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2016
08.21

金持ちの御曹司~公序と良俗に反しても~

大人向けのお話です。
未成年者の方、またはそのようなお話が苦手の方はお控え下さい。
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人は年齢を重ねると世界は白と黒だけじゃ済まなくなる。
つまり曖昧な立場ってのが必要になってくる。
司は物事を白と黒とにはっきり分けることを本分としている。

だが好きな女とつき合っていく上では曖昧さ加減を必要とすることも多い。

牧野が黒だと言えば黒だし、白だと言えば白だ。
灰色だと言えばそうだと返事をすることもやぶさかではない。
決してそのことに不満があるわけじゃない。
何しろ牧野はかわいい。牧野は賢い。牧野はいい匂いがする。
そんな牧野を目の前にすると未だに性的緊張ってのが起きちまう。
牧野があの当時俺のことを避けまくってたのは恐らく性的緊張の度合いが高かったってことだ。
それは出会って間もない頃の話しだ。
要するに、あまりの俺のスペックの高さにびびっちまったってことだ。
だから俺はその緊張度合を下げるために色々と努力はしてきたつもりだ。


『 金持ちは本当の金持ち以外のいうことは聞かない 』

これは日本のある財閥の男が呟いた言葉だ。
赤いひし形が三つある会社だったか?俗に言うスリーダイヤがシンボルの会社だ。
とにかくそんな言葉を残したヤツがいるが、俺の場合『道明寺司は牧野つくし以外のいうことは聞かない』とまで言われている。
それが俺と牧野との性的緊張度合を下げることに役立っていたはずだ。
それに経営戦略を練る時間とそんな事に全く関係のない空想に耽る時間というのは、俺にとっては仕事を円滑に進めるためにも欠かせなということだ。
これは今に始まったことではなかったが最近じゃ鉄仮面のような秘書に突っ込まれることも多い。
しかし今まで〝ごっこ″遊びなんてのを色々とやってきたがどれも甲乙つけがたい。

司はふと思った。
そう言えば自分の立場で一番可能性のあることを忘れていた。
そうだ!
どうして今までそのことに気づかなかったのか!
あの鉄仮面のような秘書の態度で思い浮かんだ・・

それは牧野が俺の秘書だったら・・・
これこそ身近で一番可能性のある部署じゃねぇか!
どうしてそのことに今まで触れなかったのか!
あまりにもありきたりの状況に思いつきもしなかったということか?
それとも西田の存在が俺の思考の中に余りにも深くあったから思いもつかなかったということか?

いいじゃねぇかよ。
牧野が俺の秘書だったら・・



こうして司の中の空想は妄想となって執務室の中を漂い始めた。
想像力が逞しい司は自分の体の傍に立つ牧野つくしの状況が目に浮かんでいた。


秘書の牧野。


だがそれは仮の姿で実は司の愛人。


愛人には見えないが常に司の欲望を満たすために執務室にいる女。
昼夜のべつまくなしに求めてしまうのは司を包み込むたおやかなその体。
柳のようにしなる腰と手の中にすっぽりと収まる柔らかな膨らみ。
形のよい小ぶりの乳房は常に司を満足させていた。
司の脳裏に刻まれたつくしの体は早く味わって欲しいとばかりにいつも乳首が突っ立っていた。

体がぶるっと震え、想像だけで洩らしそうになった。
期待にひくつくムスコは対ロケット追尾ミサイル並の角度で立ち上がっていた。
そうだ追尾するミサイルは目標が逃げても命中するまで追いかける。
まさにミサイル並に硬くなったムスコの痛いほどの興奮も牧野の中に入ると心地よい快感に変わってしまう。それを知っているからこそ命中するまで追いかけて逃がさない。
そんなことを知ってるのか知らねぇのか知んねえけど、牧野は無意識のうちの意識で俺を誘っている。

執務室の中を司の目の前で腰をくねらせるようにして歩く牧野。
愛人なんて関係は俺と牧野の間にはあり得ないことだがどこかの物語のシュチュエーションが頭の中を過っていた。
そうだ。愛人の役を演じさせるっていうなら問題ないはずだ。
やってもいいか?
やらせてくれるか?





「牧野、俺に抱かれたくなったら迷うんじゃねぇよ!」
司は女の腕を取ると執務室の壁に背中を押し付けた。
「し、支社長っ・・」
「わかったのか?」
「わ・・わかったわ・・」女は目を伏せた。
「ダメだそんなんじゃ!俺の顔を見て言え!」顎に手を当て上向けた。
「っ・・・わ、わかったわ・・約束するから・・おねがい・・」

壁に押し付けられた女は呼吸を速めて司を見ていた。
ブラウス越に見える胸の膨らみが息をするたびに動いて男を誘った。
司は体を上下に擦りつけるようにして欲望の高まりを伝えた。

「ああ・・まきの・・俺が欲しいんだろ?」
「し・・支社長っ!」
「つかさって呼べよ・・」

司はゆっくりと顔を近づけると唇と唇を重ね合わせた。
なまめかしく動くふたりの唇。互いの口腔内を舌で犯し唾液を送り合う行為。
唇だけが重ね合わされてはいたが、体は熱くまるで生きたまま炙られているようだ。

もっと欲しい。

いますぐここで深く奪いたい。

愛人は欲しいと思った時に抱いていい女だ。
正常位だろうが後背位だろうがどんな形で抱いてもいい女だ。
だが司の中ではどんなふうに抱いてやろうかなど考える余地もないほど女を求めていた。
唇を離した瞬間、司の全身に震えが走った。

女の手がせわしなく動いて司のシャツをスラックスから引き抜くと下からゆっくりとボタンを外し始めていた。欲望に曇った司の瞳はそんな女の仕草に我慢が出来なくなっていた。
やがて全てのボタンが外されると小さな両手が硬くなった男の乳首を撫でた。
司は屹立したものをつくしの体に押し付けながら、彼女の頭をつかんで自分の胸に押し付けていた。
「クソッ・・いい感じだ・・」
滑らかな女の舌が司の乳首を舐めていた。
「つくし、下着を・・脱げ・・」

女は司の胸から顔を離すとスーツのスカートの裾に手をかけ、ゆっくりと引き上げ始めた。
司の視線は女のする行為を見逃すまいとしていた。脱いだ下着は上着のポケットに入れておくつもりでいた。それは愛人である女の匂いを楽しむためだ。
だがスカートの裾が股のラインまで全て引き上げられると司は満足そうにほほ笑んだ。

「なんだよ。履いてねぇのか」
三角の形をした黒い毛が見えていた。
「たまらねぇな。おまえのその匂い」
立ち昇る濃厚な女の匂いに司は舌先で唇をなめた。
「おまえは一日中そうやって俺のこと考えてたのか?」
司の視線はつくしの陰部に注がれていた。それは淫らで視姦するような視線。
「なあ。何を想像してたんだ?」
1日中下着を着けることなく過ごす女の股の間からはぬめりが伝わり始めていた。
「なんだよ?見られただけでそんなんかよ。いやらしい女だなおまえは・・そうやって俺の傍でずっと濡らしてたのか?」
司は再び女を壁に押し付けると脚の間に手を差しいれた。
「あっ・・・」
「脚、開けよ。おまえ俺が欲しいんだろ?こんなにべとべとに濡らしやがって」
骨の髄まで男を感じさせる男はゆっくりとスラックスのジッパーを下ろしていた。









「ねえ・・」


「ど・・みょ・・じ?」

「どう・・うじ?」

「・・道明寺?」

「あっ?」
司は目を開けると咳払いをした。
寝転んでいる司を上から見下ろすつくし。
「なんだか顔が赤いけど・・大丈夫?日に当たり過ぎちゃった?」
「いや・・。問題・・ねぇ」

ふたりは軽井沢の道明寺家所有の別荘からピクニックに出かけていた。
司はだだっぴろい草原に敷かれたブランケットの上でまどろんでいた。
まどろんでいると言うよりも妄想に耽っていたと言った方が正しいはずだ。
執務室で行われる背徳の行為を楽しんでいる最中だった。
司は片手で目をこするとつくしの顔をじっと見た。

「本当に大丈夫?ここは高原だけどまだ暑いから・・」
心配そうな様子で司を覗き込むように見つめているつくし。

司は寝転んだ姿勢のままでそんなつくしを見返していた。
誰もいない高原にふたりきり。
都会の喧騒を逃れ、夏の暑さから逃れ、静かなふたりだけの世界。
朝夕に感じる風はすでに秋の気配を感じさせていた。
だが頭上に照りつけるのは夏の名残を感じさせる太陽。
そしてその光りを浴びながらまどろむ男。

そんな高原での野外活動。

野外活動・・実にいい響きだと思わないか?
ただし司が思いついたのは別の漢字だ。

屋外活動。

少し前に総二郎が牧野に託したエロDVDを見て思ったんだが、たまには大自然の中で戯れるってのも悪くはないだろうってことだ。あのDVDはまさに屋外の戯れだったからな。
要は穏やかな営みじゃなくて獣のように激しい欲望ってやつだ。
大自然の中でってのも悪くはない。
ワイルドだろ?
この草原は道明寺家の私有地で二人以外立ち入る者はいない。
司の壮大な誘惑計画は今始まったばかりだ。
それなのに寝入ってしまったのはやはり日頃の疲れが溜まっているせいか・・・

司は夢を中断されてむらむらしていた。

どうしていつも肝心なところで邪魔が入るんだ!
仮に夢だとしてもどうしていつも中途半端に終わっちまうんだ?
それによりにもよって牧野に突っ込まれるようじゃどうしようもねぇじゃねぇかよ!
こうなったら吹き矢の先に催淫剤でも塗って草原を走り回るこいつを仕留めるか?
ぐったりしたこいつを別荘まで連れて帰ったらゆっくり観察でもしてみるか?
そうすりゃ牧野がどんな行動に出るかわかるはずだ。

催淫剤で妖艶になった牧野・・・こいつが自ら俺を誘う・・
愛人関係の支社長とその秘書。
そうださっきの執務室での続きだ。

『 つかさっ・・・きて・・? 』
『 ま・・きのっ・・・ 』



次の瞬間、司は自分を上から見おろしている女の手を取り引き寄せるとブランケットの上へと優しく横たえた。見おろす司の息は荒く、空気を求めて呼吸が早まっていた。
「ど、どうみょうじ?」
「あぁ?なんだよ?」
「ちょっと、ど、道明寺?ね、寝ぼけてるの?」
「寝ぼけてなんてねぇよ」
司は手と頭は別行動とばかりにつくしの着ているものを脱がせ始めていた。
「ちょ、ちょっと、ど、どうみょうじ?こ、ここどこだと思ってるのよ!」
そんなモン言われなくてもわかってる。
だって俺たち屋外活動しに来てんだろ?
「ね?つ、つかさ?」
「あっ?だからなんだよ・・ここがどこだろうと関係ねぇだろ?」

切羽詰まった声と電光石火の早業とはまさにこのことだろう。
司はあっという間につくしの着ていたワンピースを脱がせると自らの服も脱ぎ捨てた。
女と違って男にはプライバシーなんてのは必要がない。
どこで裸になろうがそんなことは気になんてしていない。
まあ、俺の体で見せれねぇとこなんてねーからな。
それにここなら誰にも見られる心配なんてない。
降り注ぐ太陽の光りを浴び、緩やかに流れる風を感じると体中の感覚全てが研ぎ澄まされた。司は自分の中で眠っていた野生の本能が呼び覚まされたように感じていた。

「つくし・・」

体がいとしい女を求めて止まなかった。
妄想している場合ではない。今すぐ目の前に横たわる女を喰い尽くしてしまわなければ生きていけないような飢餓に襲われていた。
この場所がそうさせるのか人としての本能と野生の本能が合わさってしまったかのようだ。

「今すぐここで、この場所でおまえが欲しい・・」

いつになく湧き上がった荒々しい思い。征服欲とでもいうのだろうか。
太古の昔、男が女を求めたように裸になって太陽の下で愛し合う行為がしたい。

「なあ・・いいだろ・・?」

ダメだと言われても止めることは出来ないとわかっていた。
だが司は必ずつくしの気持を確かめる。
主導権は自分にあるはずだが、どうしても聞かずにはいられないのは何故なのか?
それは遠い昔、嫌がる女を無理矢理抱こうとしたことへの後悔からなのか?
今まで散々抱いて来たというのに愛し女を大切にしたいという気持ちはどれだけ時間が経とうが変わらなかった。

同意と思われる頷きが返されると互いの手を取り五本の指を絡め合いながら交わす口づけ。
長い時間をかけ、太陽の温もりを感じながら愛し合う行為。
陽だまりの中を浮遊するかのようでもあり、太陽の熱に焼かれるようでもあった。
だが肌を焦がすのは太陽の熱ではなく互いの情熱だ。
絡みつく互いの四肢は甘美な誘惑で非日常的なこの空間にあるのは、ただふたりの熱い思いだけで愛し合うふたりに言葉は必要がなかったはずだ。そこにあったのはただ相手を求め合う男と女の姿だけだったはずだ。

求めて奪って与え合う男と女・・・

体とともに唇を重ねあわせ、ふたり一緒にそのときを迎た。

瞬間、司はなんとも言えない愛おしさがこみ上げるのを感じていた。







「どうみょうじ?」
「ああ・・」
「ねえ。起きて?」

ふたりは一枚のブランケットに包まって眠っていた。
司の腕はつくしを守るように抱きかかえ、片手はけだるげに乳房に触れていた。
日は少しだけ傾いてはいるが、そこは静寂に包まれている。

「なんだかあたし達・・凄いことしたみたい・・」
「なんだよ凄いことって?」
甘いほほ笑みが返された。
「だって青空の下で・・あ、愛し合うなんて・・」
「嫌だったのか?」
司はつくしの顔にかかっていた髪をそっと払った。
「うんうん」つくしは首を振った。
「違うの・・なんだか大きなものに包まれているように感じたの・・」
「大きなものって俺のことだろうが」
司はつくしの手を取ると自らに触れさせようとした。
すでにそこは次の準備が整っていた。
「ば、ばかっ!違うわよ」
「じゃあ何だよ?俺より大きなものなんて・・」
「あ、愛よ。愛。・・つ、つかさの大きな愛に包まれているって感じたの」
「そんなもんいつも感じてるだろうが」
「そ、それはそうなんだけど・・なんだか少し違ったような気がしたの」

それは遠い昔、もしかしたらふたりがこの場所で愛し合っていたことがあったからなのかもしれない。

「ふん。俺はいつもおまえのことしか考えてねぇんだから愛は常にデカイに決まってるだろうが」
愛に大きさがあるなら司の愛はいったいどのくらいの大きさなのだろうか?
「わ、わかってるわよ・・」

つくしにだってそのくらいのことはわかっている。
いつも自分の傍を離れようとしない男がどれだけ愛してくれているかということを。

「おまえの彼氏は誰だと思ってんだ?世界の道明寺司様だぞ?俺の愛のデカさが知りたいって言うならデカいダイヤモンドでも買うか?」
司が言うことはすぐに実行に移されるのだから迂闊に返事は出来ない。
「まあ俺の愛の大きさに見合うだけのダイヤがこの世にあるとは思えねぇけどな」
それはまさに計り知れない愛。
俺は牧野つくしを愛してる。
牧野、おまえを死ぬほど愛してる。
「つくし、そろそろ・・別荘に帰るか?」
溺愛する女の髪を撫でながら司の瞳は輝いていた。
「・・うん」
「ねえ、つかさ・・また・・いつかこの場所に連れて来てね・・」
「ああ。わかった。来年また来よう」


いつかまたふたりで来たいこの場所。
それは司も同じ思いだった。
降り注ぐ太陽の光りと緩やかに流れる風を感じられるこの高原。
来年の今頃またふたりで訪れることが出来たらいいと願った。
その約束が永遠の約束へと変わる日はいったいいつのことなのか・・
司の悩みは尽きなかったが、つくしを追いかけていくのが彼の運命であり権利でもあった。
この権利は誰にも譲るつもりはない。
それに頭に浮かんだ牧野が愛人になるだなんて妄想はきっぱりと切り捨てた。
あいつが愛人?
冗談じゃねぇぞ!
あいつは俺にとっては一生愛する女であって日陰の身の女じゃねぇからな!

司の前を歩くつくしは後ろを気にしてチラリと振り返った。
途端、何を思ったのか駆け出して行った。

「つかさっ!別荘まで競争よ!」
「てめぇ、競争ならスタートラインは同じだろうが!」
叫んだ司の声に返されたつくしの言葉。
「だってつかさは脚が長いんだからいいじゃない?あたしを好きなら捕まえて・・」
風に乗って聞こえるつくしの声は軽やかだ。
もうとっくの昔に捕まえているはずの女だがそれでも司は心配していた。

「チッ・・あの女昔から逃げ足だけは早えからな・・けど俺から逃げれるなんて思うなよ?」

逃げるつくしを追う司。
それはいつも見る夢の中でも同じなのかもしれない。
だが牧野つくしを追いかけることは司の趣味なのだから文句はなかった。
恐らくこれから一生追いかけていくはずだ。
一生逃がさないと誓ったのは17歳のとき。
その思いは今も決して変わらなかった。







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