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2022
03.30

『Love and Tenderness』更新のお知らせ

『Deception 139』話をUPしました。



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2022
03.17

バトンを渡す日

私は毎日非常に神経を使っています。
それは私が人に仕える仕事をしているからにほかなりません。
そんな私は石頭と言われることがあります。学級委員長を務めた優等生がそのまま大人になったと言われる私に冗談は通じないと思われているようです。
しかし、私自身は自分のことをユーモアのある人間だと思っています。
何故なら銀縁眼鏡の奥にある瞳から感情を読み取ることは不可能だと言われてはいても、私が仕える方と、その方の奥様の会話に笑いを堪えることが多々あるからです。

私はいつも白いワイシャツに紺色の背広を着ています。
それは私にとってユニフォームのようなもので、その組み合わせがベストだと思っているからです。ですから、クールビズという言葉が当たり前のように使われるようになっても、ネクタイを外すことはございません。つまりそれは亜熱帯といわれる場所へ行っても同じであり、私にとって長袖シャツとネクタイは第二の皮膚と言ってもいいほど肌に馴染んでいるからです。

そして私は見映えのする外見ではありませんが、中肉という表現でおさまる体型で背の高さはそれなりにあります。
それに長年アメリカで暮らしていたこともあり英語は達者で、海外出張にも慣れております。酒は少々飲みますがタバコは吸いません。血圧は少々高めではありますが、コレステロールも中性脂肪も正常値の範囲内であり健康に不安はございません。
そして、世界各国を渡り歩く私に食べ物の好き嫌いはございません。

申し遅れましたが、私の属性は道明寺ホールディングスの社長である道明寺司の秘書でございます。
そんな私ですが、本日定年退職を迎えることになりました。
この日が必ず来ることは分かっていました。ですから私の社長秘書としての余命はあと僅かということになります。そして私はデスクで私物の整理をしております。

在職中は精一杯働きました。
入社すると営業本部に配属されました。そこで数年間過ごした後、秘書室に異動になりました。そこで2年の役付きを経て社長の第二秘書となったのですが、そこから三十代半ばで社長付になり秘書室長に抜擢されたのは、前例のないことだと人事課から訊かされました。

そして前社長、道明寺楓の秘書を務めた私は同期の中では一目置かれる存在になりました。
何しろ道明寺楓は、英国の首相であったマーガレット・サッチャーと同じ鉄の女の異名を持つ女性。その女性の秘書を務めた私は、世界の名だたる政治家は勿論のこと、世界経済を動かす企業経営者とも顏を合わせることが出来たのですから、それは豪雪地帯と呼ばれる田舎町で育った人間にしてみれば夢のような経験でした。

そして世間は次期社長の秘書も務めた私のことを社長の懐刀と呼びました。
右腕だと呼びました。
ですが秘書の仕事は仕える人間の仕事が円滑に進むように万全を期すことであって会社の経営判断に係わることはございません。それでも私はその呼び名を名誉に思いました。
栄光の中に身を置くことができたことを感謝しています。

そんな私ですが、過去に一度だけ仕事を辞めようと考えたことがあります。
それは50歳を前にした頃、田舎の母が倒れた時です。父は10年前に亡くなり、母ひとりが田舎の家で暮らしていました。
私はひとり息子です。東京の大学に出てきたのは18歳でしたので、およそ30年の歳月が過ぎていました。今でこそ道路が整備され、山を越えれば新幹線の駅もあるような町ですが高齢の母をひとりにしておくことは出来ないと思いました。
ですから独身の私は母を東京に呼び一緒に暮らそうと思い、そのことを母に伝えました。
すると母は言ったのです。

__田舎者の母ちゃんは山があって田んぼがある場所がいい。とてもじゃないが東京のようなビルばっかりの都会では暮らせないよ。

私は母のその言葉に里心がついたのかもしれません。
それならと仕事を辞め田舎に戻ろうと思いました。田舎で仕事を見つけようと考えました。それに道明寺は大企業です。定年まで勤めあげなくても退職金はそれなりにあります。だから暫く母の世話に専念しても金銭面の問題はないと考えました。
するとそんな考えを持つ私に母は再び言いました。

__母ちゃんのことは心配しなくてもいい。あんたが働いている会社の偉い人が全部手配してくれた。だから母ちゃんはひとりでも大丈夫だ。
それに母ちゃんは東京みたいにゴミゴミした場所より、イノシシやシカが出る田舎でのんびり暮らす方がいい。それにしてもあんたの会社の人は凄いねえ。大学病院の先生が母ちゃんの担当になってくれるって言ったよ。それから何かあったらこのボタンを押せばすぐに警備会社の人が来るって小さな箱を置いてったよ。

母が言った会社の偉い人。
それが今の社長であることは直ぐに分かりました。
それは母の前に現れた男性の髪が特徴的な髪型だったと言ったからです。
あの時は前社長から今の社長に変わったばかりでしたが、社長のことは若い頃から存じ上げておりました。道明寺司という少年は破天荒___いえ、手の付けられない少年でした。
鉄の女と呼ばれた母親である前社長も反抗期の少年に手を焼いていたのです。
そして少年の周りにいたのは、彼の顔色を伺う人間ばかりで、誰も少年の素行の悪さを咎めることはありませんでした。

しかし、そんな少年もひとりの少女と出会い自分の進むべき道を決めたようでした。
17歳だった少年は少女に見合う男になるため生き方を変えたのです。
一人前の男になるため、ひとりの少女を幸せにするために自分を変えることをしたのです。
いえ、違います。正しくはそうではありません。少年は世界中でその少女だけが自分に幸福を授けてくれるのだと気付いたのです。つまり少年が少女を幸せにするのではなく、少女によって自分は幸せになることができる。だから少年は自分自身が幸せになるためには自分を変えなければならないことに気付いたのです。
そして私は少年が変わっていく様子を間近で見ていたのです。
やがてアメリカの大学を卒業した少年は、いえ青年は家業を継ぐため道明寺に入社しましたが、そこに私が知っているかつての少年の姿はありませんでした。


前社長の引き際は見事でした。
社内には社長の息子が跡を継ぐことを反対する勢力がありました。
しかし、100年以上の歴史を持つ会社を若返らせる必要があると感じていた社長は、反対勢力の先頭に立つ常務とその一派を一掃するため、彼らが行っていた不正の証拠を掴み突きつけたのです。
その不正は常務の名誉にかかわる問題でした。ですからそのことを表沙汰にしない代わりに、自分の退任と同時に彼らを辞任させたのです。
そして私は前社長の秘書から新社長の秘書になりました。それは新社長から自分に仕えて欲しいと言われたからです。

17歳の時に出会った少女と結婚し父親になっていた新社長は、精力的に仕事をこなしました。道明寺を前社長の頃よりもさらに大きく発展させました。
そして私は自分が成すべき仕事をして社長をお支えしてきました。

外は嬉しくなるような春の陽射しが降り注いでいます。
私はそんな日に、後任の秘書室長からセロファンとリボンでラッピングされた花束を受け取り会社を去ります。花束には言い尽くせない思いが託されていると言いますが、果たして私が受け取る花束には何か思いが託されているのでしょうか。

「西田、来てくれ」

私はインターコムで社長に呼ばれ席を立ちました。
そしてすぐに社長室に向かうと扉をノックしました。

「入れ」

その声に私は扉を開け「失礼いたします」と言って中に入りましたが、恐らくこれから言われることが私の秘書としての最後の仕事になるのでしょう。
そう思う私は社長の言葉を待ちました。

「バッジはどうした?」

道明寺ほどの有名企業になると社章を悪用されることがあります。
ですから、まもなく会社を去る私は返納しようと、すでに背広の襟にある社章を外していました。

「こちらにございます」

私はポケットの中からバッジを取り出すと手のひらに乗せました。
すると社長は言いました。

「西田。悪いが外すのはもう少し先にしてくれ」

「は?」

私は社長の言った言葉の意味が分かりませんでした。

「新しい秘書室長、つまり俺の新しい秘書だが、自分は若輩者で俺の秘書を務める自信がないと言い出した」

確かに道明寺司という男は非常に癖のある男です。それは誰もが良く知ること。
だから私がバトンを渡すはずだった人間も知っていたはずです。
そして彼は私が認める優秀な人間です。自信を持って私の後任に勧めました。
しかし、道明寺司の秘書は自分に自信がない人間が務めることは出来ません。どうやら私の人選は間違っていたようです。

「だからお前を俺の秘書として留め置くことにした。俺が社長としての責務を全うするためにはお前の存在が必要だ。だから悪く思うな」

社長は悪く思うなと言いましたが、それは本心ではございません。
悪いなど思ってはおりません。
何故ならその顏には少年の頃によく見た、いたずらっぽさが浮かんでいたからです。
私は外していたバッジを元あった場所に戻しました。
そして背筋を伸ばして言いました。

「社長。さっそくですが今夜は佐藤電産の会長と会食の予定がございます。佐藤会長におかれましては、先日お孫さんがお生まれになられました。つきましてはお祝いのお品物をお持ちになられてはいかがでしょう?」

すると社長は、にやっと笑い「お前に任せる」と言ったのです。
だから私は無表情で答えました。

「かしこまりました」




< 完 > *バトンを渡す日*
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2022
03.07

金持ちの御曹司~業務命令~<後編>

司は酔いつぶれた女をベッドに降ろした。
そして服を脱がせると、女の身体を楽々と裏返し枕元に置かれているロープを掴んだ。
『しぼりたて生しょうゆ』が『しばりたて生しょうゆ』に見えてしまう男は、マンションの部屋にロープを用意していた。だから酔って寝てしまった女を自宅まで連れ帰ると、これまで自覚することがなかった自身の性的嗜好を満足させることにした。
だが相手が誰でもいいという訳ではない。
相手は好きな女でなければリビドーは満たされない。
そう。相手はエリアマネージャーの牧野つくしでなければならないのだ。彼女に対し支配的立場をとりたいのだ。彼女を愛の奴隷にしたいのだ。

司はうつ伏せになった女の胸の上と下を縛り上げたが、女は目を覚ますことなく黙ってされるがままだ。次に両腕を後ろ手に交差して手首を縛ったが、荒い繊維は柔らかな白い肌に痕を残すだろう。

司は、囚われの身になった女の尻を持ち上げ貫きたい。
冷血な獣のように無防備、いや、縄で縛られた女を無理矢理犯したい。
だが貫くのは後ろの穴にするか。それとも前の穴にするか。
どっちを責められるのが好きか本人に訊いてみてもいいが、どちらにしても、その姿はみだらな姿には変わりない。そしてその姿を想像する司の胸は、いやがうえにも高鳴り身体は欲望でうずき、痛いほど切望した。それに牧野つくしがこれまでどんなセックスを経験してきたか知らないが、とにかく司は柔らかい彼女の尻の奥まで思いっきり貫きたかった。
だがこうして縛っている今は、まだ早いと本能的に前に出ようとしている身体を抑えていた。
そして司は彼女とこうするため、拘束プレイではなく本格的な縛りを学んだ。その道のプロから指導を受けた。するとその道のプロは、「君は筋がいい。君は支配する側の人間だ。この世界でご主人様として働かないか。君なら大勢の女性を奴隷として持つことができる」と司を誘った。だが司が支配したいのは一人の女であり、その他大勢の女はどうでもよかった。だから断った。


「…..う….ん…..」

どうやらうつ伏せになった女は目が覚めたようだ。
そして身じろぎもせず視界に入った世界について考えているようだ。

「目が覚めたか?」

女はうつ伏せのまま首をそらせ声がした方を見たが、素っ裸の司の姿にギョッとした。
司は真冬でもパジャマを着ることなく全裸で寝る。だから女を縛っている間も裸でいたが、その間、欲望しるしは硬直して直角よりも高く上がっていた。
そして目覚めと同時に酔いも醒めた女は、一瞬ののち自分が裸で縛られていることに気付いたようだ。

「何これ……道明寺店長これは一体どういうこと?」

司は口角を微かに上げ笑った。
縛りの指導をしたその道のプロは、司の笑い声をみだらで官能的だと言った。
低音で深みのあるバリトンの声は女のアソコを濡らすと言った。
けれど女の黒い瞳は怒りで濡れた黒曜石のように光っている。
だが女は怒りながらも、その背筋は震えていた。それは恐怖を感じているからだ。

「どうもこうもない。俺は店の棚に並んだしょうゆの容器を見て以来、お前の縛られた姿を想像していた。だからこうしてお前を縛った」

「店の棚に並んだしょうゆの容器?…..いったい何のこと?意味が分からない。それに何なのこれは!どういうことなのか説明しなさい!」

エリアマネージャーとして司より立場が上の彼女は、背後から自分を見下ろす司に声を荒げ命令口調で言った。
だが司は『しぼりたて生しょうゆ』が『しばりたて生しょうゆ』に見え、その容器が縛られた牧野つくしの姿に置き換わることを説明するつもりはない。
それよりも今は、その妄想によって明らかになった自身の性的嗜好が満たされることが重要だ。
それは縛られた女との性交だが、それが暴走した妄想だとしても止めることは出来ない。
それに裸で偉そうに自分の立場を主張されても、その姿には権威もへったくれもない。
だから司はそんな女に「俺はお前が欲しい。だがただ欲しいんじゃない。俺はお前のことが好きだ。そして俺は縛られたお前を犯したくてたまらなかった。だから縛った」と言って牧野つくしの下半身を掴むと弓なりにもち上げた。すると女はシーツに顏を埋める形になったが、そこで自分の身に起こることが予測できたようだ。だから縛られたまま身体をよじる。

「いや…….止めて…….道明寺店長止めなさい!手を離して縄をほどいて!ほどきなさい!これは命令よ!」

司は女の言葉を無視した。
もう牧野つくしは司のもので、司の好きに出来る。だから興奮で身体じゅうが震えた。
それに女も裸で縛られていては強気でやり過ごすことは無理だ。
女に司を止めることは出来ない。
だから司はからかうように言った。

「命令?それは業務命令か?もしそうだとしても、今のお前は俺に命令は出来ない。何故ならお前はこれから俺に支配されるからだ。だから抵抗は時間の無駄だ。それに今俺とお前の間にあるのは俺の意志とお前の快楽だ」

司は言うと迷うことなく前の穴に自身を沈めた。
するとその瞬間、女は悲鳴を上げたが、司の下半身には快感が走った。
だからもっと深く女の中に入った。

「こうして___お前は__俺に支配されている__だから__お前は__俺からは逃げられない」

司が言葉を切るたび再び女の口から悲鳴が上がる。
それはひと言ごとに司の腰が突き出されるから。
湧き上がってくる欲望は女を激しく責めろと言っていた。

「ああっ!……やめてぇ……!!」

「止めない。それに抗っても無駄だ。俺はお前を離しはしない。お前は俺のものだ。俺はお前のことが好きだ。だから俺を拒むな。受け入れろ」

司は2時間近く女を責めた。
縛った身体を弄んだ。
それでも司の分身の昂りは治まらなかった。
いやむしろ、もっと女が欲しくなった。
だから「牧野…..牧野….. 」と女の名前を呼びながら腰を打ちつけていたが、そのとき司の耳に届いたのは「ほん!」という声。
そして次に耳に届いたのは「うおっほん!」という言葉。
だから目を開けたが、そこにいたのは秘書の西田で「うおっほん」とは秘書の不自然な咳だ。

「支社長。おやすみのところ申し訳ございません。先日取材を受けた雑誌が発売されることになり出版社から送られてまいりましたのでお持ちいたしました」

秘書はそう言って机の上に経済誌を置くと出て行った。

司は秘書の言った通り最近雑誌の取材を受けたが、質問の中に、「あなたの好きな食べ物は何ですか?」という項目があった。
司は取材でそう訊かれた時の答えは決まっていて「特にない」と答える。
だが本当はある。司の好きな食べ物はお好み焼き。
しかし「特にない」と答えるのは秘書から指示があったから。
何しろ男は世界的な企業の跡取りであり、道明寺財閥の御曹司。
そして世界中の美食を知ると言われる男。
そんな男の好きな食べ物が「お好み焼き」では司のイメージに合わない。
だから秘書から「特にない」と答えて欲しいと言われていた。

だが司は世間が自分をどう思おうと関係ない。
本当は声を大にして好きな食べ物は、お好み焼きだと言いたかった。
そして子供の頃、それを焼いてくれたのは姉だが、大人になった彼のために焼いてくれるのは恋人だ。
そして司は昨日、地方出張から戻ってきた彼女にお好み焼きを焼いてもらった。


「ねえ。あたしがいつも焼くお好み焼きって生地に具材を混ぜ込んで焼くでしょ?あれは関西風。でも今日これから焼くのは広島風お好み焼きよ。広島風は具材をひとつずつ重ねて焼く重ね焼きなの。大丈夫よ。あっちで教えてもらったからまかせて!」
と、恋人は自信満々に言ったが出来上がったのは思っていたものとは違ったようで、
「あれ?おかしいわね?なんだか違うわね」と笑った。

司は基本恋人が作ってくれた料理は何でも食べる。
多少の好き嫌いはあるが我慢する。
だからお好み焼きも恋人が焼いてくれるなら、関西風だろうが広島風だろうが関係ない。
そして、お好み焼きを食べ終えた男の歯に付くのは青のりだが、女性の誰もがその青のりになりたいと望むはずだ。だが世界ひろしと言えども、道明寺財閥の御曹司に向かって歯に青のりが付いていると指摘する人間はまずいない。
それは世の中には触れていいことと悪いことがあり、分別のある人間なら見て見ぬふりをする方が自分のためになることを知っているからだ。
しかし一人だけ指摘出来る人間がいる。
臆することなく真実を告げる人間がいる。
そう、牧野つくしだけが司の歯に付いた青のりを指摘することができる。
何しろ彼女は初めて会った時から真実だけを司に告げていた。


「ねえ。歯に青のり付いてるわ」

だから司はいつも言う。

「お前が取ってくれ」

それはキスで青のりを取ってくれという意味。
だから恋人は立ち上ると司の傍に来た。
そして彼の肩に手を置き少し顏を屈めると司の唇に唇を重ねた。


司はこうして昨日の夜の出来事を振り返ったが、それにしても何故恋人を縛るなどというおかしな夢を見たのか。
だがそこで思い出した。恋人の家には『しぼりたて生しょうゆ』と書かれた醤油の容器が置かれていたことを。そして恋人がその便利さを褒めていたことを。
だから恋人が褒めた醤油の容器が夢の中に現れたのだろう。
それに夢は幻覚。
だが夢は過去、現在、未来の状況を暗示するとも言われている。
と、なるとあの夢は未来の状況なのかもしれないが___
いや、それは絶対にないと司は首を横に振った。
だがもし彼女がそれを望むなら、冒険したいと思うなら、その願いを叶えるのが恋人である司の役目だ。
だから夢の中で経験した通り、その日に備え縛りを学ぶべきなのかもしれない。
そうだ。業務命令として、そうすることを望まれた時のために練習を積んでおく必要が……
だがそこまで考えた司は笑った。
そして「そんな必要はないな。あいつは今でも恥ずかしがり屋だ、それに俺のあいつへの気持は欲望だけじゃない。俺のあいつへの気持は愛と優しさだ」と呟くと溜まっている仕事を片付けるべく机に向かった。





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