2016
08.28

金持ちの御曹司~I Live You~

開いた唇のから流れ出た言葉は・・・


愛してる・・

「なあ・・誰を?」

つかさを・・

出張から戻った司の前にいるのは自分のベッドに横たわって寝ている愛しい女。
部屋で待っているからと言っていた牧野。
エントランスに靴はあったがリビングにその姿が見えず探せばここにいた。
ベッドの端で本をシーツの上に置いたまま目を閉じていた。
置いたというよりも手から滑り落ちたと言った方がいいのだろう。
いったいなんの本を読んでいたのか。
取り上げてみれば今はやりの恋愛小説だ。
こいつがこんな本を読むなんて珍しいこともあるもんだ。

読書というのは自分の知らない世界へ簡単に身を投じることが出来る。
空想の世界での出来事をわが身の出来事として感じることをしばしの幸せと感じられるなら、それもまた人生の快楽のひとつと言えるはずだ。

つくし・・

司の快楽は目の前に横たわる女。

この女の姿、この女の笑顔、そしてふたりの運命を受け入れてここまで来た。
互いに寂しい思いをしなかった日々はなかった。
だがいつも快活で慈愛に満ちた女は司の全てを黙って受け入れてくれていた。


ふっと緩んだ口もとから漏れ出た自分の名前。

「・・つ・・かさ・・」

どんな夢を見てるんだ?
幸せな夢か?
おまえは俺といて幸せか?
俺は自分が幸せ過ぎて怖いくらいだ。


小さな声で呟かれた自分の名前に彼の雄としての本能が目覚めてきた。
いつも無意識に煽ってくる女に振り回されるばかりだが、今は自分が望めばこの女に好きなことをすることが出来る。
そんな考えに口元が緩んだ。

別にかまわねぇよな?
好きな女を愛することを止めることが出来ねぇんだから。
だがこの瞬間、もしかしたらこいつが目を覚まして俺を見るかもしれない。
物憂げな口調で、お帰りと呟くはずだ。

体をはって守ると決めた女。
その覚悟は出会ったときから俺の心の中にあった。
ふたりが互いを求め愛し合うようになるまで目まぐるしい時が過ぎ、あれから随分と時間が経ったが相変らずこの女を愛おしいと思う心は変わらない。
女の顔も、手も足も全てが彼の崇める対象となっていた。
繰り返し繰り返し何度も愛し合ってはいても求める事を止めることは出来なかった。

この女がいないと息をするのも辛い。
生きて行くのが苦しい。
世の中にある道徳性が偽りのものだと思えるほどにこの女が欲しかった。
それほどの思いをして手に入れた愛しい人。
いつでも、どこにいても欲しい女。


つかさ・・

彼の方へ顔を向け再び小さく呟かれた自分の名前。
その度に俺の顔にはほほ笑みが浮かんでいるはずだ。

「つくし・・・」

体をはって守ると決めた女_

ああ・・

だが別のやり方で守ることも出来る。
守る?
これからすることは守るに値しねぇかもな。
むしろ体を使って攻撃すると言ったほうがいいかもしれねぇ。
こいつがあらわに応えることが出来ないとしても、俺の体は愛することを躊躇することはない。
たとえそれが邪な考えだとしても。
愛の本質は変わらないのだから。

いいだろ?

司はスーツの上着を脱ぐとネクタイを抜き取った。
このネクタイは牧野が選んでくれたストライプ。
シルバーグレーに濃紺とそれよりも薄い紺色、そして黒い線がそれぞれの太さを変えて描かれていた。
司にとっては文句なしに一番のお気に入りだ。
いくら高級なスーツを着ていたとしても、さして高くもないこのネクタイの方が司にとっては数倍の価値があった。
立派なスーツに皺が寄ろうと、このネクタイだけは大切にしていた。
彼にとっては勝負下着ならぬ勝負ネクタイだ。運気が上がって仕事が上手く行く気がしてならない。それに今回のように海外出張に行くときは彼の心の拠り所となっていた。そのせいか、つい結び目に手をやってしまうことが多かった。


司はつくしを見下ろしながら、全てを脱ぎ捨てると隣へ体を横たえた。

声が聞きたい・・
お帰りと言って迎えてくれる声が・・
離れていても電話を通して聞いてきた声が。
精神的な安らぎの気持を与えてくれる声が聞きたい。
安らぎを与え、孤独感を一掃してくれる声が。
欲求不満と見えない何かを取り払って自分の心の内にある感情を呼び起こしてくれる声が聞きたい。

司はつくしの顎に手を添えると顔を近づけ、唇を重ねた。
が、思ったとおりなんの反応もなかった。

「ほんとに昔っからよく寝る女だったよな、おまえは」
口を閉ざすと女の寝顔をじっと見た。
「ま、寝ててもいいけどよ」

司の顔に危険で、邪なほほ笑みが広がった。
硬くなった一物はずきずきと痛んで早く一体化したいと望んでいた。


司はゆっくりとつくしの衣類を脱がし始めた。
ブラウスのボタンを外すと体を持ち上げ肩から布を落とすようにして腕を抜いた。
キャミソールはウエストまで引き下げブラジャーのホックもあっという間に外した。
目の前に晒された白い胸に実るのは小さな赤い果実。
司は欲望を掻き立てられた。

「いいながめだ」

女が奉仕するのが当然だと考える男もいるが俺はそんな男じゃねぇ。
司はつくしを腕に抱え横に倒すと自分のために実っている赤い果実を口に含んだ。

「・・んっ・・」

体をずらしては柔肌に口づけを繰り返した。
甘い匂いが鼻孔を満たした。
司は顔を上げてつくしを見たがまだ目は閉じられたままだ。
いくらなんでもあまりにも目が覚めなさすぎる。

「・・おまえ、なんか飲んでるのか?」

微かにだがアルコールの匂いがする。
この女、いったいどこで飲んだんだ?
まさかここに来る前にどっかで飲んで来たなんてことは・・

司は慌てた。
まさか・・
なぜかそのとき彼の頭の中を過ったのは執務室で自分が妄想していた状況。
それはつくしが秘書となって下着を履かずに社内をうろうろしていたという状況だ。
司はつくしの尻を持ち上げるとスカートのファスナーを下ろし脱がせた。
そこにはきちんと下着をつけたつくしの姿があった。

「おどかすんじゃねぇよ・・」

司はホッとした。
けど、なんでこいつは目が覚めない?
それに微かだがどうしてアルコールの匂いがするんだ?
こいつはアルコールに対しての免疫が低い女だ。
だが何か飲んだ形跡は見当たらなかった。
が、司はつくしの顔を見てムッとした。

なんで起きねぇんだよ!
寝込み襲われてるってのに目を覚まさねぇなんてことがあっていい訳ねぇだろうが!
この女は自分の体に対しての管理がなってねぇ!

司はさっきまでの優しい気持ちはどこへやら、憮然とした態度でつくしを見ていた。
そして彼は決心した。
いったいどこまでヤッたら目が覚めるのか・・
それを確かめることにした。

司はつくしの脚をひらくと布の上から股間に指をあてた。
少し湿り気が感じられるその場所をこすって止めた。
指は動いていないのに濡れが感じられた。
寝てるのに濡らしてんのか?
司は次に下着を抜き去ると茂みをかき分け潤いを生み出す泉を探った。
指を入れるとつくしの体がびくんとして司の体に腕が回された。

「・・うんっ・・」
「なんだよ・・寝てるくせにここだけはすげぇ敏感なんじゃねぇかよ・・」

司が指をもう一本追加するとどこか満足気なため息がつくしの口から漏れた。
中を指で撫で擦するととろとろの愛液が溢れて来た。
司はあまりにも溢れてくるつくしのジュースが勿体ないとばかり、今度は両脚を大きく開くと肩にかけ、両手で腰を持ち上げて溢れ出てくるそれを飲み干そうとした。舌は上とは違う別の蕾を味わった。

「・・・っや・・だ・・めっ・・」
気付いたか?
「ど、どうみょうじ・・?か、帰ってたの・・?」
つくしは目を覚ましたがなにが起きているのかわからないようだ。
「ど・・どうみょうじ・・?」
「ああ。俺だ・・さっき帰った」

何が道明寺帰ったの、だ!
おまえはどこまでヤられたら気づくんだよ!
この女、昔から鈍感すぎるとは思ってたがここまで鈍感だとどうかしてるとしか言えねぇ。
こんなかっこうさせられてるってのに危機感が無さすぎる!
と、言っても俺の部屋の中での出来事だ。許してやるよ。

「ああ・・我が家に戻ってきた感じだ・・」

次に司がとった行動はつくしの顔を見ながら指で襞を押し開いて深々と貫くことだった。

「あっ・・っああっ・・んっ・・!」

司はキスで唇を塞いだ。
塞ぎながらも、囁いていた。

いいんだ、牧野。
もっと・・
ほら、もっと・・欲しがれ・・
欲しって言えよ?
抱きしめて、壊れてしまわないようにそっと抱きしめてやりたい。
唇を重ね、体を重ね、いっそのこと溶け合ってしまいたい。

なあ、俺の全てはおまえのモンだ。
好きなだけ持ってっていいんだぞ?
もっとだ・・
もっと声をあげろ・・
なあ・・
いってくれ・・

司はつくしの口にあえぎながら激しく突きあげた。
そしてつくしの体が痙攣し、絶頂を迎えたとき精を放った。

何度抱いても飽きることのない女。
そんな女の奥深くにいつまでも留まっていたい。
首に唇を押し付けて口づけをすると、自分の腕の中に抱き込んだ。

決して離れていかないようにと願いを込めて。







****







「どうみょうじっ!!いったいどういうつもりなのよ!」

バスルームでの呼び声は寝室にいる司のところまで聞こえてきた。
続いて聞こえたのはバンッという扉が閉まる大きな音。
そしてスリッパを履いた足がパタパタと廊下を走る足音だ。

「な・・なによ!なによこれ!これどうするのよ!」

食べてしまいたくなるほど愛しい女が血相を変えて部屋へ飛び込んで来た。

「・・っ・・るせ・・朝っぱらからなんだよ・・」
「なんだよじゃないわよ!ちょ・・と・・道明寺、なんで・・こんな・・こんな・・こ・・」
わなわなと震える牧野。
「なにがこんなだ?」
「キ、キス・・このキスマークどうしてくれるのよ!」
「驚いたか?」
「お、驚いたどころじゃないわよ?それに・・なんで・・ね、寝込みを襲うのよ!」

つくしが司の腕の中で目覚めたときぐったりとしていた。あれからひと晩中離してもらえなかった。その成果がつくしの言う体中いたるところにつけられたキスのあとだ。

「わりぃかよ?」
「わ、悪いに決まってるじゃない!」
「なんでだよ?出張から帰った彼氏を暖かく包み込んでくれるのが彼女の役目だろ?それともあれか?おまえは俺のこと愛してないのか?」
「そ、そんな問題じゃないでしょ?」
「何だよ?愛してねぇのかよ?」

司は何があっても毎日一度は愛してると伝え、マンションでつくしが待っているときは、必ず愛し合っていた。
だから昨日海外出張から帰ったとき、眠っているつくしを起こしてまで抱きたかった。

「あ、愛してる・・わよ・・でもね。いったい何考えてるのよ!このキスマークだってこんな目立つようなところにつけられたら・・」

つくしはそこまで言うと司の顔を見て口をつぐんだ。
朝日が差し込む部屋の中に見える司の顔は満ち足りた表情で疲れなど感じさせなかった。
海外出張から帰ったばかりだと言うのに浮かんでいるのは満足しきりと言った顔。
献身的で愛情深い男はいつでもつくしのことを一番に考えてくれている。
そんな男が自分を求めて離さないといっているのだから喜ぶべきだろう。

「それにしてもおまえは・・朝の目覚めはそんなにいいのに昨日はなんでなかなか目が覚めなかったんだよ?」
司が色々イタズラしてもなかなか目を覚まさなかった。
それに微かにアルコールのような匂いがしていた。
「え?な・・なんでって言われても・・つ、疲れてたとか・・?」

司は顔を上げてつくしを見たとき、サイドテーブルの上で銀色の紙がくしゃくしゃになっているのに気付いた。
包み紙か・・?
まさか・・・こいつ・・俺がここに置いてあったのを食べたのか?
いつ・・食べたんだ?

「なあ、まきの・・ここに置いてあった・・」
「え?あ・・チョコレートでしょ?甘いものが嫌いな道明寺にしてはなんでチョコレートがなんて思ったんだけど・・ごめんね、本読みながら食べちゃった。それからなんだか急に眠気に襲われてね・・」

催淫剤が練り込まれたチョコレート。
草原を走り回る牧野を仕留めることが頭を過ったことをきっかけに手に入れてみたが
鈍感なこいつにはひとつじゃ効かなかったってことか?
それとも練り込まれた量が少なかったってことか?
いや・・反応が鈍かったってことだよな?
すぐに反応することがなく、覚醒するまで時間がかかったってことか?
確かにあのとき目が覚めた牧野はあれから俺の求めに応じて一晩中ヤリまくった・・
いや愛し合ったじゃねぇかよ。
それもすげぇ精力的。
押し倒した俺の上に馬乗りになったかと思ったら自ら俺の一物を手に取った。
あんなに奔放な牧野を見るなんて・・いや。
見てただけじゃねぇ・・体験するなんてことがこれか先あるのか?
それにあのネクタイ使って手を縛ってくれなんて言い出した。
じゃあ縛ったらどうしたいんだって聞けばおしおきして道明寺。なんて言い出す始末。

こいつ覚えてるのか?それとも・・

「なあ、まきの・・覚えて・・るのか?」
「え?なにを?」
つくしはきょとんとした顔で司を見た。
「だ、だから・・」
「だから?」
「おまえが、その・・俺を・・」
「俺を?」
「俺を襲って・・」
「なっ!なに言ってるのよ!そ、そんなこと・・」
否定はしたが記憶は定かではなかった。
「そうか?それなら証拠を見せてやるよ」

と、言って司はベッドから出ようとした。
つくしは絶対に嘘だと思ったしからかわれていると思った。
だがベッドから出て立ち上がった司の体を見たつくしの顔はひきつっていた。
どう考えてもあれは自分で出来るようなことではなかった。
男の体にも沢山のキスのあとと思えるものがあったのだ。
つくしはごくりと唾を呑んで固まっていた。
司は満足げな顔でつくしに言った。
「ああ?これか?気にすることなんてねーぞ?俺は誰に見せても恥ずかしいだなんて思ってねぇからな」
全裸の男は自慢げだ。
「まきの、これこそ男の夢ってもんだぞ?」

愛しい女に一晩中愛されたことは司にとって何物にも代えがたい夢だったのだろう。
誰に見せても恥ずかしくないと言い切った男はもしかしたらワイシャツの胸をはだけて歩くとでも言うのだろうか?
それとも執務室で来客に向かって自慢するとか?

『 皆さん。これはいとしの牧野がつけたキスマークです 』

とでも言うつもりなのか?
あり得ない話しではなかった。
仲間内ではこの男はことつくしに関しては常軌を逸した行動を取ると知られていたからだ。

司は自分の前で固まっている女の様子をじっと見ていた。
唇が乾燥するのか小さな舌で湿らそうとしていた。その舌は昨日の夜、なんの躊躇いもなくつかさ自身を丁寧に味わっていた。純情だった高校生の頃と違ってそれなりの経験を積んでいるとはいえ、今でもどこか迷いのあるはずの行為も進んで行っていた。
顔を真っ赤にして固まってはいるがおのれの行動を理解していたはずだ。

司は自分の夢がまたひとつ叶ったことに満足していた。

そのとき心に浮かんだのは、この女がいつまでたっても純情なのは仕方がないという思い。



だってそれが牧野だから。








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