2016
07.17

金持ちの御曹司~すべては君のために~

想像力が過剰だと言われる俺。
むしろその逆だと思ってるくらいだ。
どうしたらもっと牧野との愛を深めることが出来る?
そんな中、耳にした男性社員の噂話のひとつ。

『 支社長は立派なモノを見事に使いこなすらしい 』

その意味は十分よくわかっていた。
ちなみに女子社員の間で囁かれる世間話のひとつ。

『 支社長と一緒にベッドに入れるならとてつもなく幸せ 』

これは俺には理解出来ねぇな。俺のベッドの空きスペースは牧野のためにある。
おまえらなんかが俺のベッドに入れるはずがねぇだろ?
言っとくが誰も招待なんかしねぇからな。

ガキの頃はハンサムな悪魔だなんてことを言われたことがある俺。
牧野と愛し合うとき、たまに悪魔になることもあるがこいつにとっては愛しい悪魔のはずだ。

ベッドの軋む音と、二人の喘ぎ声、繰り返えし囁かれる愛の言葉・・
それが俺たち二人のめくるめく愛の調べだ。


だがここ2日、牧野の様子がおかしい。


いや、気のせいなんかじゃねぇ。
どう考えても俺のことを避けていやがる。
いったい俺が何をしたっていうんだ!
おまえを愛しすぎたことが悪いのか?
それとも愛し方が悪いのか?
あんなことやこんなことをし過ぎか?


クソッ!

イライラする。

そんな中で西田のひと言。


「支社長、男にも更年期というものがあるそうです」

バカ野郎!だれが男の更年期だ!
それはおまえだろうが!
おまえの性生活がどんなだか知らねぇが、知りたくもねぇけど俺にまでそんな話しをするんじゃねぇよ!西田が嫁とイチャイチャしてるところなんて想像出来ねぇからな。

今もロシアのガス開発に関する報告書を持参させた牧野の態度は冷やかだ。いや、仕事中で仕事モードに入っているってのは分かるが、今までなら少しの愛想笑いくらいはあったぞ?
それが一体全体どうしたんだというほどに能面のような顔をしてやがる。
俺のかわいいい牧野はどこにいったんだ?

「以上です。支社長」牧野の言い方が冷たい。

「ああ、わかった」
とは言ったが全く聞いちゃいねぇ。

が、

まるでブリザード状態の牧野にも反応する俺のムスコ。
いつもと違うパターンに戸惑ってるのか完全に勃ってるわけじゃねぇ。
半勃ちってやつだ。
だが司ほどの体格ともなると、そんな状態でもどうしても目立ってしまう。
今こいつの前で立ち上がるわけにはいかねぇ・・
いったいどうしたらこの状況から抜け出すことが出来るんだ?
冷たくされても、どうしても勃ちあがって牧野に敬礼したがる俺のムスコ。
膠着状態じゃねぇ・・硬直状態だ。


ハァ・・・


いったい何が俺たちの間に起こったんだ?

わけがわからねぇ・・・


そんなある日の執務室に集まった仲間たち。
あきらと総二郎だ。

「司、おまえ自分のナニに話しかけんのはやめろ」
「ナニ言うな」
「じゃあなんて言うんだ?おまえの亀か?」
「うるせぇ」
「で、司は何をそんなに悩んでんだ?」
「何も悩んでなんかねぇよ!」

いや、実は悩んでる。
最近牧野の態度が冷てぇ・・
そんな話しを仲間にしたら最後、まさに言いたい放題のこいつらだ。

「司、牧野にサカり過ぎて嫌われたんじゃねぇのか?」
「だいたいヤリたい盛りのはずの高校時代のおまえは鋼鉄の処女を相手にしてたもんな。その反動が凄すぎてついに嫌われたとか?」

今ではセクシーな大人の男と言われる俺にもそんな時代があったと過去を振り返った。
確かにあの頃は宝の持ち腐れだと言われていたのは分かっている。
だけど仕方ねぇだろうが!牧野以外欲しくなかったんだからな!

「司の母ちゃんが鉄の女で、牧野が鉄パン女っておまえの周りは鉄ばっかだな。それなら姉ちゃんは何になるんだ?」

そんなこと知らねえよ!

「しかしおまえあの頃よく我慢できたよな?」
「俺か?頭ん中じゃヤリまくってたけどな」
「で、その頃の司の妄想ってどんなんだったんだ?」
「そうだぞ?ガッコ―なんて隠れる場所がいくらでもあるし、いざとなったらどっかの部屋にしけ込んでヤルってことも出来たはずだ」
「俺の妄想か?」
「そうだ。司のだ」

牧野にしたいあんなことや、こんなことはまだ山のようにある。
あの頃、実は牧野を襲ったことは誰にも言ってない。俺と牧野だけの秘密だ。
あのことは今でも誰にもいえない俺たちの妄想劇場となっている。
今じゃ笑い話ですまされるが、あの時はあいつに相当怖い思いをさせたはずだ。

そんな俺と牧野の妄想劇場・・
まあ、ちょっと脚色されてるけどな。






薄暗い廊下を走るひとりの女生徒がいた。



「はあ、はあ、はあ・・おねがい・・・来ないでっ!」
「おまえが悪いんだ」
「あたしが何をしたって言うの・・」
「まきの・・何もしてねぇからっていいと思ってんのかっ!」
「なっ・・」
「おまえを滅茶苦茶にしてやるっ!」
「や、やめてどうみょうじ・・・」


ストップ!


ここまでがあの時の出来事だ。

こっから先が本当の俺たちの姿。
あのときの誤りは正さなきゃならねぇからな。



「どうみょうじ・・裸になって・・」
つくしが囁く。
「どうみょうじのいろんなところに触りたいの・・」
牧野の口からこんなことが聞けるなんて、まさに電気ウナギに触れて感電させられたような衝撃だ。
「あたしたち、あれから大人になったもの・・」

つくしにはじめて会ったときから、司は彼女に惹かれた。
司に対して物怖じしない態度にイラついたが心の奥ではいつもつくしを求めていた。
今ではつくしの全てが大好きだ。声も髪も、匂いも肌触りも、全てが好きでたまらない。

で、いつも滅茶苦茶にされて最後にはごめんなさいをさせられる俺。
あえてこの滅茶苦茶具合は言わないが、
まさに裸で頭を床に擦りつけんばかりで土下座状態だ。
こんなこと誰にも言えねぇし、見せれねぇ・・
人に頭を下げる俺の姿なんて今まで誰も見たことがないはずだ。
こんな俺も牧野にだけは頭が上がらねぇ・・
世界の道明寺司だなんて言われてても、そんなことはこいつには関係ない。
恐らく一生牧野には頭が上がることはねぇし、一生勝てねぇ。

あの時のことを言われたら、ひたすら謝るしかない俺。
あの出来事から何年かたってどうしてあんなことをしたの?
と聞かれたとき俺は牧野の目を見て言った。

「あの頃からおまえのことが気になって、類になんか渡したくなかったからだ」
なんてことを言えば、
「ふーん」のひと言で済まされた。
なんだよ、その気のない返事は!
あの時の俺は愛憎相半ばするってやつで、牧野に俺の存在を認めさせたかったってことだと気づいたのはそれから暫くたってからだ。
今の俺はあの時からあまりにも長い間、牧野を求めすぎて妄想度合が激しくなっちまったのかもしれねぇな。



そんな妄想はさて置き、ついに氷の女王と化していた牧野の感情が爆発した。


「ど、どうみょうじなんて・・大っ嫌い!」
「なっ・・・ま、待て。牧野・・な?」
司は焦った。
「・・なにがどうしたら俺のことが大嫌いになるんだ?」
大嫌いだと言って執務室を出て行こうとしたつくし。
そんなつくしを司は引き留めた。
「どうみょうじなんて、大っ嫌い!」

止めてくれ・・

そんな言葉をおまえの口から聞きたくなんかねぇ・・

後ろから司に抱きしめられたつくしは、背中全体で司の熱を感じていた。

「ま、まきの・・お願いだ・・頼むから俺を嫌いになんかならないでくれ!」

俺はおまえに捨てられたら生きていけねぇんだよ!
この際男としての威厳がどーのとか構ってられっか!
俺がまた昔みてぇになってもいいのか?
そんなことになったら日本中に迷惑がかかる・・いや世界中に迷惑がかかるんだぞ?
司はつくしを逃がすまいと、優しく羽交い絞めにした。

「なあ、俺がなんかしたんか?おまえの気に入らねぇことなんかしたか?言ってくれよ!」
「離して!」
「やだね」
「離してよ!」
「やだ。おまえのことは一生離すもんか」

司はつくしの首筋に優しくキスをすると、鼻をこすりつけてきた。

「まきの・・なに怒ってんだよ・・言ってくれ・・俺がなんかしたのか?」
「ど、どうみょうじは・・あたのしことなんてもう好きじゃないんでしょ?」
「ば、バカ野郎!誰がそんなこと言ったんだ!」

あきらか?総二郎か?
もしかして類か?
類の野郎・・まだ牧野を狙ってそんなことをこいつに吹き込んだんじゃねぇだろうな?
いったい誰がそんなことを言ったんだ!教えてくれ牧野!

「どうみょうじ・・あたしなんかもう必要ないの?」心なしか震える声。
「バカなこと言うな!俺は牧野が必要だ。なんでそんなこと言うんだよ!」

理由を言えと言ってもなかなか口を開きたがらない牧野。
そんな牧野が差し出したのは一枚のDVD。
どうやらこれが原因だったらしい。

『 牧野、これ司に渡してやってくれないか?』
と言って総二郎から手渡されたDVD。
『 もしよかったら牧野も一度見て見ろよ?勉強になるからな 』
『 これは世界的な経済活動としても興味がある問題だからな 』
経済の勉強ならしないわけにはいかない。
勉強熱心な牧野は素直に見た。
 




あんちくしょう!
なんで牧野にエロDVDなんか見せるんだよ!
それも嘘つきやがって!
何が世界的な経済活動だ!
たんなる胸のデカい女が男とヤッてるだけの映画じゃねぇかよ!

「だって西門さんが、道明寺は金髪で胸が大きい女が好きだなんて言ってた。アメリカでそんな女と一緒にいるところを見たって言ってた。」

あの男、よりにもよって牧野の胸がちぃせえなんてことを言いやがったのか?
こいつは何気にそのことを気にしてるんだからな。
地雷を踏むようなことするんじゃねぇぞ!

「牧野。俺は胸がデカい女も金髪の女も好みじぇねぇ。俺が好きなのは胸はほどほどで、長い黒髪が綺麗な女。でもって頑固で真っ正直な女だ」
「ど、どこにそんな女がいるのよ・・」鼻をすする牧野。
「今おれの腕の中にいて鼻水たらしてる」
「いいか、こんなエロDVDに出てる女なんてみんなまがい物だ」

いまふたりは執務室の大きなテレビで、いやらしいDVDを見ていた。
しかも、大音量。
恐らく隣の秘書室まで聞こえているのではないかと言う音量だ。

「いいか、牧野。この女をよく見てみろ。この胸はあとから盛ってる胸だ。作り物だ。
それにこの髪の毛なんかブリーチしてる。この女の元の髪は茶色だ。ほれ、見てみろ。下の毛と色が違うだろうが?それにこのわざとらしい声。だいたい外人のよがってる声なんかで俺がイケると思うか?いちいちわざとらしく叫びやがって!」

「それに総二郎の言うことなんて信じるな。あいつは俺と違って元々が女好きでその道には色々と詳しい男だ。あんな男のことは信じるな」

諭す司の言葉に小さく頷いたつくし。


「それよりおまえは無意識のうちになんかやってるだろ」
「なによ・・それ?」
「あ?おまえなんか出してるだろ?」
「そ、それはあんたでしょ?」
「俺か?俺がそんなもん出すわけねぇだろ?」
「いいか、おまえのこの匂いだ。この匂いが悪い」
「に、匂いだなんて何もつけてない・・」
「いいや。つけてる・・俺の匂いとおまえの匂いが混ざった匂いだ」

司が首筋に鼻を押しあてた。

「俺はこの匂いが大好きだ」
「やだ、どうみょうじ・・犬みたい」
「・・んだよ。笑うんじゃねぇよ!」
そんな司も楽しそうに笑っていた。
「おまえ、俺のこと犬だって言うけどな、俺の場合は飼い犬なんかじゃねぇぞ?狼だからな」

それも赤ずきんちゃんを喰っちまう悪い狼だ。
司の目つきが変わった。
つくしはごくりと唾を飲み込んだ。




今日一番の最高のプレゼントは牧野の笑顔が見れたことだ。
俺はいつまでたってもこいつには敵わねぇ・・
こいつの笑顔が見れるならどんなことでもやるつもりだ。
司はつくしの手を持ち上げて自分のうなじにまわすと、体をぴたりと合わせた。

「俺がおまえを嫌いになることなんてこれから先もあるわけねぇからな」
司は軽く笑うとつくしの大きな瞳を覗き込んだ。
「俺たちは一生離れることはねぇんだからな。おまえいい加減俺のこと解れよ」
つくしは頷いたがそれでもどこか不安そうだ。
「でも、もしこの先・・」
不安がるつくしに司は言い聞かせた。
「おまえが俺を幸せにしてくれるんだろ?」
つくしは頷いた。
「なら、そうしてくれ。俺はおまえじゃなきゃダメな男だからな」

おしゃべりはおしまいだ。

司は両手で頬を包むとむさぼるように口づけをした。
つくしも、同じだけの情熱を込めて司に応じていた。
司にとってつくしほど、愛おしい人間は他にはいない。
彼女がそばでほほ笑んでくれるだけで満足だ。
これから先なにがあろうと、つくしが傍にいてくれればそれだけで司は満足だった。








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