何かが動いているようです。
つくしは自分が象牙の塔に住んでいないと思っていますが、果たしてそれはどうなんでしょうねぇ(笑)
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2018.11.19 22:34 | 編集
コ**リ様
わはは!(≧▽≦)五千人の諭吉と、たったひとりの一葉が同じ!
そんな道明寺司の年収は幾らなんでしょうか。真面目に計算してみたいですね。
貸出準備の整った牧野准教授。さて本人の思いとは程遠く、貸し出されたまま返却されないのか。
貸し出された本は隅々までじっくり見られる(´艸`*)
そして、あんなことやこんなことをされる!Σ(゚∀゚ノ)ノ キャー何をされるんでしょうね?(笑)
サメのあんなことやこんなことは結構危険なんですが、シーラカンス大丈夫?(笑)
そして文末に登場する黒い影は?
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2018.11.19 22:47 | 編集
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