2016
02.20

金持ちの御曹司~言い分~

シュッと音を立てて飛んで行く書類が一枚。

司は紙飛行機を作ると飛ばしていた。
執務室で紙飛行機を飛ばす男なんて俺くらいか?
そろそろ新しいジェットでも買うか・・・
あれだな、アラブのオヤジに負けねぇような派手なヤツにするか?
蛇口は純金で内装は・・牧野は青が好きで俺は赤が好きだ・・

司はスラスラと何かを書いていた。

ダメだ。
これじゃトリコロールカラーになっちまう・・
フランス国旗だなんて類を思い出させるから却下だ。
ギャレーには鉄板も必要だな。
よし、鉄板と・・・
メモだ・・
お好み焼きを焼くなら鉄板が必要だろ?
あとは・・・っと・・・・よしっ!

海外出張はどうしても機内で過ごす時間が長い。
俺はそんな機内で少しでも有意義な時間を過ごしたいと考えていた。
もちろん仕事もするが、高度一万メートルの空の上でやりたいこともある。
俗に言うマイルハイクラブだ。
空の上でのセックスなんか最高じゃねぇか?
なんか最近牧野とマンネリ化して来たというか、もっと面白いことがしたくなったってのが正直なところだ。
けど今から発注したらどんくらいで納入されるんだ?
急がせるって言っても安全面のことを考えれば無茶も言えねぇよな?
なにしろ俺と牧野の命がかかってるんだからな。
手抜きなんてされたらたまったもんじゃねぇ。
けど新しいジェット買うなんてったらあいつどうするかな。
また無駄使いなんかしてって怒るか?

あいつ俺の女の癖にやたらと節約しやがる。
俺がおまえに金の心配なんかさせるかよ!
俺が牧野名義で貯めた金額知ったらあいつどうするかな?
預金通帳を見せたら牧野がびっくりするからスイスの銀行に入れた。
今どんくれぇ貯まったか?
100億くれぇあるんじゃねぇの?
言っとくけど色んな方面にはナイショだ。



そんなこととは露知らずの牧野。
もったいない、もったいないって無駄遣いなんて言語道断だって言いやがる。
けっ!なんだよ、俺にそんなことをキョ―ヨーすんな。
それに俺が稼いだ金をどう使おうと勝手だろ?
金のあるヤツが金を使わねぇでどうすんだよ。
日本の経済を回すためには購買力のある人間が景気の下支えをしなくてどうすんだよ!
節約だなんて言っといておまえだってこの前、お馬さん買って~なんて甘えた声で言ったじゃねぇかよ!

ま、あれはあれでいいんだ。
俺もあの馬のふてぶてしい態度が気に入ったからな。
馬も人間もある程度はったりってもんが必要だ。
ツカサブラック・・・考えたらいい名前だよな?
あいつツクシとうまくやってるんだか・・・
礼の葉書くらい寄こせって・・・


ジェットといえば、8時間もかけて行ったインドネシアでは大変な目にあった。
いくら面白いことがしたいってもなんで俺があいつに放置されんだよ!
俺は拘束責めにされているマゾか?
冗談じゃねぇぞ!
俺にはそっちの趣味はねぇぞ!
あんときは牧野が鍵を持ったまま出かけたせいであいつが戻るまでションベンにも行けなかった!

俺の男としての沽券に係わることだから大きな声じゃ言えねぇけど
別の意味で死にそうになった・・・
男は女より我慢ができるがヤバかったのは確かだ。
ああ・・まさにあれは俺の股間に係わる出来事だったな。

世間での俺はプライドが高い男と言われている。
そうだ、そんなプライドが高い俺が・・・

女にベッドへ手錠で繋がれていたなんて口が裂けても言えない。

けど牧野が相手だとプライドなんてどっかへ行っちまう。
あんとき、なかなか牧野が帰ってこなくて俺はションベンが漏れそうになって苦しくて死にそうな思いをしてた。

まるで拷問だ!
いや、でもなんとかプレイってのもいいか?
牧野がナースで俺が患者・・
いや、俺が医者で牧野がナースってのもいいか?
医局で白衣を着た俺と露出度満点のナース服を着た牧野の映像が頭のなかに浮かんだ。


『ああん・・どうみょうじ・・大っきい注射して・・』
『あん・・もっと激しく・・・お願いっ・・・』


なんて言われて両手を牧野のかわいらしい尻に這わせて持ち上げて・・
後ろから思いっきり・・

おい、コスプレしてそんなことしてたらマジで変態じゃねぇかよ・・
俺はカチカチの息子を抱えデスクの書類に目を落としたままあの朝の事を思い出していた。
なんか知らねぇけど興奮した俺の息子の状態を目にした牧野のひと言。


「それ、カーブしてる・・」

ああ、そりゃそうだろ?
奥まで届きやすいように・・って何言わすんだよ!
クソッ!
司は背もたれに身体を預け天井を見上げた。


やべぇ・・
なんかまた変な気分になってくるじゃねぇかよ・・

あいつをベッドの中で転げまわらせていい気持にさせて・・



誰がボスかわからせてやろうか牧野?

会社んなかじゃ俺がボスだろ?

支配権は俺が持ってるはずだ。
社の権限のすべては俺がもってる。
なのになんなんだよ!この体たらくは!

遅い!!

「おい、牧野の報告書はまだか?」
インターコムで呼びつけること5回目。
やっと現れた牧野。
おせぇぞ!
おまえが来るのが遅すぎてぐだぐだ余計なこと考えちまったじゃねぇかよ!
こいつは俺を待たせることが許される唯一の人間だ。
他の人間なんて即左遷・・は大袈裟か。

「支社長お待たせいたしました。インドネシアの事業についての報告書です」
と仕事モードの牧野。
「ああ」
と受け取るとぽいっとデスクのうえに投げた。
急がせて提出させた報告書にこの対応。
それを目で追い唖然とする牧野。


「なあ牧野、手」
「て、手?」
「そ。両手出せ」
「あんたまたなんかプレゼントとか言って高い物買ってきたんじゃないでしょうね?」
「バカ野郎。おまえにいつもいつも無駄使いすんなって言われてるのにそんなことするわけねぇだろ?」
「ほれ、おとなしく両手出せよ」

両手を出せと言われれば、おかわり頂戴の要領で両手のひらを上にして揃えて差しだした。

つくしは何が出て来るのかと訝し気な表情を浮かべながらもおとなしく両手を差し出して待った。


司はその両手をぱたんとあわせ、いただきますの形にした。
それはあっと言うまの出来事で実に手際がよかった。

「ちょっとあんた何やってんのよ!」
「これなによ!!」
「あ?見てわかんねぇ?」
「わかるわよ!」
「そ。ならいいじゃねぇか」
「よ、、よくないわよ!これなんなのよ!」

スルッと両手を掴んで拘束すればいっちょ出来上がりだ。




つくしの両手は結ばれていた。
いただきますの形にされた手。




親指だけが仲良く結ばれていた。



そこだけが結束バンドで仲良く結ばれていた。


「ちょっと!道明寺!なにするのよ!」
「これとってよ!」

どうだ牧野。
これで手は出せねぇだろ?
目には目を、だ。
しかし世間にはこんな便利なものがあるなんて知らなかった。
これがあれば手錠なんて持ち歩かなくていいじゃねぇかよ。


イテッ!
蹴りやがった。

脚はしょうがねぇよな・・
そうか!
もっとデカい結束バンドを作らせるか!
そうすりゃ手も足も出せないってやつだ。
こら!牧野やめろ!
蹴んな!

ぎゃーぎゃー騒いでも無駄。
ひと払いしてんのに来るわけねぇだろ?
だいだいおまえが俺んとこ来たら西田も誰も立ち入らないってことになってるってことぐらいいい加減学習しろよ。

いいじゃねぇかよ。
手錠じゃねぇんだから。
おまえにはインドネシアでひでぇ目に遭わされたからな。
これは俺のささやかな仕返しだ。

ざまあみろ!
思い知ったか!

ソレ、結構丈夫だぞ?
ハサミで切るしかねぇよな・・これ。
けどそんなに暴れてたらハサミ持ってなんて危なっかしくて近寄れねぇよな。


ま、かわいくお願いされたら切ってやってもいい。
お願いしてみろよ牧野。
そうだな・・お願いの仕方にもよるな。
この態勢で手が使えなくても出来ることか・・

執務デスクの下であれか?
ドライブ中にヤられた時も良かったが、あれは命の駆け引きもあった。
フェラーリでフェラ・・
ああ・・ゴールフィニッシュまで相当かかった。
思い出しただけでズボンのなかの息子が疼いて泣き出しそうだ。

油断して、くるっと向きをかえたら後ろから体当たりされて床に転がされた俺。
でもって牧野の両腕が俺の首にかけられたと思ったら絞めてきた。
親指を拘束されてても何のその。
昔もこいつの腕技で首が折れるかと思ったことがあった。
相変らずケンカ上等な女だなこいつは。

グェ・・

し、死ぬ・・・

ま、牧野・・やめてくれ・・

ベッドの中で転げまわらせてやるつもりが執務室の床を転げまわらせてるなんて・・

この凶暴女!
おまえはマジで彼氏様を殺す気か!

まあこれもいつものことだから心配なんてしてないけどな。
これも俺と牧野のコミュニケーションのひとつ。

まずはこいつの口と徹底的に時間をかけてヤり合いてぇ・・
俺おとなしく椅子に座っとくから・・
なあ牧野、死ぬほどいい気持にさせてくれよ。
この女、やっぱ脚も縛ってヤんなきゃやべぇよな・・・





けどそんなことして結局いつも最後に仕返しされるのは俺なんだよな・・
その時は痛い目に遭う。それも非常に痛い目に遭うことになる。


クソッ!





それでもやっぱこいつのこと愛してるんだよな、俺は。
目に入れても痛くないほど愛してる女。
誰にも代えがたい替えのきかない女。
なにしろこいつは牧野だから。

けどな牧野。いつまでもやられっぱなしだと思うなよ?
司の唇に淫らな微笑みが浮かんだ。

司はつくしの腕から抜け出すと彼女のうえに折り重なった。
「ごちゃごちゃ言うな」
わめく牧野を下に唇をふさいだ。
ふさいだ唇の上から「あんときの仕返し」と呟いてみたら
わめいていた牧野は笑いながらキスを返してきた。

やっぱこいつは怒ってるより笑ってる方が断然いい女。
「ねえ、あのときのこと、まだ怒ってるの?」
と、大きな目を輝かせながら聞かれれば
「もうとっくに忘れた」と俺。
「よかった」とにっこり笑って返された。


だから伝えたいことはこれから、ゆっくりと、唇と身体で表すことにした。









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