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2016
09.25

金持ちの御曹司~熱い想いを胸に~

大人向けのお話です。
未成年者の方、またそのようなお話が苦手な方はお控え下さい。
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ピンと張りつめた静寂のなか、腰から上をむき出しにされてベッドの上に座る女。
小ぶりの胸の頂きは、すでに固い蕾となって誇らしげに上を向いている。
それはまるで早く口に含んで吸ってくれと訴えているかのようだ。

二人は向き合ったままで何も言わず、ただじっとしていた。
暗闇に包まれていても、飢えた色を浮かべた瞳が怪しくうごめくのはわかる。
その頬が朱に染まり、体から放たれる熱が感じられる。その熱に乗って漂うのは欲望の匂い。
ごくりと唾を飲む音が聞こえたような気がした。


男が握った手は小さな手。
その手は華奢で頼りない。だが司の全てを握る手。
彼の心も体もその全てを握るということは、世界を手にしているも同じ。
そんな手を握ったまま女の体をベッドの上へと押し倒した。

胸の中には不満が渦巻いていた。


まきの_


触れられなかった二週間。
頭の中にはいつもこの女の姿があった。
姿も香りも感触も、頭の中から決して離れることはなかった。

男というものは常に無理をしたがる生き物だ。
愛しい女に会うためにと、無理をしてでも帰国した。
だが、そんな俺を無視するような態度で迎えたこの女。
なにがあったか知らないが、そんな女に対して思い浮かぶのは危険な思考。

だが、決して傷つけることはしない。

呼吸は浅く吸って深く吐き出すが、体の他の部分は何もかも吐き出したくて疼いていた。
半ば目を閉じ見下ろす体は、程よい曲線を描くが華奢で美しい。
服をはぎ取っておまえを満たしてやるよ。俺のペニスで。


なあ?

まきの?

この体は俺だけのものだろ?

「あたしのことなんて忘れちゃったくせに」

過去の古い記憶を平気で掘り起こす女。

「道明寺なんてあたしのこと・・」


言うな。

もうそれ以上言わないでくれ。

二度とおまえを忘れることはないんだから。


司の過去の愚かな行為は山ほどあるが、その中でもそれは一番上にくる愚かさだ。
過去を振り返ることはしたくはないが、記憶を失った司がつくしを捨てしまったことだけは、何度詫びても詫び足りないほどだった。
出来ればもう一度高校時代に戻ってやり直したい。
だが古い俺は捨て去って、更生した俺は愛に溺れている。


愛に溺れる・・いい響きだ。


牧野の中にある海で溺れる。
この女は母なる海のように深い懐を持っている。
海が全ての生物を生み出したように、俺の全てはこの女の中から生み出される。

俺を再生させてくれたのは、この女。
それは誰も否定が出来ない事実だ。

それに、俺は人生を揺るがすほどの雨を経験した。
そんな雨の中で牧野との別れも経験した。だが夢が叶ったあとで、いつも思い出すのはあの雨の日だ。 今の俺は雨が嫌いじゃない。あの経験が俺を人として成長させたからだ。
それなのに、今日の雨は嫌いになりそうだ。


大粒の雨が降るなか、マンションに帰ったとき、テーブルに用意されていたのは2人分の食事と低俗な週刊誌。ニューヨークで女と密会していると書かれていた。

古い記憶を掘り起こした理由はこのことなのか?

それは嫉妬ということか?

仕事をバリバリこなす女が、実は同時にかわいらしさも身に付けているなんて、俺以外誰が知ってる?
手を伸ばして触れようとしたとき、身を引いたのがわかった。
だが司はつくしの手首を掴んで引き寄せた。

この女は俺がわかってない。
抵抗されればされるほど、飢えはきつくなって襲いかかってくる。
滑らかな肌に香る欲望。
少女から大人の女へと成長を遂げていても、変わらないのはその瞳と気持ちの強さ。
そんな女の凛とした立ち姿に惚れた。

熱いものに下腹を焼かれ、司の性器はズキズキと疼いた。
その場で女のブラウスを脱がせるとブラジャーを取り去った。
体を抱えると寝室へと運んでいった。



恋愛に中毒があるというのなら、司は牧野つくし中毒だ。
まさに立派な中毒患者。治療方法は永久に見つからない。
恐らく死ぬまで完治することは絶対にない。
いや、もしかしたら死んでからも魂の塊となってつくしの傍にいるかもしれない。
肉体的な飢餓感ではない。それは魂の飢え。
司を虜にして離さない女。気でも狂ったのかと言われてもいい。
出会ったときからこの女に狂っているんだから仕方がない。

どうしてもこの女が欲しい。

いますぐに。

この手と口で。

そしてこの体で。

全身全霊で愛したい。

細胞のひとかけらさえ愛おしい。

おまえを食べてもいいのなら、食べて消化してしまいたい。
肉のひとかけらでもいい。
食べさせてくれるなら離れていても俺の一部でいてくれるだろ?


暗闇のなか、月夜に照らされた白いシーツが海のように広がっている。
なあ牧野。過去を忘れ、歓びに身をゆだねてくれないか?
そうすればおまえの考えてることは間違いだって教えてやるよ。

温かく小さな体がかすかに震えているのが感じられた。

「おまえは、あんな記事を気にしているのか?」

できるだけ、柔らかく聞いてやる。それは女に対する気遣い。

だが答えはない。

無視すんじゃねぇよ。
答えねぇんならあんな雑誌をテーブルになんか置くな。

両手で腰を抱き、手を背中に回すとスカートを取り去った。片手を薄くてちっぽけなパンティの中へともぐらせると、引きずり下ろし、つま先から抜きとった。手のひらで尻の丸みを撫で、固く尖った胸の頂きを口に含んで舌で転がした。

「・・あんっ・・」

甘く切ない声をあげながら、司にしがみつく女。
身をゆだね、悶えながらも離さないと癖のある髪に指を絡め、のけぞっている。
いつもよりも無防備女。

「つか・・さっ・・」

かすれた声が俺の名をささやく。

もっと。

もっと蕩けさせてしまいたい。
骨の髄まで溶かして、いっそのこと俺の体の中に取り込んでしまいたい。

そんなじれったそうな目で見るな。


いつも散々いやらしい空想を巡らせているが、その空想は所詮妄想であって現実ではない。 だがこれは現実だ。これだけリアルなんだ。現実じゃないはずがない。
ふしだらで罪深いと言われる妄想も今のこの現実にはかなわない。

牧野が欲しい。
いますぐにものにしなければ、どうにかなりそうだ。
シャツのボタンを外すことさえじれったい。
いっそおまえのその手で引き裂いてくれても構わない。
その声が聞えたのだろうか?
つくしはシャツに手をかけると、ボタンをむしり取っていた。

牧野?
おまえもそんなに俺が欲しいのか?
なあ。俺が欲しいと言ってくれ。
司の血は沸き立っていた。
久しぶりにおまえの口から漏れる俺の名前が聞きたいんだ。

牧野の体の温もりにこの身を埋めたい。

ボタンをむしり取られたシャツは脱ぎ捨て、ベルトを外し、ジッパーに手をかけた。
スラックスと一緒に下着も脱ぎ捨てると、牧野の脚の間に身を置いた。
両手は太腿をそろそろと這い上がり、濡れた泉の奥へと指を差しいれた。
はじめは1本滑り込ませ、やがて2本目が入れられると、牧野は歓喜の声をあげた。
そして俺の名前を呼んでいた。

どうした?牧野?
指の動きに我慢ができないのか?
司はつくしの太腿の間に顔を入れると、両手で脚を大きく開かせた。
濡れて柔らかくなっていく牧野の女の部分は俺だけのものだ。
口を押し付け、舌を入れ、すくい取るように動かした。
その度に跳ね上がる体は俺の頭を抱え込んで離そうとはしない。

まきの。
俺が欲しいか?
欲しいんだろ?

欲求は募るばかりで、早く解放してくれと体は訴えていた。
顔を上げると、焦点の定まらない目で俺を見つめる女の口がゆっくりと動いた。

道明寺が欲しい・・と。

声にはならないような掠れた声が聞えた。

俺も。

おまえが欲しい。

司は左右の胸の頂きをひと舐めすると、気を引き締めて温かく滑らかな場所へ身を埋めた。
華奢な脚が司の腰に回されると、体の疼きが高まった。欲望の波が押し寄せてきて腰を激しく打ちつけることを止めることが出来なくなっていた。

「クソッ!」

このままじゃ牧野が壊れるかもしれねぇ。
だが、久しぶり過ぎてどうにもなんねぇ。
激しすぎて骨盤がぶつかる音まで聞こえて来そうだ。

「俺を見ろ。俺を見てくれ。他には誰も見るな。おまえが・・信じるのは俺だけだ!」

俺だけを信じろ。
低俗な雑誌なんか信じるな。
何をそんなに心配してんだか知らねぇが、俺はおまえ以外の女には興味がない。
そんなことはもうとっくにわかっていると思ったが、女って生き物はちょっとしたことで不安になるものだと今頃になって気づいていた。

俺はおまえを不安になんかさせたくない。
司はつくしにそう伝えたかったが、どうしたらその不安を取り除いてやれる?

だが、今はただ、俺におまえを愛させてくれ。







***









「ど、道明寺・・あたしのキーケース知らない?青色の・・確かこのあたりに置いたような気がしたんだけど見当たらないのよ!」

つくしは慌てていた。
昨日の夜、ここに置いたはずのキーケースがない。
鞄の中から寝室のテーブルの下に至るまで探していたが見当たらなかった。
いったいどこに行ったのか・・・
確かにこのテーブルに置いたような気がしたが、あれがないと自宅に入れないし、このマンションにも入れない。

「これのことか?」
司は満面の笑みを浮かべてつくしの部屋の鍵をゆらしてみせた。
「そ、それよ。それ!ちょっとか、返してよ!」
「ヤダ」
司はキーケースを返そうとはせず、自分の手の中に握りしめた。
「な・・なんで・・」
「返した途端、おまえ逃げるから」

過去、いつも司の前から走って逃げていた女は、今では彼の腕の中で大人しくするようになって来たとはいえ、油断は出来ない。そう考えた司はつくしがまだ寝ているうちにキーケースを自分の手元に隠していた。

悔しそうに下唇を噛みしめる牧野。
司は心中ひそかに狂喜乱舞した。
いつまでも思い通りに出来ると思うなよ?
それに今日はこのまま逃げられるわけにはいかなかった。

つくしは仕方がないという態度で、シャワーを浴びて来るからと言って寝室から出て行った。
ツマンネー記事に嫉妬をする牧野。
俺がおまえ以外の女と会うわけがねーだろうが!

司はベッドから出ると、床に投げ捨てられていたブリーフケースを取り上げ、中から小さな箱を取り出した。

そして、つくしがいつも使っている枕を引き寄せた。
牧野の匂いがする枕だ。
顔を埋めて深く息をすればあいつの匂いがする。
愛してる枕!

じゃねぇ・・・愛してる。牧野。

いつまでも、俺といてくれ。

永遠に。



司はつくしがシャワーを浴びて戻ってくることを心待ちにしていた。
いつもなら一緒に浴びたいとばかりに押しかけて行くが今朝はしなかった。

手にした小さな箱にはあいつに贈る世界でたったひとつの指輪が収められている。

写真に撮られた女はジュエリーデザイナーの女で幸せな結婚生活を送る女。
その女に指輪のデザインを任せていた。
枕を元通りにすると、小さな箱をその上に置いた。

この箱の中身を目にしたときのあいつの表情が早く見たい。

司は考えていた。
俺とつき合うということは、良いも悪いも注目を浴びる。
それが自分の望まないことであっても世間は面白おかしく書き立てる。
だがこれであいつの不安がひとつでも少なくなればそれでいい。
牧野の不安を取り除くことこそ俺の幸せだ。

俺の目に映るのは、牧野。


おまえだけだ。







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