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2017
06.04

金持ちの御曹司~Hold Her~ 

企業経営者にはサイコパスの気質があると言われている。
事実、サイコパス度が高い人間がついている職業の1位は企業経営者だ。
そして2番目が弁護士、3位がテレビ・ラジオの報道関係者であるとの調べがある。

サイコパス気質とは、重要な場面になればなるほど冷静になり、リスクを恐れることもなく、感情に揺り動かされることもなく、良心の呵責や罪悪感に囚われることなく行動が出来ることだ。
その言葉を言い換えれば、非情さ、捉え難い魅力がある、一点集中力、精神の強さ、恐怖心の欠如、そして行動力といったものになる。

司は思った。それはまさに自分のことだと。
どれを取っても自分のことだと感じていた。
そしてそれはまさに企業トップに立つ男として備えていなければならない気質だ。

だがその気質が愛しい人に向けられたとき、司の妄想の翼が大きく羽ばたく時でもある。

非情さ。
それは牧野つくし以外の女に目をくれることなどなく、近寄る女がいれば即排除される。

捉え難い魅力。
自分の魅力を知り尽くした男は、その性的魅力を愛する人だけに向かって見せつける。

一点集中力。
言わずもがな。牧野つくしに向けられる男の熱い視線は、周りにいる人間が火傷しそうなくらい熱いはずだ。

精神力の強さ。
彼女にどんなに冷たい態度を取られようが、挫けることがない。それは出会ったころからのセオリー。

恐怖心の欠如。
牧野つくしの為なら、たとえ火のなか水のなか。空を飛べと言われれば飛ぶ。
地を這えと言われれば這うことも出来る。いや、最後のこれは恐怖心の欠如というよりも、自尊心の欠如かもしれない。ただし、牧野つくし限定。

そして行動力は人一倍ある。
だから仕事中でも彼女のことを思うと居ても立っても居られない気持ちになってしまう。だがそんなとき、必ず西田に止められる。

「支社長。いい加減落ち着いて仕事をして下さい。牧野様は仕事の出来る男性を尊敬されていらっしゃいます。支社長のお仕事をされている姿をいつも尊敬の目で見ていらっしゃいます」

とかなんとか・・
そんなとき、司はとりあえず答える。
「ああ、わかった」と。
だが心の中では言っていた。
・・なわけねぇだろが。残念だったな西田、俺に指図しようとしても無駄だ。
俺は誰にも縛られず思った通り行動する。



そんな司の気質の中で突出しているのは、一点集中力だ。
つくしに対しての集中力はすざまじいものがあり、誰にも負けることはない。いや、誰も牧野つくしになど集中していないはずだ。もし彼女に集中すれば首になることはないが、即転勤。もしくは左遷の恐れがあるからだ。
事実、海外事業本部の牧野つくしの周りの席は、女しか座れないと言われていた。


そして司が妄想の翼を広げた時その微笑みは、まるで教師が席を立った隙に椅子の上に画びょうを撒いた子供のような微笑みになる。
それはまるでいたずらっ子が見せるどこか意地悪そうな微笑み。
何しろ悪魔と従兄弟と言われる男だ。その微笑みは、別名悪魔の微笑みと言ってもいいはずだ。
そしてそれは秘書の目を盗んで愛しい人を想う時、必ず浮かぶ表情でもある。
男の飽くなきつくしに対する想い。
どうしてこんなに彼女が欲しいのか。
司は思った。


・・・まさかセックス依存症か?

いや。牧野つくし依存症であることに違いはない。
自覚出来るほど強い渇望感が確かにある。
だが、この渇望感はいったいどこから来るのか?

それならその渇望を補うことが今の司にとって一番大切だ。
そうしなければ、それこそ職務に差し障りが出る。
そんな男の頭を過った上司と部下の不適切な関係その1。
以前実践されることなく終ってしまった頭の中の世界。
それは二人が雪山で遭難。そして暖を取るため裸で温め合う。
カナダの雪山で経験した行為だったが、あの時は二人とも子供で何も出来ず、ただ抱きしめていただけだが今夜は違う。似てはいるが違う。

例えば支社長である俺と牧野が上司と部下の関係だけの赤の他人。
冬の出張先で大雪のため空港が閉鎖され足止めを食らう。仕方なくその地でもう一泊することになるが、ホテルの部屋はそんな天候で運悪く満室。ようやくとれた一部屋に二人が泊まることになる。


上司と部下との不適切な関係その1。

スタート。




「あの道明寺支社長。わたしはソファで休みますからベッドは支社長がお使いになって下さい」
「何をいうんだ。牧野くん。君が使いなさい」
「いえ。でも・・」
「わたしが君に何かするとでも思っているのか?」
「・・いえ。決してそんなことは・・」

つくしは少し戸惑った様子で首を振った。
実のところ本当に戸惑っていた。支社長は社内では女子社員の憧れの的であり、親衛隊までいると聞いていたからだ。もし自分が支社長と二人きりで一夜を過ごしたと知れたとき、どうなるのかと思うと恐ろしかった。

「そうか・・それならいいんだ。さあ、牧野くん、身体が冷えているだろうから温かいシャワーでも浴びて来なさい」
「いえ、そんな・・支社長より先にそんなことは出来ません。支社長からお使いになって下さい」
「何を言うんだ。レディーファーストだ。君から使いなさい」

司は執拗に勧めた。
つくしが先にシャワーを使うようにと。

「わ、わかりました。それではお言葉に甘えてお先に使わせていただきます」
「ああ。ゆっくり使いなさい。わたしのことは気にしなくていいからね?」

司はつくしがシャワーを浴びているその隙にフロントに電話した。
空調のスイッチを切れと。
そしてシャワーを浴び出て来たつくしに言った。

「牧野くん。エアコンが止ったようだ。フロントに電話をしたんだが、どうやら空調設備の故障らしい」

部屋は外の寒さにどんどん気温が下がっていくのが感じられた。
このままでは風邪をひくのではないかと思えるほどだ。

「こうなったら昔ながらの方法で暖を取るしかない。牧野くん、服を脱ぐんだ。いいか裸になって互いの身体の熱を分け合うんだ」

と、司はスーツの上着を脱ぎ、ネクタイを外した。そしてベルトのバックルに手をかけた。

「だ、大丈夫です。わたし、実家が貧しかったのでエアコンがない生活でも大丈夫です。こ、このくらいの寒さなんて平気・・クシュン!」

つくしはシャワーを終えたばかりだったが、身体からどんどん熱が奪われていくのが感じられた。

「ほら。大丈夫じゃないじゃないか・・大切な社員に風邪などひかせるわけにはいかない。牧野くん、さあ服を脱いでベッドに入りなさい。そのままでは本当に風邪をひいてしまう」

「で、でも・・そんなことまでしなくても_」

「牧野くん君は死にたいのか!わたしは真剣に言っているんだ!いいか?君は風呂から上がったばかりだ。折角温まった身体を冷やしてどうする?さあ、服を脱いでベッドに入りなさい。・・大丈夫だ。心配しなくていい。君を襲うなんてことは考えてもいないよ」

つくしは何が起こっているのか訳がわからなかったが、いつの間にか着ていた服を脱がされていた。そして下着姿でベッドの中にいた。
司は素早く服を脱ぎ、ボクサーブリーフ一枚になるとつくしの隣に身体を横たえ、女の身体を広い大きな胸に引き寄せ抱きしめた。

「いいか、牧野くん。恥ずかしいなんて言ってる場合じゃない。命に関わる問題だ」
「し、支社長・・」
「なんだ。牧野くん?」
「あの・・何か当たってるんですけど?」
「ああ、これか?・・これはおまえが欲しいっていう俺の気持ちの表れだ」

司は抱きしめていたつくしの身体を少し離し、彼女の顔をじっと見据えた。
途端真面目な男だと思っていた司の声が低く官能的な声に変わった。
それは女心をくすぐる低音の魅力、バリトンヴォイス。

「・・まきの・・俺はおまえのことが好きだ・・俺のものになってくれないか?ずっと大切にするから・・」
「支社長・・」
「司って呼べよ・・つくし・・・」
「支社長・・いえ、つかさ・・わたしも司のことが好きだったの。でも立場が違い過ぎるって・・わたしの恋なんて叶わないと思ってたの・・」

司はつくしの身体をもう一度引き寄せると、つくしの上に覆いかぶさった。そして髪に両手を差し入れた。

「つくし・・」

歓喜のため息とも言える声は低く掠れ、だが欲望を感じさせた。

「俺がどれほどおまえを求めていたか知らなかったのか?俺はおまえが入社した時から気になっていた。なあ・・俺におまえを愛させてくれないか?これからもずっと永遠にだ」

司の手はつくしのブラジャーの肩紐を片方ずつ下ろし、上半身を裸にした。

「・・つくし・・きれいだ・・」
「・・つかさ・・・わたし、初めてなの・・だから・・」
「ああ。心配するな・・俺がおまえを天国に連れてってやるよ・・」

司の手は目の前にある二つの白い丘を両手でそっと掴んだ。そしてその頂きにあるかわいらしい蕾を指で優しく擦った。
するとぶるり、と震えた細い身体と共にその頂きが硬く張りつめた。
その硬さに刺激を受けた男は、思わずその頂きの片方を口に含んだ。
そして舐めた。
突然舌で触れられ、彼に向かって伸ばされた細い両の腕が首に回され、きつく引き寄せられると司は言った。

「・・つくし・・感じてるなら声を出していいんだぞ?・・俺はおまえの声が聞きたい。その可愛らしい声が俺を求めて啼く声が・・。それにもし嫌なら言ってくれ・・俺はおまえのことを大切にしたいんだ」
「つ・・つかさ・・いいの。お願い・・」
「つくし、明日の朝、後悔しないか?本当にいいんだな?」
「つかさ・・お願い・・わたしを・・抱いて?」
「わかった。これからおまえは俺のものになる。これから一生だ。・・つくし、それでいいんだな?それにこれから一晩中愛し合いたい・・それでもいいんだな?」
「ええ・・いいわ。お願い・・つかさ・・わたしを奪って・・」

つくしの口から聞かされた言葉は、司が聞きたかった言葉。
その言葉が嬉しくて目眩を起しそうになる。

「つくし・・本当にいいんだな?それなら俺のために脚を広げてくれ」

やがてゆっくりと、恥ずかしそうに広げられた脚の間に司の片手が差し入れられ、今まで隠されていた部分を探り当てた。

「つくし・・きれいだ。おまえのここは、まだ誰のものにもなったことがないんだな?」
「ええ・・そうよ・・つかさを待ってたの・・」

よっしゃー!!
司は心の中でガッツポーズを作っていた。
本当ならあの雪山の小屋で起こるべきことは、これだったはずだ!!

「つくし・・俺はおまえが・・好きだ・・」

司はつくしの腰を掴み、己の腰を力強く突き入れた。
その瞬間上がった声に、女の初めての痛みを知ったが、奥へ進み、根元まで完全におさめる。
そして深くゆっくりと打ちつけ始めた。
決して激しくなく、優雅で官能的な動きを繰り返し、腰を前後させ奪っていく。
それは何も考えられず、ただ愛しい女を愛したいといった思い。
部屋の中の冷たい空気は気にならない。互いの熱い身体だけを感じ、男特有の硬い筋肉の盛り上がりを華奢な身体へと打ちつけながら、身体の中を流れる波のうねりが快楽の頂点を目指し駆け上る二人を押し上げていた。
肉体はただ満たして欲しいといった思い。だが精神は繋がっていたいと願う。
突き上げる角度を変え、速度をつけ、潤いを増し濡れた音を立てる鞘の奥に肉棒を差し入れ、一定のリズムで打ちつけた。
初めての女のイク瞬間といったものを見たくて、感じたくて、司は目を見開き、つくしのせわしない呼吸と本能のまま上がる声を聞いていた。
「・・つくし」
やがて痙攣したようにキツク司自身を締め付ける感触を感じ、そして緩やかに弛緩し始めた身体が愛おしくて、司はその細い身体を抱きしめた。

「愛してる・・つくし・・」








「支社長。その手はいったい何をされているのですか?」

突然聞こえた秘書の語尾を押さえつけるような強い声に、司は視線を執務室の扉へ向けた。
伸ばされた腕はまるで誰かを抱きしめているようで、指はいやらしそうに何かを掴んでいるように曲がっていた。

「・・支社長・・」

と、西田の呆れたような声に、司は中空を彷徨っていた両手を慌ててデスクの上に降ろした。
そして、まるで悪さをした小学生が急に姿勢を正したように、かしこまった態度で西田を見た。

「な、なんだ西田?なんか用か?用がある時はノックくらいしろ」


西田の冷たい視線が痛かった。





マンションに帰った司を待っていたのは、先に帰ったつくし。

「道明寺、お帰り。お疲れ様。ごめんね、なんだか蒸し暑いでしょ?空調の調子が悪いみたいなの。メンテナンスを頼んだんだけど、今夜はこの時間だからもう無理みたいなの。明日朝には来れるって言ってたけど_」

司はつくしの身体を抱きしめると聞いた。

「牧野、おまえ暑いのと寒いのとどっちが好きだ?」
「えっ?な、なによいきなり?」
「おまえ、カナダの雪山と南の島の別荘とどっちが好きだ?」
「はあ?いきなりなに?」
「いいから。答えろ」
「う~ん。そうね・・雪山はあたし達が遭難した場所でしょ?南の島のコテージは・・あたし達の初めての場所だから・・やっぱり南の島の別荘かな?それにあたし、寒いの苦手だしね?何しろ冷えは女の敵だから」

カラカラと笑う女は質問の意味が全くわからなくとも楽しそうだ。
司はそんな女の笑った顔が好きだ。自分の言葉に笑ってくれる。それだけで笑いたくなるからだ。楽しい笑いは伝染する。そんな些細なことが幸せだと感じられるのは、彼女と一緒にいるからだと今は知っていた。

「俺はどっちでもいいんだが、おまえが南の島の別荘がいいって言うなら、今夜のこの蒸し暑さは丁度いいな」





数時間後、汗だくになった男は、ベッドにうつ伏せに横たわった女の背中に優しくキスをした。
肩甲骨の小さな窪みに。

だがその身体は既に眠りに落ちていて反応は無かった。
それもそのはずだ。渇望感が癒えず一晩中愛し合ったのだから。

眠ってる女は生意気なことを言わない。だが俺は女の生意気な口が好きだ。
出会った頃、素直じゃなく生意気な言葉ばかり吐いていた口だったが、今は素直に愛してるといった言葉を言うことが出来る。

ただ、熱い情熱を持て余すのはいつも俺の方で、記念日や想い出の場所を気にするのも俺だ。
俺はそれでもよかった。
だが愛し方が足りないのではないかと思うこともある。

つくし・・俺はおまえをきちんと愛せてるか?


南の島のコテージは、二人の思い出の場所として年に一度は訪れていた。
今年も梅雨が上がった頃、訪れる予定にしている。
そこでまたあの日と同じように愛し合おう。
初めての時のように。

まあ、俺はおまえと愛し合うときは、いつも初めての気持ちなんだけどな。
おまえもいい加減俺の愛し方に慣れろ。と言いたいとこだが、いつまでたっても初心な女が、俺にとっては最高の女だ。だが今は大人の女が持つ柔らかさを感じることが出来る。
二人とも少しずつ大人になって来た。
一緒に。

そんな二人には言葉に出さなくても、目を見ただけで言いたいことが分かる。
心が通じ合うってのは、そういうことだろ?
俺を欲しがってる目。
それはたとえ言葉に出さなくとも、司が、あんたが欲しいって目が訴えている。

・・フン。

生意気な女がやっと俺に追いついたか?
まあ俺は初めから待つ気でいたからいいんだけどな。

好きな女のためなら、いつまでも待つ気でいたから。


司は寝ている女の身体を抱き寄せると、うつ伏せた横顔にキスをした。

「おやすみ・・つくし・・愛してる」

と、耳元で囁き、その身体をそっと抱きしめた。





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