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2018
11.17

理想の恋の見つけ方 24

変わった人。
つまりそれは変人という意味だがつくしは自分が変人だとは考えたこともなかった。
それよりも5千万という大金をポンと寄付をする男性の方がよほど気まぐれの変人ではないかと思っていたが決してそのことは口に出さなかった。


つくしは、道明寺司が研究室を後にするのを見送ると、振り返って桜子を見た。
すると桜子は待ってましたとばかりに寄付金の額を訊いた。
そして5千万だと知ると飛び上がって喜んだ。

「それで5千万は振込ですか?それとも小切手ですか?まさか現金なんてことはないですよね?それにしても財団からの助成金は1千万でしたからその5倍ですよ?道明寺副社長は余程先輩の研究に興味を持ったということでしょうけど、凄い金額を寄付して下さいますね?でも道明寺副社長にすれば5千万は高級外車1台分ですから大した金額じゃありませんね。きっとそんな車を何台もお持ちでしょうから。でもお金持ちは違いますよね。個人的な資産ってどれくらいなんでしょうね?まあ今はそんなことはどうでもいいです。うちの研究室にとっての5千万は少なくとも1億の価値はあります。本当に大学の研究室って貧乏なんですよね。やっぱり大きなスポンサーでも付かないと研究を進めるのは大変です。でもこれで色々と助かりますよね?生物顕微鏡もいいのが買えるし、海外の学会へ行くにも助かりますよね?」

桜子は早速5千万の使い道を算段し始めたようだが、つくしはその前に言わなければならなかった。

「あのね桜子」

「はい?」

とウキウキとまでは言わないが弾んだ声が返され、つくしはついさっき道明寺司に言った言葉を口にすることが躊躇われたが口早に言った。

「実はその5千万の件なんだけど、少し待って下さいっていうのか、考えさせて下さいって言ったの」

すると明るい表情を浮かべていた桜子は、小首をかしげ黒い目を細くした。
そしてつくしの言葉をしっかりと理解すると今度は首を真っ直ぐに据え、目を見開きつくしを見た。

「ええっ!?それどういう意味ですか?借金じゃあるまいし少し待って下さいって何を待つ必要があるんですか?それに寄付ですよね?考える必要なんてないでしょ?はい。ありがとうございます。謹んでお受けいたしますって言えばそれで済む話じゃないですか?それなのにどうして考えさせて下さいなんて言ったんですか?」

桜子の言葉は当惑を通り越して怒っていた。
そして何故つくしがそんな言葉を言ったのか理由を求めていた。

「もしかしてお礼のことですか?道明寺副社長が希望されるお礼が出来そうにないから考えさせて欲しいって言ったんですか?そうですよね?それならを解決すればいい訳ですよね?それ何ですか?サメの歯じゃなかったとすれば、顎骨標本が欲しいとかですか?それなら全然問題ないですよね?うちにはそんなものはいくらでもありますから。もしかして特定のサメがいいとおっしゃるならそのサメを探せばいい話です。それで?何ですか?道明寺副社長がご希望のものは?」

桜子は早く言って下さいと急かすように言ったが、つくしは口を噤んでいた。

「もう!早く言って下さい。道明寺副社長は何が欲しいんですか?ジンベイザメがいいならどこかの漁協にお願いして_」

「それが道明寺副社長の欲しいお礼って….私に個人教授になって欲しいって。つまり個人的なブレーンになって欲しいって言われたの。深海での開発行為が深海ザメに与える影響について。海底資源の開発をすることで海底の環境が変わるか。開発の影響についての意見を訊きたいって。副社長が意見を求めたらそれに対しての助言が欲しいって言われたの」

つくしはそこまで言って桜子の反応を待った。すると、
「なんだ。そんなことですか。つまり時々先輩を道明寺副社長へ貸し出してくれってことですよね?」
と安心したように言った。

「ちょっと桜子。そんな気軽に言うけど私が道明寺副社長のブレーンなんて無理だから!」

無理だ。絶対無理だ。つくしは何故か躍起になって言っていたが、道明寺司が人間としてどうのというのではない。
それに物事に対しこんなに神経質になることなどないのだが、桜子が言った道明寺副社長に貸し出される自分を想像すると訳の分からない不安を覚えたのだ。
だが桜子は一向に気にしなかった。

「あのね先輩。何が無理なんですか?深海の環境については先輩の専門じゃないですか。それに道明寺副社長の希望されるお礼は深海のことを気に留めているってことじゃないですか。だから先輩はここを出て時々経済界で自分の意見を述べればいいだけじゃないですか」

「でもね_」

「先輩。でももヘチマもありません。受けて下さい。5千万ですよ?5千万!それに副島教授だって受けてくれって言うはずです。先輩を道明寺副社長に貸し出すことに異議はないはずです」









つくしは桜子に受けろと言われたが、研究室の主宰は副島教授であり5千万という金額を教授の副島に相談しない訳にはいかなかった。
だからアメリカに出張中の教授にメールを入れた。

『道明寺副社長からの寄付金の件ですが、財団からの助成金をはるかに上回る5千万円の申し出がありました。大変大きな金額です。私の一存で受け取ることは出来ません。それに道明寺副社長が求められているお礼ですが、副社長の会社は海底資源の開発をされていることから、開発行為が深海の環境にもたらす影響について助言をして欲しい。私に副社長の個人的なブレーンとして加わって欲しいとおっしゃっています。教授のお考えをお聞かせ下さい』

そして翌日の午前9時。ニューヨークにいる副島から研究室に電話がかかって来たが、サマータイム期間中の今、現地時間は午後8時だ。

『やあ、牧野くん。メールを見たよ。さすが道明寺財閥の御曹司は凄いね。財団からの助成金の5倍か。その見返りは君が彼の個人的なブレーンに加わることか。海底資源の開発に関わる企業が深海に興味を持ってくれるのは大変嬉しいことだ。だから受けたまえ。
ブレーンになって差し上げろ。副社長も君の大学での講義時間を削ることまでは求めないはずだ。それにこれは君のキャリアにもなる。経済界との繋がりが出来ることは我々にとっても大変ありがたい話だ。研究室の今後のためにも是非受けて欲しいね』


大学での教授と准教授とでは圧倒的に立場は教授の方が上で嫌とは言えなかった。
だからはいと答えるしかなかった。
そしてそのことを道明寺副社長に伝えなければならなかったが、何故か電話をかけることが躊躇われた。そして同じ電話をかけるなら、あの人に、と思ったがあの人とは週に一度しか話をすることが出来なかったが、何故か今のこの状況を訊いてもらいたかった。













「それで?返事はこれでいいかな?」

ニューヨークに滞在中の副島は、そう言って正面に座る人物に訊いた。
するとその人物は礼を言ってワイングラスを口元へ運んだ。




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コメント
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dot 2018.11.17 08:56 | 編集
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dot 2018.11.17 21:22 | 編集
司*****E様
おはようございます^^
さて寄付金のお礼として求められた司のブレーンとなること。
寄付金の多さとそのことに戸惑い、考えさせて欲しいと言いましたが、それを桜子に言えば怒られ、副島教授に相談すれば受けろと言われ、どうやら引き受けることになりそうですね。
そして副島教授の前でワインを口元に運んでいたのは誰なのでしょうねぇ(笑)
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2018.11.17 23:07 | 編集
コ**リ様
饒舌な桜子は、なんとか5千万の寄付をと必死です(笑)
そして桜子に言わせれば貸し出される牧野つくし。
貸出カードでも作ってみましょうか?(笑)
そしてどうやら副島教授も同じように考えているようですね?(笑)
え?ワインを飲みながら礼を言ったのは.....?
コメント有難うございました^^
アカシアdot 2018.11.17 23:17 | 編集
L**A(坊****愛)様
黒幕がいる!(≧▽≦)
副島教授の前でワインを飲みながら礼を言ったのは誰?
え?もしや?(笑)
拍手コメント有難うございました^^
アカシアdot 2018.11.17 23:23 | 編集
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