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2015
12.10

恋の予感は突然に 1

「あたし、どうしても子供が欲しいの!」
つくしは目の前の友人の両手を握っていた。

「つ、つくしいきなりどうしたの?ちょっと待ってよ!」
「滋さん、お願いだから協力して!」
「いや、そんなこと言われても・・どうしたのよつくし!酔っぱらっちゃったの?」
滋は友人の顔をまじまじと見た。

「あたし・・自分の子供が欲しいのよ・・このままひとりぼっちは嫌なの・・」
「・・だけど、相手は誰でもってわけにはいかないの。あたしよりバカな男がいいの・・」
つくしは小さく呟いた。

「つくし・・それは・・・我が子が欲しいってこと?」
滋はびっくりしすぎて言葉に詰まりながら聞いた。

「・・うん」
つくしは顔を赤らめて言った。

「だ、だけどね・・つくし・・あのね・・子供ってのはデパートとかで買うわけにはいかないし・・あのね、聞くけど・・したことあるの・・?セックス・・」
滋はおそるおそる聞いてみた。

「・・ない・・」つくしは首を横に振った。
「だって今までそんなチャンスなんて無かったもの・・」

「・・だよね、あんた勉強ばかりでさ、男と付き合ったことがないもんね・・」
滋はやっぱりね、というふうに言った。

つくしは目の前に置かれていたカクテルを一気に飲み干した。

「だからっ!お願い。滋さんの知り合いで、バカな男を紹介して欲しいの。別にその人と結婚したいとかじゃなくて・・こ、子供だけ欲しいのよ!」

「あ、あたし恋愛なんてしたことがないから・・よく分からないんだけど、お、男の人って相手を愛していなくても・・セックス・・出来るんでしょ?」
「そりゃ、あたしの周りにだって男の人はいるけど、知り合いになんて・・頼めないし・・。それにあたしの周りには頭のいい男性ばかりじゃない?嫌なの・・そういう人は・・」
つくしは消え入りそうな声で言った。

「ねぇ、つくし・・・もしかして・・子種だけ欲しいってこと?」

「うん、そう」つくしはぎこちなく頷いた。
「でね・・あまり頭が良くない人がいいの・・かっこよくなくてもいいの。後腐れのない人がいいの。割り切って・・その・・セックス・・してくれる人がいい」

「でもどうして?子供の父親なんだから頭も顔も良い方がいいに決まってるじゃない!」
と滋は当然のことのように言った。

「いいの。だってね・・・あたしなんて恋愛・・出来そうにないし、そのうちにあたしの周りにいる頭がいい人と結婚させられて・・あたしなんかより頭がいい子供が出来たら、その子がかわいそうだもの・あ、頭のいい子なんてクラスでいじめられるし・・・それに・・あたし、今日で33歳だよ・・」
つくしは情けなさそうに言うと上着のポケットからハンカチを取り出すと思いっきり鼻をかんでいた。

「だからね、滋さんの知り合いでバカな男性を紹介して欲しいのよ!滋さんの知り合いなら身元は確かだし・・へんな病気とかも・・心配なさそうだし・・滋さんならそのくらいは調べることくらい出来るでしょ?」

「も、もちろん相手に認知しろとか、そんなことは一切言わないしお金のことも問題ないから大丈夫!あたし貯金も沢山あるし、仕事だってきちんとしてるし。その人に迷惑をかけることなんて一切ないから!」


「あたしは男なんて必要ないの。子供が欲しいのよ!男は必要ないのっ!」
とつくしはテーブルのうえを叩いた。











クラブの奥まったソファに腰を落ち着けるやいなやシルクのネクタイを引き抜く男にあきらは聞いた。
「なあ、司。おまえ今度の誕生日に何が欲しいんだよ?」
「あ?誕生日だぁ?」
「そうだよ、おまえ何んか欲しいものはないのか?」
「別に・・」
司はむっつりとした顔でテーブルのうえにあるバーボンに手を伸ばしていた。


「なあ司、おまえももういい歳なんだしいい加減身を固めろよ」
「そうだぞ司、お前んとこそろそろちゃんと後継者でも作っとかないと将来もめるぞ?」
二人の男は自分達のことは棚にあげ、責めるように言った。

「んなこと俺には関係ねぇな。 結婚なんてメンドクセーことするかよ!」
司の顔に浮かぶのはいつもの表情だった。
いかにも面倒だと言わんばかりの顔でグラスを傾けていた。

「だからっていつまでもフラフラしててもしょうがねぇだろ?」
総二郎はそう言って運ばれてきた飲み物を手をした。
「そうだよ、総二郎の言うとおりだ。どっかのお嬢とでも結婚しちまえよ!」
「そんな面倒なことやってられっかよ!女なんてうるせえし、やることだけやりゃあ用はねえだろ?おまえらこそ自分の心配でもしやがれ!」
司はいら立った顔で二人を睨みつけた。



司は小便に行くといって席を立つと薄暗い通路の奥へと消えて行った。
「なんか司、荒れてるな」
「なあ あきら、滋まだ日本にいたよな?」
「ああ、・・・おまえまさか司と滋をくっつけようとか思ってんじゃねぇよな?」

「あほか。あいつら昔、見合いしてダメだったろ?そうじゃなくて滋にだれかお嬢を紹介しろって言う話だよ」
「なるほどな。滋なら司に似合うようなお嬢様の知り合いも多いよな?」
「だろ?だから滋に司にふさわしい女を紹介してもらおうぜ!」
総二郎はそうは言ったものの、滋の知り合いってまさかみんな滋みたいな女じゃねぇだろうな?と心配していた。



「けどなぁ・・司は今んとこ女には不自由してねぇしなぁ・・」
あきらは大きく息をついた。
「いいや、この前付き合ってた女とは別れたっていってたから、あれから随分と御無沙汰のはずだぞ?」
「じゃあ、最近のイライラはアレか? 男の欲求不満か?」
あきらは眉間に皺を寄せるとまさか男の更年期にしちゃまだ早えよなと言う顔をした。
「あれだ。溜まってるんだろうよ」総二郎は頷いた。
「だからよ、司の誕生日はイイ女をプレゼントするってことでどうだ?」
「それいいじゃん!それもとびっきりのセクシーな女なんてどうだ?」


「おっ?それいいんじゃねえ?」
「しかたねぇよな。司の欲求不満解消のためと道明寺の将来のためだ」
総二郎はあきらのほうを見やり、ニッと笑った。


「俺たちでひと肌脱ぐってことで!」
「さずが総二郎、俺たち江戸っ子だもんな!」
「だな!」
と二人は顔を見合わせた。








今月はつくしちゃんのお誕生月ですね。今年で幾つになったのでしょうか(笑)
来月は司くんのお誕生月ですので、二人のお誕生日に絡めたお話をスタートしました。
二人の幸せの為にもこちらは明るいお話です(笑)またよろしくお願いします。
重く暗いお話しを書いていると気分が沈んでしまいました・・。

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2015
12.13

恋の予感は突然に 2

「つくし、わかったわ。滋ちゃんにまかせなさい!つくしとは長い付き合いだもの、つくしがどれだけ真剣なのかわかったからね!」

「つくしからお願いされることなんて滅多にないんだからあたしがつくしの願いを叶えてあげる!上手くいけばつくしは来年の今頃には赤ちゃんと一緒に誕生日を迎えられるからね!」

「ありがとう滋さん。あ、あたしにバカな男を紹介して!」
つくしは目の前の滋の両手をしっかりと握りしめた。

店内は忘年会シーズンも終を迎えてはいるものの大人数のグーループが楽しそうに騒いでいるなか、滋は向かいに座っている親友が何杯目かのアルコールをぐいぐいと飲み干す様子を眺めていた。
そしてこの様子じゃぶっ倒れてしまうのではないかと心配していた。



かわいそうなあたし・・・
以前一度だけ付き合いを始めようかと考えた男性がいた。
が、その男性は若い女性とも付き合いがあった。
話しがあると言われて聞いてみれば『悪いんだけど、やっぱり女性は若い子の方がいい』
なんて言われて振られた。
男なんて!
若くて胸の大きい女の子が好きな単細胞ばっかりっ!


「つくし、あんた飲み過ぎなんじゃない?」

うん!飲み過ぎかもしれない!
でも飲む理由だったらある。
だって決めたんだから!

つくしはペーパーナプキンで口元を拭うと言った。
「ねえ、滋さん・・」
「なに?つくし?」

「あんな人がいい・・」
「え?どんなひと?」

「ほら、あれ見て?」
つくしが指をさした場所にあった大型テレビの中に映し出された男。
消音状態で映像だけが流されている画面いっぱいに男が映っていた。

「ねえ、つくし・・あんな人ってどの人?」滋はつくしの指さす方を見た。

「うんうん、あの人みたいな人。チャラチャラしてぇ・・ホストかなにかみたいに軽い人がいい・・でもちょっと顔がよすぎるのよね・・・」
つくしは首をかしげるとくすくすと笑いだした。
「つくし、どの人のことを言ってるの?」

「あ、あの頭がクルクルしてる人。なんか変な頭だよねぇ~頭クルクルなんてなんかバカっぽいよね、アハハ・・」

「男4人でチャラチャラしちゃってさっ!」 と言うと顔をしかめて見せた。


つくしは酔いがまわったのかケラケラと笑い出していた。

「ちょっと、つくし!しっかりしてよ大丈夫?」


「つくし、あのね、あの4人はねF4って言ってね・・」

「な~によそれ?エフフォ~?ってどっかのホストクラブ?」

「とにかく、頭がクルクルしてるのは道明寺司って言ってね、道明寺ホールディングスの・・」

つくしは目の前の滋の指先をギュッと握りしめた。
「滋さんっ!ん・・誰なんだか知らないけど、あたしってどうしてあんなふうなチャラチャラして薄っぺらいくらいの男性に出会わないのかな・・・バカっぽい男なのにね・・」


「つくし、あんたなに言ってんの。司がバカっぽいって?」
滋はつくしの言葉に耳を疑っていた。
司はF4のなかでも一番バカっぽいが似合わない男だ。経済誌の表紙を飾るにふさわしい男で、頭が切れるのはもちろんだが、その容姿からも注目を集める男だった。
その男はいま、テレビ画面のなかでインタビューを受けていた。
このインタビューは以前見たことがあると滋は思った。
確か数日前の映像だ。インタビュアーのくだらない質問に一瞬顔をこわばらせた司は、そんな相手をひと睨みして黙らせていた。

「ねえ、つくし、あんた本気で言ってるの?司みたいな男に本当に子供の父親になってもらいたいって・・」

「やっだぁ~滋さん違うって!父親なんて要らないのよ。あくまでも遺伝的要素だけ欲しいの。あんなふうにバカっぽい男がいいのっ! だって見るからに単純そうじゃない?細胞の数も少なそう・・・だいたいあの髪なによっ?おかしいと思わない?
顔がいいのはおまけってことで・・・あ、でも顔って遺伝するのかなぁ・・」
つくしは声をあげて笑っていた。
そしてまた目の前に用意されたグラスに口をつけると、そのままテーブルのほうへとズルズルと身体を傾けて行った。

滋はつくしがこれ以上アルコールを口にしないようにと、テーブルのうえのグラスを脇へと押しやった。


滋はいよいよつくしの頭がどうかしたんじゃないかと思っていた。
この友人は頭だけは良くて、勉強だけは人一倍頑張った子で、それ以外はまったく世間を知らなくてアカデミックな世界を漂ってきた人間だった。
そのうちにノーベル賞でも取るような研究成果でも成し遂げるんじゃないだろうかと言う気もする。
いくら自分が頭がいいからって、子供の父親にバカな男を求めて自分とその男の遺伝子を足して割れば、自分ほど頭のよくない子供が生まれるだなんてことを本気で考えているつくしがおかしかった。

確かにつくしは頭が良すぎて周囲から浮きまくっていたことは事実らしい。
日本に飛び級制度があれば、とっくに高校も大学も卒業していただろう。
頭が良すぎて寂しい思いもしたのは確からしい・・
子供らしい遊びも知らず、その才能を見出されたことによってひたすら勉強に励んできたのだから。
だからせめて我が子には普通の生活を送らせてやりたいと思ったのだろう。
そして、ひとりぼっちはもう嫌だと呟いていた。


滋は自分でも信じられないことを口走っていた。

「ねえ、つくし?もしもなんだけどね、あの人を紹介してあげるって言ったらどうする?」

「え?滋さん、それ本当なの?」
つくしは突っ伏していたテーブルからおもむろに顔をあげた。

「だから司を・・あの男をね、つくしの子供の父親にするために協力するって言ったらつくしはどうする?」

「滋さん、あの人を知ってるの?」
つくしは滋をまじまじと見た。
「うん・・ちょっとね・・」


滋は考えた。
司もいい加減身を固めて欲しいとおば様も言っていた。
ならちょうどいいじゃない?
司の誕生日ももうすぐ来るんだし・・・あいつももうすぐ34歳だ。
司とつくし・・・タイプは正反対の二人だけど面白いかも・・
つくしは司の好きなタイプとはちょっと・・・いや随分と違うかもしれないけどこの子だって化けることは出来るわよね?
お化粧とか着る物とかちょっと手を加えればすぐにいい女になるわよ!
この二人・・案外いいパートナーになるかもしれない・・

「つくし、あんたが本気でやるんだったら協力は惜しまないからね!」
「・・あとは・・つくしのヤル気しだいなんだからねっ!」
今日は12月28日だ。司の誕生日までまだ一カ月はある。
つくしを・・司へのプレゼントにするのもいい考えだと滋は思い始めていた。







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2015
12.14

恋の予感は突然に 3

つくしは固く目を閉じていた。

どうしよう!酔っていたとは言え滋さんにあんなこと頼んじゃった!
ああ、どうしよう!
滋さんのことだ。すべて本気にしているはずだ。
あんなことを言うなんてあたしはよっぽど寂しい女なんだろうか?
よりにもよってセックスの相手を探して欲しいだなんてこと!


でもそれは子供のためよ!
あくまでも生物学的なことよ!
人間だって動物なんだし、そ、そのへんの犬や猫だってやってるじゃない。
あたしだってもう33なんだし、いくら今まで恋する暇が無かったからと言ってなにも知らない子供じゃないもの。

いざとなれば・・・女は度胸よ!

プロの恋人・・いいじゃない!割り切ってできるわよ!
いや、恋人じゃない・・ただの精子提供者よ!
自分の家族を持つこと・・それが実現するかどうかはあの男にかかってる!






二人の男は滋の目の前で女性差別も甚だしい発言をしていた。
なんの用かと呼び出されて来て見れば女の算段だったとは!
いくら西門邸でお上品にお茶を頂いていてもこんな俗界にまみれたような話しをしては
開祖も泣くだろう。

「だから、滋の知り合いで司に似合うようなお嬢を紹介してやってくれよ」
「そうなんだよ、司の誕生日のプレゼントなんだ」

「それ、どういうこと?」
滋は一服したあと、飲み口を指先でぬぐうと胸元の懐紙でその指先を清めた。

「だからよ、司がすげぇー機嫌が悪りぃんだよ。あいつ女と別れて随分とたつけど、次につき合う女がいねぇのか溜まってんだと思うんだけどよ、とにかく機嫌が悪りぃんだ」

「あのね西門さん・・あたしも一応女なんですけど?そんな男尊女卑な発言やめてくれない?」
滋は拝見いたします。と言って茶碗を手にとるとしげしげと見ていた。
そしてその棗(なつめ)も貸してと言って手に取っていた。


「滋、おまえ今更だろ?」

「司のやつ、自分の年も考えずにつき合う女って25歳以下の女ばっかだろ?それもちょっと頭が足りねぇような女ばっかしだろ?」
「そうだよ。でもな滋、俺たちが司に紹介してやりたいのは、もっとこうセクシーで大人の魅力を備えているような女なんだ。滋の知り合いのお嬢様のなかにそんな女はいねぇか?」


「なに言ってるの、西門一門の弟子にもそんな女性のひとりやふたり居るでしょ?そんな女のひとりとすりゃいいじゃん!」
いい質問だ。

「いや、そりゃダメだ。司は俺と兄弟にはなりたくねぇから俺の知ってる女なんかとは絶対に付き合おうとしない」

「あはは!それは言えるかもしれないね!」

「ま、そんなことはどうでもいいんだけどよ、滋の知り合いにいねぇか?セクシーで大人の魅力を備えた女」

「うーん・・いない・・ってこともないんだけどね・・彼女深窓のお嬢様でね・・男性経験が・・あまりないって言うのかな?」
―――と、いうか全然経験がないんだけどね。


「いいじゃんそれ!そのお嬢様紹介してやれよ!」
総二郎はが口をはさんだ。

「でもそんなことして司がどう思う?司だって女の好みってのがあるでしょ?あたしでいいんならあたしが行くけど?」

「「おまえはダメだ!」」と滋は一蹴された。

「とにかく、好み云々は大丈夫だ。あいつには酒をしこたま飲ませていい気分にさせてやるから」
「要は司をいい気分にさせてやってくれたらいいんだ。一発やってすっきりさせりゃ元の司に・・いや、ちょっとは機嫌がもとに戻るんじゃねぇの?」

「はぁ・・まったくアンタ達が考えることって・・」
と滋はその先に言う言葉を呑み込んだ。




でも・・・ある意味渡りに船とはこのことだと滋は思った。

そして司みたいな傲慢で我儘で・・・でもセクシーな男がつくしと知り合ってどんなふうに変わるのか見てみたいと思った。








「なあ司、俺たちおまえの誕生日には何か特別なことをしてやりたいって考えてるんだ」

「そうだぞ司、俺たちで最高のプレゼントを用意してやるから楽しみにしとけよ?」

リムジンのなか、仕切られた後部座席に座る四人の男達のうち三人は顔を寄せ合っていた。

司はむっつりとした顔でスモークの貼られた窓の外を眺めていた。


「へぇ。あきらと総二郎でなんか凄いプレゼント考えてるんだね?」

「そうなんだよ、類。今の俺たちには司に女を調達してやることが一番の仕事だ」
「あきら何だって?」類は自分の耳を疑った。
「おい、類でけぇ声出すな!これはまだ司には秘密なんだからよ」
あきらは声をひそめて言った。

「だってよ、最近の司を見て見ろよ・・オトコの更年期じゃねぇかってくらいイライラしてるだろ?一番被害を受けるのは俺だぞ?」

「でもあきら、本気なの?司って意外と潔癖だよ?どこの誰だかわかんない女なんて・・」

「類、大丈夫だ!滋の知り合いに深窓の御令嬢がいるらしんだわ。その女を紹介してもらうことになってんだ」
「でよ、うまく行けば司も気に入ってつき合い始めるかもしれねぇだろ?そうすりゃ一石二鳥だ!」
「言ってる意味がわかんないんだけど・・?」
あきらは司を見やると類に諭すように言った。
「だから!司が気に入ればそのままつき合ってゴールインだ!そうすりゃ俺らも救われるぞ?」

「ねえ、大河原が紹介してくれる女ってどんな女なの?」類は興味深そうに聞いた。
「おう、なんでも深窓の令嬢だから、そっちの経験が少なくて美人でおっぱいもデカくて
いい脚してるらしいぞ」
あきらはにやにやと笑いながら言った。

「ちくしょう、司のやつ羨ましいじゃねぇか!そんな脚を俺の腰にも絡めて欲しいよな・・」
総二郎は本気なのか冗談なのか分からないような言葉をかましていた。







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2015
12.15

恋の予感は突然に 4

年が明けると小雪が舞うような寒い日々がやってきた。
つくしは窓の外を眺めながらあの男性のことを考えた。






「ねえ、滋さん・・あたしやっぱり無理・・」
「つくし!なに言ってるのよ!つくしが頼んだことでしょ?」
「それにつくし言ったわよね?生物の機能はよくわかってるって!何も知らないって言ってもたまたまそう言う経験がないだけでやり方はわかってるって言ったじゃない?」

つくしはコーヒーを注ぐことに意識を集中させていた。
そしてこれ美味しそうだから買ってきたと滋が持参したケーキと一緒に差し出した。


「うん・・そうなんだけどね・・」
実はあれから色々と勉強した。
ネットや本で勉強したんだから。

「いい?つくし・・司はね・・ああ見えて避妊はきちんとしてる男なのよ。だから変な病気にはかかってないから大丈夫よ。だから・・これ・・」
と正方形の小さな袋を手渡された。


つくしは渡されたそれをしげしげと見つめた。
「・・・コンドーム?」
「こ、こんなの付けたら子供ができないじゃない!」

「つくし、大丈夫だから!ちゃんと聞いて!」
「これはね・・・なんちゃってなの・・」

「なんちゃって・・?」
「そう。これね、・・・穴が開けてあるのよ・・」

「先っぽにね、針で穴が開けてあるの・・だから・・司にはこれをつけさせれば・・ね?」
どうしても相手をモノにしたい男女がこんな小細工するのよねぇ~と言うと分かるわよね?とばかりに言った。

「いい?司は避妊した自覚はあるはずだから間違ってもつくしが妊娠するなんてことは絶対に考えていないから」
「とにかく、あいつがつくしのことを気にするなんてことはないから、子供が出来たらつくしだけのものだからね!」


「まあコンドームだって100パーセント安全とはいえないんだけどねぇ」


つくしは神妙な顔で頷いた。
「ねえ、も、もしもの為に・・それ・・持ち帰った方がいい?」
「え?もしもの為って?」
「だ・・だから・・保存?」
「ばっか・・つくし、あんたねぇ。持って帰ったからってどうにかなる訳ないでしょっ!」
まったくこの子は頭がいいんだか、天然なんだかよくわかんないわ・・


「いい?とにかくつくしの排卵日に合わせたんだから、頑張んなさいよ!それにしてもつくしって排卵日まできっちり管理してるのね」
「う、うん・・・」
つくしは頷きながらケーキを口にしていた。

「本当はあいつの誕生日が良かったんだけど・・つくしの都合がねぇ・・」
「でね、つくしを司に引き合わせるために司の友達にもお願いしたの」
「えっ!し、滋さん、そ、そんなこと頼んだら・・まるであたしが・・」
つくしはそこまで言うと顔を赤らめた。

「なによ、つくし正直に言えばいいじゃない!つくし、そんなんじゃあんた一生無理よ?セックスなんて!」
「わ、わかってるわよ!」

「あのね、つくしはあたしの友人で深窓の御令嬢ってことで司に紹介するからね。
あいつの友達もつくしのこと司にお似合いだってプッシュさせるから」
「それにあいつの友達が司をいい気分にさせてくれるようなスペシャルドリンクを飲ませてくれるから、そこから先はつくし、あんたの腕次第なんだからね!寝転がってるだけじゃダメなんだからね!」
つくしは飲みかけのコーヒーを噴き出しそうになっていた。


「し、滋さん・・それどういう意味なの?あの人その道のプロじゃないの?」
つくしは素っ頓狂な声で叫んでいた。

「つくしなにバカなこと言ってんのよ!言ったでしょ?あいつはホストじゃないの!道明寺ホールディングスの日本支社長なの!」

「それでね、つくしは悪友から司への誕生日プレゼントって触れ込みになってるのよ」
「だから・・・これ付けて?」
滋はほほ笑みを浮かべると真っ赤なリボンを手にしてつくしに迫った。




そして
『いい?今回ダメだったら・・次の排卵日を狙わないといけないんだからねっ!』
『とにかく司にまたがったらいいんだからね!』
と露骨に言われた。
・・でもあたしどうしたらいいの?
相手はプロの恋人じゃなかった!
道明寺ホールディングスの・・・支社長・・?









ホテルの一室で四人の男のうち二人の男は司が黙ってウィスキーを飲む様子を眺めていた。
司はめったに酔っ払うことがない。

どれだけこいつに飲ませりゃ酔う?
まぁ酔っても出来ねぇことはねえよな?
ひそひそと話しをする二人に対して、類はソファに寝転んだ姿勢で本を読んでいた。

総二郎は司の空になったグラスにウィスキーをつぎ足しながら言った。
「なあ司、今日はおまえの誕生日にはちっと早いけどよ、俺たちからプレゼントがあるんだわ」

「なんだよ?なんかくれんのか?」
「ああ。とっておきのプレゼントを用意したからな!もうすぐ届くはずだからよ」
総二郎は時計を気にしながら言った。



気分は最悪状態だがこいつらと酒を飲むのは憂さ晴らしにはちょうど良かった。
とはいえ、簡単には酔えない。
どうせこいつらは俺が女と別れてから機嫌が悪りぃなんて考えているんだろうけど
そんなツマンネーことでイライラしてるわけじゃねぇよ!
ババァがうるせえんだよ。あのクソババァが!
女とつき合うたびにニューヨークから言われんだよ・・
別れりゃ別れたで言われるしよ・・

テメーで女用意したかと思ったらいきなり結婚しろだのいい歳した息子にいちいちうるせぇんだよ。クソババァ!

女とつき合うといつもこの問題に直面する。
道明寺家の跡取り息子の俺が後継者も作らずにフラフラしてんじゃ財閥の今後にも影響を及ぼすなんてことを抜かしやがる。

んなら今からでもテメーがもうひとり息子を生みやがれ!
別に好きでこの家に生まれたわけでもねぇのによ、クソッたれが!
永遠の愛だの結婚だのそんなもん信じられっかよ!
この前までつき合っていた女は子供が欲しいとほのめかしてきた。
女は狡猾だからな、どんな罠を掛けられるかわかったもんじゃねぇ。
セックスの相手としては楽しかったが俺は結婚向きに出来てねぇからな。


結婚するくらいならいっそのこと・・・


司はウィスキーをひと口あおった。
かすかに酔いがまわったような気もする。

「よう、あきら。俺へのプレゼントってなんだよ?」
「まあ、まて司。もうすぐ届くはずだからな?」
あきらは総二郎に目配せした。
「おれちょっと見てくるわ・・」

そのとき、ちょうど部屋のインターフォンが鳴り来客を告げた。

「おっ?届いたようだぞ、司!」
「俺も見に行くよ!」と珍しいことにソファに横たわっていた類までドアの方へと向かって行った。

なんだか知らねぇが、こいつら三人でなんか企んでるんじゃねぇかって気がするが
それももうすぐわかりそうだ。







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2015
12.16

恋の予感は突然に 5

だめなのは私生活だ。
仕事も順調、お金もそれなりに蓄えた。

そして、あの男があたしに子供を授けてくれたら私生活は充実する!



つくしは蝶蝶結びにされた真っ赤なリボンを首に巻いていた。
そう・・道明寺ホールディングスの支社長への少し早い誕生日プレゼントとしてホテルのドアの前に立っていた。


「つくし、ガンバって!」
滋はつくしの背中を軽く押すと部屋のなかへと押しやった。



「みんなさん!こちらはあたしの親友でまきの・・・じゃなかった・・牧田・・月子さん!」
「「まきたつきこ~?」」
類は二人の男の後ろで忍び笑いをしていた。

「なによ?西門さん人の名前になにか文句でもあるの?」
「つ、月子はねぇ・・長い間海外で過ごしてきて最近帰国してきたばかりなの!だから日本にあまり知り合いもいなくて・・」
滋はつくしに目配せした。
「ね?月子・・ほら、挨拶したら?」

「ま、まき・・牧田月子ですっ!」
・・ああ・・そうよ・・そうだわ・・
まさか本当の名前を名乗るわけにはいかないものね・・
それにしても滋さん!もっとましな名前を考えてよ!


「よろしく牧田月子さん。おれ美作あきら。で、こっちが西門総二郎と花沢類だ」

「さすが滋だ。おまえならなんとかしてくれると思ってたけど、可愛いじゃないか」
総二郎ははじろじろとつくしを見た。
「ま、こんなところで立ち話もなんだから奥へ入れよ」


「みんなごっめ~ん、あたしこれから用があるから帰らなきゃならないの」
滋は残念そうな表情を装って言いながらもひそひそと低い声で言った。
「いい?美作さん、月子はあたしの大切な親友なんだからね。へんな扱いしないでよ?」

滋は「月子ぉ~、ごめんねぇ~約束があるのを思い出したのよぉ~」と持って回ったような言い方をした。
そして「つくし、頑張んなさいよっ?」と耳元でささやくとつくしの背中をバシッと叩いた。


「つかさぁ~ちょっと早いけどお誕生日おめでとう!あんたもいい歳なんだからそろそろ考えなさいよ~月子はねぇあんたがバカな男でもいいって言ってるから一回くらいデートしてあげてよね~」

「じゃあね~そういうことだから、あとはみんなでよろしくね!」
と滋はウィンクを残し帰っていった。



滋が去ってからつくしはひとり部屋の真ん中で立ちつくしていた。
「牧田さんコートを預かるよ」
「おれ花沢類、よろしくね」

つくしは作り笑いを浮かべていた。
あのときテレビに映っていた4人の男性が自分の前にいる。
つくしはテレビに騙されたと思った。
この人たち・・みんな凄い!
頭脳のほうはどうだかわからないけど、顔だけは一流のモデル顔負けだ!

エフフォーとかいうホストクラブかと思ったらどうやら違ったみたいだけど。


そして、お目当ての男性はと言えば部屋の向う側から苦虫を噛み潰したような表情でこちらを見ていた。
そして冷たい視線をぶつけてきた。
つくしは背中にぞくりとしたものを感じながら滋から借りたとても実用的とは言えないような豪華なコートを脱ぐと花沢類に手渡した。

そのとき3人の男はつくしの首に巻かれた真っ赤なリボンに目を止めた。
つくしは大きく胸元が開かれたラップドレスを着ていた。
「おい、あのリボンって・・・滋のヤツ・・・プレゼント包装のつもりか?」
とあきらは呟いていた。





このドレスにしたのは・・・滋さんの勧めもあったからだ。
すべてを脱ぐことなくことを終えることができると思ったから。下着だけ脱げばことは足りると思った。
司を押し倒してまたがればいいんだからね!って滋さんホントなの?
おまけに滋さんはノーパンで行けば?なんてことを言ったけどそんなこと出来るわけない!




つくしはほほ笑みを張り付けた顔でお目当ての男を見た。

180センチを優に超える男はなんだこれ?
と言う表情でつくしを見ていた。
容赦なく見つめてくる視線につくしは息をのんだ。

「ところで牧田さんって年幾つ?まさか滋と同じなんてことねぇよな?」
「おいおい、やめてくれよ、滋と一緒だなんて30過ぎのババァじゃねぇかよ」
総二郎はへらへらと笑っている。
「ねぇ月子ちゃんって呼んでもいい?」
「類、おまえなに言ってんだよ!彼女は司の・・」

目当ての男は黙ったままで何も言わなかった。


なるほど。見た目は素敵だけど・・ちょっと鈍いのね?
そうよ、この男は頭が・・弱いのよね?
道明寺ホールディングスの支社長とかって言ってたけど、もしかしてお飾りのボンボン支社長?
鈍い男は大歓迎よ!

「と、年はに、、にじゅう・・28歳です!」
つくしは陽気を装いながら言った。

 
「月子ちゃん・・28歳なの?」
「へぇ~俺たちと5歳くらい違うんだ」
総二郎は腕組みをしながら頷いた。
「本当に28歳なの?なんか疲れてない?」

「し、失礼な!は、花沢さんっておっしゃいましたよね?ちょっと寝不足なだけです!」
「あ、俺のこと花沢さんじゃなくていいよ。類って呼んで?」
「だから類!やめろって。月子ちゃんは司の・・」
「そう?でも司って月子ちゃんみたいに痩せてる女の子ってタイプじゃないよね?」
そして司のタイプじゃないなら俺がと類は言った。

「類!おまえは黙ってろ!今日なんのために俺らがここにいるかわかってんのかよ?
司に日ごろの欲求不・・・ストレス解消をしてもらうためで・・」
総二郎はそういうと司の方を見やった。

「なあ、つ・・司、そんなとこ突っ立ってないでこっちこいよ?」
「そうだよ司、こっちに来いよ。彼女、滋がわざわざお前のために紹介してくれたんだぞ?」

「ど、どうだ司、いい女だろ?」




司の背中の向う側には大きな窓があり、東京の夜景が広がっていた。

司は眉をひそめた。
「どこが?」
「ただのチビじゃねぇかよ?」
司は鼻で笑った。

「ばっ・・おまえ・・もっと言い方があるだろうが・・」

司は両目を細めるとつくしを上から下まで舐めるように見た。
「なんで俺がこんなチビ女の相手しなきゃなんねぇんだ?おい総二郎、笑わせんなよ?」
司は嘲りを込めて言った。
「おまえら俺をバカにしてんのか?こんな女連れてきやがって。どうせ金目当てか?」
「滋の紹介だなんて言ってっけどどっかの商売女じゃねえのか?」
司は片方の眉をつりあげていた。


男が欲しくてたまらないような女に見えたのだろうか?
つくしは目の前で男達が話しているのが自分のことだと気づいて口を挟まずにはいられなかった。

「あ・・あの・・」
ふたりの視線がぶつかり合った。
「あ?なんだよチビ女?」
「さっきから聞いてたら人のこと商売女とか・・チビって・・・」
「なんか文句あんのかよ?チビ女?」
「やめろよ司!」
「なんだよ、うるせえな。滋の野郎連れてくんならもっとましな女連れてこいって言っとけ!」
「こんなん小便くせぇガキみてぇな女じゃねぇか!」
司はグラスの酒を飲み干した。
そして刺すような視線でつくしを睨みつけた。


つくしはむかむかしてきた。
むかついてきた。
そして怒涛の怒りがこみ上げてきた。

「このっ・・・さっきから黙って聞いていたらいい気になって・・・なによ!」
つくしは睨みかえした。
「あんたねぇ他人の身体的特徴をそんなふうに言うなんて・・ああ、もうっ頭にきた!」
「ああ?なんだよ文句あんのかよ?え?チビ!!」
「なによ!こ・・こ・・この・・クルクルパーマ!」
司の顔が一気にこわばった。
「なんだと!てめぇ俺にむかってクルクルパーマだとぉ?」

つくしは悪態をつきながらもその男に立ち向かっていた。




「なあ、牧田月子って本当にどこかのお嬢かよ?」
「ああ。けどよ、滋だってあんなんだけど財閥のお嬢だぞ?」
「だよね・・」
三人の男は息を止めるどころか、次になにが起こるのか楽しみだというように期待していた。









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