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2020
11.23

金持ちの御曹司~骨まで愛して~<前編>

司の日曜の予定。
それはほぼといっていいほど決まっていて恋人とのデート。
そして夜はナニをする。
そう決まってナニをする。
ナニ以外考えられない。









「ダメよ道明寺…..あっ、ダメだってば!」

「ダメなもんか。お前、ココが一番感じるんだろ?」

「あっ!あっ……ん….ダメ!」

「牧野。お前の口は嘘つきだ。ダメだって言うが身体は正直だぜ?」

司は恋人の反応を見ながら、もっと声が訊きたいと華奢な身体を掴む手に力を入れた。

「どうだ?感じるか?」

「…..うっ…いい…」

「気持ちいいのか?」

「うん…..ああッ!…..でもダメよ…..そ、そんなに激しくしないで!」

「こういったものは激しいもんだ。痛いからいいんだ。けど痛くても気持ちいいんだろ?
それに痛みと快楽は表裏一体だ。苦痛の裏側に快楽がある。それにここは痛みに耐えられる場所だ。ああ、それから言っておくがここに触れることが許されるのは俺だけだ。他の男になんぞ絶対に触らせねえからな」

と言った男は身体を動かし恋人に悲鳴を上げさせた。

「ほら、もっとヤッてやるよ。ここがいいんだろ?どうだ?こうか?こうか?ほら言えよ。もっとして欲しいんだろ?」

と言った男は強張ったふくらはぎと、反り返った足の先を見た。
恋人がそんな風になるのは感じているから。
だが、次の瞬間怒られた。

「ちょっと!力入れすぎだってば!」

今、男の指が触れているのは、恋人の足の指の間。そこを指で押していた。
そして次に足裏のツボを押していたが再び悲鳴が上がった。
だが司は手加減するつもりはない。
何しろ足は第二の心臓と呼ばれる大事な場所。そして心臓から一番遠い足の裏は血流が停滞しやすい。そんな足裏の血行が悪くなれば全身の血行も悪くなる。だから最愛の人の身体の血の流れを良くするためマッサージやツボを刺激するのは恋人である司の役目であり、この役目を誰かに譲るつもりは毛頭ない。










「ねえ聞いて。あたし今ハマってる食べ物があるの」

「え?何?タピオカ?」

「違うわよ。タピオカはもう古いわよ」

「じゃあ何?パンケーキ?カステラ?バームクーヘン?プリン?」

「違う。あたしが今ハマってるのはね、魚肉ソーセージよ」

「魚肉ソーセージ?」

「そう。あれって子供のおやつのイメージがあるけどアレ1本に大人が1日に必要なカルシウムの半分が含まれてるんだって。だから身体のために食べることにしたんだけど、魚肉ソーセージなんて練り製品で、かまぼこみたいなものだってバカにしてたの。でも食べてみたら意外と美味しくてびっくりしちゃった。それに小腹が空いた時にも簡単に食べることが出来るし、賞味期限が長いから非常食としてもいいのよ。あ、そう言えばこの前スーパーで牧野さんに会ったんだけど彼女も買ってたわよ?もしかすると彼女、骨粗しょう症のことも考えて買ったのかも」

「へえ。牧野さんが?骨粗しょう症のこともだけど、彼女の頭の良さは魚肉ソーセージを食べているからかしらね?じゃあ私も食べてみようなか。それに私、魚も殆ど食べないし牛乳も嫌いだからカルシウムを取るにはちょうどいいかも」







司は社内で女子社員の会話を耳にしたが、そこで初めて魚肉ソーセージという言葉を訊いた。そして恋人もそれを買ったことを知った。
だが魚肉ソーセージがどんなものなのか知らなかった。だがソーセージという言葉から、どんな食べ物か想像出来たが味を想像することが出来なかった。

「おい。西田。お前は魚肉ソーセージを知ってるか?」

司は執務室に戻ると早速西田に訊いた。

「魚肉ソーセージでございますか?勿論存じております。魚肉ソーセージはスケトウダラなどの魚のすり身とペースト状にした小麦やでん粉などを混ぜたものをソーセージと同じようにケーシングして加熱殺菌したものです。我々の世代ではあれがソーセージと勘違いしていた人間も大勢おりました」

と言った秘書はどこか懐かしそうな顏をした。
司はそんな西田に魚肉ソーセージを用意するように言ったが、それは細いものと太いものがあると言った。
そして西田は太い方を用意したと言ったが、赤いパッケージを破り取り出したソレは15センチほどの長さでオレンジ色のフィルムに包まれていて、司の知るソーセージではなかった。
何しろフィルムを剥がして出てきたのは薄いピンク色の物体。まるで消しゴムのようなコレをソーセージと呼ぶには語弊があると思った。

「支社長。召し上がらないのですか?」

司はフィルムが剥かれたピンク色の物体をじっと見ていた。

「あいつが買ったというから興味を持ったんだが、これ動物の餌じゃねえのか?本当に人間が食っても問題がないのか?」

喰えと言われても見たことのないソレを口に入れることに抵抗があった。

「そうでしたか。牧野様が魚肉ソーセージを….」
秘書は呟くと、「ご安心下さい。こちらは魚のすり身ですので本物のソーセージとは全く別の味ですが紛れもなく人間の食べ物です。それにこちらはカルシウムの特定保健用食品の指定を受けております」と言ったが、やはり司は口に入れることが躊躇われた。
そして西田が執務室を出て行くと、手に持ったそれを顏の前に近づけ匂いをかいだが、これといった匂いはなかった。
だが手を動かすと弾力があるソレがゆらゆらと揺れる様子を見ていると瞼が重くなるのを感じた。




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2020
11.24

金持ちの御曹司~骨まで愛して~<後編>

司の眼下で動いているのは黒髪の小さな頭。
それは、ひざまづいた女が自分の腰に顏を押し付けている姿。
その黒髪に指を埋めて引き寄せたいと思いながら、そうすることを抑えているのは、「触らないで」と言われているから。

司は恋人が突然部屋を訪ねて来たことを喜んだ。だが恋人は酔っていて、部屋に入ると暑いと言ってスーツの上を脱ぎ、スカートを床に落としブラウスも脱いだ。
キャミソールを脱ぎ捨てブラのストラップを片方おろし、もう片方も同じようにおろした。
そして恋人はその姿で司の前に立つと膝をついたが、胸は誘うようにツンと突き出していた。それから司のスラックスに手を伸ばし、ベルトのバックルを緩め始めた。

恋人同士になって時間が経つふたり。
こうした行為に初めはぎこちなかった指先も今はそうではない。
だが恋人は性に奔放ではない。
女の自分から求めることは恥ずかしいことだという思いがある。
だから酔っているとは言え、今夜のこの行為は普段が普段だけに大胆な行為に思えた。
それに酔っているにしても口数が少ない。いや。少ない以前に殆ど喋ろうとしない。
心配になった司は「牧野?……どうした?」と訊いたが恋人は「黙って」と言ってスラックスのファスナーを下ろした。

「黙って」と言われても恋人の様子がいつもと違えば心配になる。だがそう思う男の中には、もうひとりの男がいて、いつもは控えめな恋人が進んで自分を求めているのだから、それを楽しめ。身を任せろと言う。
それは黒いブリーフの下で隆々とした姿を見せることを望んでいるペニスも同じで、もうひとりの男の言う通り楽しませてもらえと言っていた。
だから、ブリーフの上からフェザータッチで触れられ欲望が下半身を走り抜けた。
そして恋人はスラックスと一緒に下着を下ろしたが、膝立ちのまま目の前で願いを乞うように屹立したペニスをじっと見ているだけで触れようとはしない。
それは焦らしているのか。もしそうなら、まるで拷問だ。それに待たされているうちに走り抜けた欲望が膨らむ。それなら自ら腰を押し付けるか?それとも頭を引き寄せるか?
司は動かず恋人の行動を待っている。だが少しだけ髪に触れると恋人は、いざなわれたようにペニスを掴んだ。

待たされた分だけ硬度と質量を増した勃起したペニス。
恋人は顏を近づけていき、熱い息を吹きかけると口の中に含んだ。

「ああ…..」

思わず漏れた声。
その声に反応したように頭が上下に動き舌が動く。濡れた口の中は何度も司をキツク締め付けた身体の奥深くとは違う暖かさがある。司はそんな恋人の口で何度かいかされたことがある。
だから今夜も欲望の証を隅々まで味わってもらいたい。舌と唇で愛されたい。激しく吸われたい。

「つくし….」

責められているとき司の口を突くのは恋人の下の名前。
その恋人に馬乗りになられ、屈服させられることに歓びを感じることがある。
だから今夜も自分の身体の上で腰を持ち上げて下ろす上下運動をさせたい。自身がヌラヌラと出入りする様子を下から眺めたい。恍惚の表情を浮かべて身体をのけ反らす恋人を見たい。
だが最後は恋人の身体を組み敷いて激しく身体をぶつけるのは司だ。
けれど恋人は司を咥えたまま股間から離れようとしない。

「つくし?」

と名前を呼んだが頭を上げない。

「おい?」

顏を上げない恋人に司は再び声をかけた。
だが恋人はむさぼるように司のペニスを吸っていて、それは痛みを感じるほどだ。
これはおかしい。司は異変に気付いた。

「おい!つくし!どうした?」

その呼びかけにやっと顏を上げた恋人は言った。

「私。妊娠したの。だからカルシウムが必要なの。ミルクを飲まないとダメなの。だからあなたのミルクが欲しいの。全部ちょうだい?全部くれたら離してあげる。でもお腹の子はあなたの子供じゃないわ」

と言った恋人の顏に浮かんでいたのは冷たい笑顔。
そして恋人は再び司のペニスを咥えると、ちぎれるほど激しく吸い始めた。












「おい!司!起きろ!お前魚肉ソーセージ片手に居眠りか?いくらノックしても返事がねえから心配するじゃねえか」

と言って執務室に現れたのは西門総二郎。
目覚めた司は汗をかいていた。そして恐る恐る自分の股間に手を触れた。
大丈夫。ペニスはちゃんとある。それを確認して平静を取り戻した。

「ああ?ちょっと疲れててな」

「そうか。お前も忙しい男だからな。身体には気を付けろ。それにしてもお前が魚肉ソーセージを手にしている光景を目の当たりにするとは思わなかったが、もしかしてお前釣りの餌として買ったのか。俺も最近釣りを始めたんだが海老で鯛を釣るじゃねえけど、魚肉ソーセージでも結構いい獲物が釣れる。それで?いつ釣りに行くつもりだ?俺も一緒に行ってもいいか?」

司は釣りに出る予定はない。
それよりもおかしな夢を見たことで寝覚めが悪かった。

「いや。釣りの予定はない。それに俺は釣りに興味はない」

「そうか…..だとすれば、もしかしてお前、そのソーセージ見てイヤラシイことでも考えてたとか?」

総二郎はニヤリと笑った。

「イヤラシイこと?」

「ああ。牧野がこのソーセージを食べようとした時の顏だよ。女がコレを咥える顏は自分のモノを咥える顏と同じでイヤラシイかってことだよ」

「阿呆!俺のモノはこんなソーセージとは比べものにならないくらい立派だ!」














「ただいま、道明寺!」

「おう。お帰り。電話くれりゃあ駅まで迎えに行ってやったのに」

「え?近いんだからいいわよ。それよりこれお土産」

「サンキュー」

恋人は出張に出ると必ず司に土産を買って来る。
そしてふたりは土産を食べながら出張先での話をする。
そして今回の出張土産として恋人が司に差し出した箱に書かれているのは「パイ」の二文字。
だがその文字の前に書かれている三文字に首を傾げた。

「うなぎ…..パイ?」

「そう。これね、うなぎパイって言うパイなの。あんたは知らないと思うけどこれ結構有名なお菓子なの。それに私コレ大好きなの」

恋人はこういった地方の土産に詳しい。
そして今回の出張先は静岡。静岡といえばうなぎが有名だが、そのうなぎをパイにする?
つまりこの箱の中には黒光りをする長くクネクネとした魚類がパイに形を変えて入っている?
だがあの生き物はどんな姿でパイになったのか。パイで想像するのはアップルパイだ。だから生地の中にはリンゴのように切り分けたうなぎが入っているのか?
それとも、甘い菓子ではなく肉が詰められたミートパイやキッシュのようなものなのか。
そうだ。イギリス料理のキドニーパイは牛や羊の腎臓が詰められている。だからうなぎパイもうなぎが詰められているのだろう。
だが恋人がキドニーパイを好きだとは思えなかった。それに司もキドニーパイは苦手だ。
何しろモツの煮込みがパイ生地に包まれている料理はイギリスでも好き嫌いが別れる料理なのだから。だから司は訊くことにした。

「おい、牧野。お前本当にこのパイが好きなのか?」

「え?うん。このパイはね。パイはパイでもアップルパイみたいに中に包み込んだパイじゃなくて薄い焼き菓子なの。ナッツと蜂蜜がいい感じで使われていて、いくらでも食べることが出来るの」

と言われ、箱の中身は司が思っていたうなぎ版キドニーパイは消えた。
だがそう言われると「うなぎ」の存在がどこへ行ったのかが気になった。
だがその箱を眺めているうちに他のことも気になった。
それは『夜のお菓子』という文字。
そこで司はこの菓子には恋人からのメッセージが込められていることに気付いた。
恥ずかしがり屋の恋人は口には出さないが、今夜はこの菓子を食べてナニしようと言っていることに。

「なんだ。牧野。お前も好きだな。….ったくお前はどれだけ俺のことが好きなんだよ」

「え?え?何?何ちょっと!何やってんのよ!ちょっと!」

司はスーツの上着を脱いでカーディガンを着ようとしている恋人の服を脱がせ始めた。

「何ってナニして欲しいんだろ?だからお前。うなぎの菓子を買って来たんだろ?夜のお菓子って書いてあるってことは、これ食べて精力付けろって意味だろ?それにお前は魚肉ソーセージが好きでカルシウム不足なんだろ?」

「はあ?魚肉ソーセージ?何よそれ?あ!でも最近お弁当に入れてるわね?でもカルシウム不足って何よ?それにうなぎパイの夜のお菓子の意味はね__」

司はごちゃごちゃ言う恋人の口を唇で塞いだ。
そして出張で疲れているはずの恋人の身体を抱上げた男は、足裏のマッサージは後にすることにして、裸になると夢の中とは違い恋人に歓喜の声を上げさせていた。




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