2016
07.10

金持ちの御曹司~Election Day~

あるがままの存在の俺。
あまりにも強烈な存在感があるらしく、変装してもすぐに見破られる。
別にひと目を引きたいだなんてことは考えたこともない。
気配を消すためにはどうしたらいいんだ?
誰か知ってたら教えて欲しい。
ああ、金ならいくらでも払ってやるから教えてくれ。
引き締まった体から滲み出る俺の優雅さなんてのも、世間の目から逃れることが出来ない原因だな。世間じゃそのことをオーラがあるなんて言うが、そんなもん俺にはどうでもいい。


今日は国民の権利を主張する日曜だ。
わざわざ変装して行ったのに投票所に行けば人の視線が半端ねぇ。
受付の人間からして俺のことをじろじろ見やがる!
_ったく誰が不審者だ!
おい!そこのおまえ!俺の顔見ながらヒソヒソ話すんじゃねぇよ!
おまけに牧野なんか俺をおいてさっさと投票済ませていやがる。

言っとくが俺は国民の義務は十分果たしてるはずだ。
納税と労働と子供に教育を受けさせる権利だろ?



悪りぃ・・・


ひとつだけ果たしてない義務がある。子供に教育をうけさせる権利だ。
まだ牧野との子供はいねぇけど、俺はいつでもかまわねぇ。5人でも10人でも牧野が生んでくれるなら教育を受ける権利を与えるのは当然だが俺の子どもとしての義務はきちんと教えてやるつもりだ。
俺の場合は親から英才教育を受けさせてもらったから高校なんてテキトーだったし、教育を受ける権利を半ば放棄していたふしもある。けどな、そんな俺も牧野と知り合ってからはこいつに負けねぇくらい猛勉強してアメリカの一流大学へ入学した。
まあ、今の俺があるのはすべて牧野のおかげだ。

牧野、そんなおまえに感謝の気持を込めて、このまま区役所で婚姻届を出して来てもいいぞ?
そうすれば今日からでもすぐに子供を作れる。
何も遠慮なんかすることはない。
俺の心からの感謝の気持だと思って婚姻届に判を押してくれ。
俺はそのつもりでいつでもサイン済みの婚姻届を持ち歩いている。
あとはおまえのサインだけだ。



それにしても暑ちぃ・・・



猛暑だか酷暑だか知らねぇが暑すぎる。
こんな夜は暑さついでにあいつとグッショリ過ごすに限る。




それは真夏の夜の灼熱の情事。


毎夜毎夜繰り返されるめくるめく愛の交歓。


俺のお気に入りの言葉に『組んず解れつ』ってのがあるが、まさにこの季節に汗だくになってベッドの上での愛欲の日々って感じだろ?
別名汗だくの情事。
そんな夜が理想の俺。

ちなみにそんな真夏の夜。俺たちはマンションのテラスで打ちあがる花火なんか見てる。
浴衣に着替えた牧野は髪をひとまとめにして頭の後ろで留めている。
白いうなじがまる見えで色っぽい。女のうなじが色っぽいだなんてことに気づいたのは、こいつとつき合うようになってからだ。初めてこいつの浴衣姿を見たのは、つき合うかつき合わねぇかでゴタゴタしてた頃。せっかくいい感じになったところで邪魔されてキスさえも出来なかった記憶がある。



司の顔がにやけた。

初めてこいつの浴衣姿を見たときから、脱がせたくて仕方がなかった。

よくあるだろ?時代劇にある場面。

殿様と商家の娘の話し。










「お殿様、おやめ下さい!」
「牧野、今さら何を言うんだ?」
「どうかお願いです、お許し下さい。わたくしは許婚がいる身でございます」
「おまえは俺に献上されたんだ!今日からおまえは俺のものだ!」
「お、お許し下さいお殿様。どうか後生です・・お願いですから・・」

司は部屋の中を逃げる商家牧野屋の娘つくしを捕まえると、帯に手をかけた。
くるくると帯を回し解かれると、襦袢姿のつくしは布団の上に転がされた。

「許婚だと?おまえは俺のものだ!おまえの体は俺の悦びのためにあるんだ!」
つくしは凍りついた。

「花沢屋の息子になんか渡すものか!」

司は襦袢の袂をつかむと一気に腰まで引き下ろした。
目の前に表れたのは乳白色のかわいらしい丸み。

「お殿様おやめ下さい。お許し下さい。お願いですから・・」涙がひと粒こぼれた。

「だめだ」司が低い声で言った。
「おまえは一生俺のものだ。誰にも触らせねぇし俺だけのものだ。これ以上抵抗してもどうにもなんねぇぞ?」

つくしは抵抗して身をよじったが司の手は容赦なく着物を剥いた。

「俺を見ろ」司は激しく言い放った。

顔を上げて司を見たとき、つくしを見下ろす目には欲望と究極の所有欲が満ちていた。
司はつくしの乳首を強くつまんだ。

「ああっ!」

「なにが花沢屋だ!あんな廻船問屋なんかぶっ潰してやる!」

司はつくしの頬に流れた涙のあとに優しく口づけをした。

「どうしてもおまえが欲しい・・俺のものになれ、つくし。俺がおまえを幸せにしてやる!」

つくしの脚のあいだに手を滑り込ませると、まだ誰も触れたことが無い場所を確かめた。
長い指がつくしの奥へと挿しこまれた。

「あっ・・ああ・・っ・・」

「おまえがどんなに拒んでも、俺はおまえを奪う。だから俺を拒むな。拒まないでくれ!」






おい!ちょっと待て!

どうして俺と牧野のラブストーリーに類が出て来るんだよ?
なんで類が牧野の許婚になんかになるんだよ!
類の名前が出て来た途端、話しがおかしな方向に進んでいったじゃねぇかよ!

クソッ!

そういやぁ、今日あいつに会ったんだったな。
その残像が俺の頭の中に残ってたってことか?
類の野郎・・
邪魔すんじゃねぇよ!

「道明寺?どうしたの?」

つくしはぽかんとした顔で司を見つめた。
司はにやりとした。

「牧野、俺の夢叶えてくれるか?」
類の残像なんか消去だ!消去しろ!

さっそく浴衣姿の牧野をベッドの上に転がす・・


が・・



その前に帯を解く例の場面からだろ?


司が帯に手をかけて引っ張ると両手を上げてコマのように回るつくし。
こうすることを、あまりにも長いあいだ待っていた!

「やだ・・どうみょうじ・・目が回る・・」

俺の長年の夢のためだ我慢してくれ!
それにしても意外にノリのいい牧野には感謝だ。


そんなことより・・


おい牧野!
なんだよ?この下着は!
おまえ・・浴衣の下にこんなもん付けてたのかよ!
まるで三角の生八つ橋が紐で結ばれてるだけみてぇじゃねぇかよ!
おまけに濃い色の茂みは透けていて、八つ橋の中の餡みてぇに見える!
おい、それにいつもつけてるはずのブラジャーはどこにあるんだ?
まさかこいつ、忘れたんじゃねぇよな?
あぁ?
浴衣の下にブラジャーは付けないのか?


今後牧野が浴衣で外に出ることを禁止する。






「ねえ・・どうみょうじ・・」
「どうしたんだ?」
「・・体が熱いの・・」
「体が熱いのか?」
「うん・・そうなの・・なんだか急に体が熱くなったの・・お願いなんとかして?」

牧野の中にある溶鉱炉は俺を溶かすほどだ。
・・熱いのか?アソコがそんなに熱いのか?
そりゃ大変だな?
待てよ?牧野がそんなこと言うか?
いや。俺は確かに聞いた。牧野のアソコが熱い・・


そうか・・


熱いのか・・要は体の火照りが止められないってことだよな?
よし、わかった。
おまえの願いは聞き届けられたぞ。安心しろ。
俺がおまえの熱を冷ましてやる。


それなのに最近の牧野は俺が触ると
「道明寺の手、熱いから触らないで!」
なんてことを言ったことがある。

なんだよそれ?
この俺の手だぞ!
黄金の両手と呼ばれ、触れるもの全てを黄金に換えるというギリシャ神話のミダス王なみの 錬金術を持つ俺の手だぞ?
それに真冬の寒い時には「道明寺の手って暖かいから気持ちいい」なんて言ってたはずだ。
_ったく、この180度の変わりようはなんなんだ?
夏場は俺の手が熱いから触るなだと!
だいたい男の体は女より体温が高いんだよ!
カナダの雪山で遭難したときも、道明寺って暖かいのね・・なんて言ってたくせになんなんだよ、その態度は!
俺のことを暑苦しそうに追っ払おうなんて出来ねえからな!

しかし、今の牧野は体が熱いからなんとかしての一点張り。
こいつから求めるなんて珍しいこともあるもんだ。

司は着ていたTシャツをつかんで頭から脱いだ。

「まきの・・」

つくしの体に触れるのは、司にとって悦びだった。
本当はいつでも、どこでも触れていたくて仕方がない。
つくしの肌はほんのりと上気し、桜色をしていて綺麗だ。
驚くほど優しく触れる手はつくしの脚を押し開き、まるで大切な宝物をこれから目にすることを楽しみにしているかのようだ。

司にとっては何よりも大切でまさに宝物のような女性。
膝の裏へ手を入れて持ち上げると、脚を大きく開かせた。身構えてしまうつくしに優しく声をかけると、ゆっくりとした動きで徐々に前へと司自身を沈みこませて行った。

好きな女とひとつになる。

それはいつも悦びでしかなかった。それもそのはずだ。
つくしは司にとっては誰よりも特別な人なのだから。

「くそ・・まきのッ・・」

司は彼女の両脚を自分の肩にかけた。締め付けがきつかった。

「ああん・・どうみょじ・・熱いの・・」

「ああ・・おまえの中は・・熱過ぎる・・」

二人の間には遮るものは何もなく、部屋の中に聞こえるのはお互いの体がぶつかり合う音だけだ。律動を繰り返すたびに揺れる胸は司の唇を欲しがっていた。
顔にかかった髪の毛を払うと、その手を胸へと滑らせた。
硬く尖った胸の頂きを指で弄ぶといやいやと首を振っていた。ならばと唇を寄せ咥え込むと司を包み込んでいる場所がますますきつく締め付けた。

「つ、つかさ・・おねがい・・」

はぁはぁと浅く早い呼吸が繰り返されるなか、呼ばれた自分の名前。

「つ、つくし・・・わかってる・・」
深く、早く打ち込まれ、つくしは体がどうにかなりそうだった。

「なあ・・俺が欲しいか?俺の全てが欲しいか?つくしっ・・言ってくれっ!」

「欲しい・・つかさの・・つかさが全部欲しい・・あん・・ああっ・・あああっ!つ、つかさ!」

「いけ!いってくれ・・っつ・・くしッ・・・」

司は最後に奥深くまで打ち込むと自分自身を解放した。
あまりにもきつい締め付けと快感に信じられないくらい体中が打ち震えていた。







***








司は激しい頭痛で目が覚めた。
今まで正体をなくすほど酔ったことなどなかったはずだ。
10代の問題児の頃から酒には強かった。
昨日はほとんど飲んでねぇはずだ・・
なんで今朝はこんなに頭が痛てぇんだ?

「どうみょうじ・・?大丈夫?」
心配そうな声と共に寝ている上から覗きこまれた。

「なにがだ?」
「熱があるんじゃない?」
「なんでだよ?」
「だって顔が赤いし・・体も熱いでしょ?」

確かに体が熱い。

「ごめんね。あたしの風邪が移っちゃったのね・・」
申し訳なさそうにあやまる牧野。

「あたし昨日体が熱いって言ってたでしょ?あれ多分風邪の諸症状ってやつで・・
熱が出ちゃったんだと思うの。他は全然大丈夫なのに・・」

「それからね、道明寺と汗かいて、あたしの風邪は治ったみたい・・」
あっけらかんとして言うつくし。



おい。おまえ・・



いや。俺は男だ。牧野の彼氏だ。
何が無くても牧野が一番な俺だ。
俺がこいつの風邪を引き受けたってことだろ?
彼氏冥利に尽きるじゃねぇかよ!
牧野が元気で長生きしてくれるのが一番だ!

夏風邪か・・・

自覚した途端一段と熱が上がったような気がする。

いいさ、いいだろう。
これから暫く牧野はここに泊まりで俺の看病に精を出してもらう。

「なあ、まきの・・」

「なに?道明寺?」

「メロンが喰いてぇ・・」
病人と言えばメロンだろ?

つくしは司に顔を近づけると、額を合わせた。
「うん。やっぱり熱があるみたい」

少しだけ体を引くと司の顔を覗き込んだ。
つくしが目にしたのは少しだけ弱気になった司の表情。
その顔には素直な感情が浮かんでいた。


俺をひとりにしないでくれ・・



つくしには馴染のある表情。
その顔は昔見たことがあった。



幼い頃から愛情に飢えていた子供は大きくなっても愛を求めていた。
それもたったひとりの女性からの愛。



つくしは笑って司に抱きついた。

「大丈夫。安心して?道明寺の面倒はあたしが責任を持ってみてあげる」

そんなつくしの背中にそっと腕をまわした司。

どんな薬よりもつくしに抱きしめてもらえることが一番の薬。
彼にとって彼女の笑顔が特効薬。
その存在が何よりの癒し。



司はつくしが親友ではなく自分を選んでくれたことに心から感謝していた。









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