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2019
05.26

金持ちの御曹司~Sexy Sniper~<前編>

時代が変わっても誰も追いつくことが出来ない男、道明寺司を100パーセントの範囲内で考えると内訳は何になるか?
そんなアンケートが女子社員の間で出回ったと訊いた。
そしてその結果はこうだ。

男のエロスを感じる 95パーセント
男のセクシーさを感じる 95パーセント
男のワイルドさを感じる 85パーセント
男の洗練さを感じる 93パーセント

合計368パーセントであり400パーセントには少し足りないが、まあいい。
そしてこの数字を見て分かるのは、司を100パーセントの範囲内に押し込めるのは無理ということ。
つまり彼は規格外の男で彼ほどの男は世間にはいないということが証明された。

実際世間は司を美術館に展示された国宝を眺めるよう見る。
ちなみに今日の装いは黒のスーツに白いシャツにパープルのネクタイ。
そんなスーツ姿でしなさそうなことを平然とする男に向けられる視線は憧れ。
そしてそのアンケートに付随するように書かれていたのは、

『男性のどんな仕草にキュンと来ますか?』

その回答は、
「ネクタイをキュキュって締める姿がたまらない。でもネクタイを緩める姿も好き」
「ワイシャツの袖を捲り上げて仕事をする姿」
「いつも眼鏡をかけている男性が眼鏡を外し自分をじっと見つめる姿」
「車を運転する姿」
「真剣な表情でキーボードを叩く姿」
「時に見せる少年のような姿」

司は上から順番に目を通していたが、その中に水に濡れた髪という答えはなかった。
だが司の恋人は彼の濡れ髪の姿にキュンと来る。
それはクルクルと巻いた髪がストレートに変わることから見慣れない男の姿にキュンと来るということ。
だがそれは本人の口から訊いたのではない。

あれはまだ高校生だった頃。
滋と三条を伴った牧野が司の邸を訪れプールに入れと言った。
だから司は彼女の望み通り水着に着替えプールに入った。
そして50メートルプールを一往復した後、水面から顔を出した司を見た女の顔は赤らんだ。
だがあれ以来、意味もなくプールへ入れとは言われなくなり、それが寂しいような気もしていた。だからある時、恋人をプールサイドに立たせ、犬神家の真似をして水面から足を突き出してみたら怒られた。

そしてアンケートの回答が最後に来たときその文字に目を止めた。
そこに書かれていたのは、

「ライフルを構えた男の姿にキュンと来る」

それはなかなかワイルドな回答。
だが面白いと思った。
















「ここから誰を狙ってんだか知らねぇが仕留めるつもりならあと5ミリ右に構えた方がいいんじゃねぇのか?」

その言葉に振り返った女が見たのは黒ずくめの男の姿。
そしてその背後には武器を持った男達が4人いた。
だが何故男が黒を着ているのか。
その理由は黒は血の色が目立たない色だから。
そして女の服も黒のスーツだった。

女のライフルの先が向けられていたのは司の執務室。
だがそこに司はいなかった。何故なら司は女の後ろにいて彼女を見つめていたからだ。

司が狙撃手に狙われている。
その情報が耳に入ったのは1週間前。狙撃手が女であると分かったのは1時間前。
そしてその女がここにいると連絡が入ったのは20分前。
だから司は自らその女を捕まえるべくここに来た。
それに女の狙撃手と訊いてその顔が見たいと思った。
眼光鋭くクールな顔をした美女といったタイプを想像していた。
だがそこにいた女は小柄で眼が大きな黒髪の女。
とても狙撃手には見えず、長い銃身を持つその姿はどこにでもいるOLといった感じだった。

「お前。誰に雇われた?花沢類か?それとも美作あきらか?いや、西門総二郎か?」

それは司の会社のライバル企業の跡取りたち。
類は花沢物産の副社長だが、司は類から契約寸前だった英国での洋上風力発電所建設の契約を奪った。
あきらは美作商事の専務だが、そのあきらからはチリの鉱山でのプラント建設の契約を奪った。
そしてプレイボーイで名を馳せる西門開発の常務である西門総二郎からはマジで付き合っていた女を奪った。
そんな理由から三人の男たちは司を恨んでいた。

「言うつもりはないか?そうか。それならそれでも構わねぇが狙撃はミリ単位でズレただけで仕損じる。だから今度狙うならもう少し注意した方がいい。ま、そうは言ってもお前が俺の頭に銃弾を撃ち込むことは出来ないはずだ」

司は女を捕まえるとタワーマンションの最上階にある自分の部屋へ連れ帰った。
そして激しくキスをするとベッドに押さえつけた。

「お前の名前は?」

「………」

「そうか。言いたくないか?いや言うつもりはないってことか?だがな。お前の身元は割れている。お前の名前は牧野つくし。今売り出し中の新進気鋭のスナイパー。それにしても見るからに真面目そうな女がどうして狙撃手になったか知らねぇが__」

司はそこで言葉を区切った。
そして上から女を見下ろし言った。

「今夜は俺の相手をしてもらうぜ。女スナイパーさんよ」



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2019
05.27

金持ちの御曹司~Sexy Sniper~<後編>

セックスはセックスでしかなく、それは欲望を吐き出すための手段。
前戯をする必要はなく、脚を開かせ中に入ればいいだけの話だ。
だから司は今まで女を抱く時はいつもそうしていた。
そして司に抱かれることを望む女は誰もが裸で彼を待っていた。
だが今の司は女の服を脱がせる過程を楽しみたいと思った。
一枚ずつゆっくりと服を取り去り、徐々にあらわになっていく女の身体。
欲望をそそられたとしても、すぐに中に入れるつもりはなかった。

だが何故そうしないのか。
それは女がスナイパーという今まで抱いたことがない職業の女だからか。
いや違う。一切口を開こうとしない女の態度に、好きにすればいいわという態度に、そのまま中に入るより女の気持ちを高めていくことを決めたからだ。

「どうした?何か言えよ?」

だが女は口を開こうとはせず、ただ黙ったまま司の顔を見上げていた。

「いいぜ。ダンマリを決め込むのも今だけだ」

司はかがみ込むとスカートをたくし上げ、ストッキングに包まれた脚をあらわにしたが、そこに現れたのはガーターストッキング。

「黒のガーターか。いい趣味だ」

それを右脚。そして左脚と、ゆっくりと時間をかけ脱がせ始めた。
そこに現れたのは白くしなやかでほっそりとした脚。
目立つことを嫌う狙撃手という仕事柄なのか。手の爪に色はなかったが足先に塗られた赤いペディキュアは真面目に思えた女の別の一面なのか。
ふと、その時頭を過ったこの女はどんな人生を歩んで来たのかということ。
何があってこの女はスナイパーという仕事を選んだのか。
もしかすると司と同じ世の中の人間に絶望するという病巣を抱えているのではないか。
そんな思いが感じられた。だが今はこれから裸にする女をどう味わうかを考える方が先だった。

暗くもなく明るくもない部屋の中で輝くように見える女の白い脚。
その脚を開けば薄い布に覆われている女そのものがそこにある。
欲しければその布を剥ぎ取ってすぐにでも入れることが出来る。だが今の司は時間をかけ女の気持ちを高めることを選んだ。
だから華奢な甲を掴み爪先を舐め始めた。
すると女が息をのむのが聞こえた。そしてもう片方の爪先がキュと丸まったのが分かった。
つまりその行為に感じているということ。その瞬間司は決めた。今夜は女に歓びを与え続け自分の快楽は後回しにすることを。



司は爪先から甲、足首。ふくらはぎへと舌を這わせながら時に唇でつまんだ。
指先を太腿の内側へ這わせ、薄い布に触れると濡れていた。
クロッチの横から指を1本入れ確かめたがその瞬間、喘ぎ声が聞こえ、この声をもっと聴きたい。この部屋の中をその声と叫び声で満たしたいという気持ちになった。
だから次は何をするべきか決まっていた。

女の腰を持ち上げファスナーを降ろしスカートを引き下ろし取り去った。
腰から下に付けているのは、黒のパンティとガーターベルトだけ。だが上半身は白いブラウスに黒のスーツの上着。全てがさらけ出された裸よりもそそられるその光景。
ニヤリと笑みを浮かべた司は、自身のスーツの上着を脱ぎ捨てると、次に女の上着を脱がせようとした。
だがその瞬間。女の脚が大きく開かれ司の身体を挟むと彼の手を掴み、自分の方へ引き寄せた。いや。引き寄せたのではない。脚で挟まれた司の身体はベッドに押し倒され、女が上に乗っていた。

「どう?女に上に乗られる気分は?」

それは初めて訊く女の声。
司の身体の上に跨り、少し生意気な表情を浮かべる女はどこか得意そうに言った。

女は乗るものであり、乗られるのは初めてだったが悪い気はしなかった。
だが相手はスナイパー。丸腰とはいえ油断は出来なかった。
それでも司は相手の出方を楽しむことにした。それは女がその気になったなら、やってもらおうじゃねぇかということ。

「いいんじゃねぇの?お前がその気になったんなら楽しませてくれ」

その言葉に薄っすらと笑みを浮かべた女は上着を脱ぐと、自分の腰に添えられている司の手を取り躊躇うことなく自分の胸に導いた。
それはブラウスのボタンを外せという意志表示。
だから司は言われた通りにブラウスのボタンを外し、フロントホックのブラのボタンを外した。
そこに現れたのはピンク色をした小さな蕾。
だからその蕾を指で擦った。
すると司の身体を挟んでいた太腿がキュッと締まり彼を締め付け、腹の上に乗った女の潤いを帯びた部分がさらに濡れたのが分かった。

「お前のソコは、すっかり濡れてんじゃねぇの?」

意地悪く言った男に女は笑った。

「そうよ?悪い?」

そう答えた女は、司の頬に手を添え顔を近づけると、「だからあなたが欲しい」と耳元で小さな声だが、はっきりと言った。
だから司は女の頭に手を乗せ「俺もだ」と答えた。
すると「そう?じゃあ」と答えた女は、髪に飾られていた髪飾りを司の首に突き立てた。









「おい!ちょっと待て!なんで俺があいつに殺されなきゃなんねぇんだよ!冗談じゃねぇぞ!」

司は冷や汗をかいていた。
それこそ首から下にたっぷりと汗をかき、汗腺がない。汗をかかないのではないかと言われる顏には玉のような汗が浮かんでいた。

女スナイパー。
牧野つくし。
狙撃はしなかったが、ベッドの中で男の命を奪う女。
もしかすると初めからそのつもりでいたのか?
わざと掴まえさせて男のベッドに入り込み命を狙う?
つまり確実に命を奪うためなら身体を張ることも厭わないということ。
その存在はとてつもなく恐ろしい女。
まさに可愛い顔をした悪魔と言ってもいい。

だが司は夢の中に現れた牧野つくしもいいと思った。
つまりそれは妄想に憧れるということ。だがそれを実際に行うとなるとハードルが高いことが殆どだ。それに夢や妄想は現実的ではない。

それに今回の夢についてだが、話の内容は別として司はつくしの為なら死んでも構わないと思っている。彼女のために命を張るのが恋人である司の役目だからだ。
けれど、やはり暗殺されることだけは勘弁してほしい。
それに司が牧野つくしを残して死ぬことはない。
だがもし何らかの理由で死んだら彼女に纏わりついて彼女が天に召されるまでずっと傍にいる。そして二人して天に召されたなら、そこからまた二人で新たな人生をスタートすればいい。


「失礼いたします」

ノックの後、現れた秘書は支社長である男の叫び声を無視していた。
そしてこう言った。

「支社長。そろそろお仕度を下さい。今夜は来日中のアメリカ合衆国大統領との会食がございます。ご安心下さい。警備体制は万全です。訊くところによれば各所に狙撃手を配置しているとか」

司は狙撃手という言葉にドキッとした。
それはつい先ほど見た夢に牧野つくしという名の狙撃手が出て来て司の命を狙っていたからだ。

司は恋のスナイパーになら狙われてもいいと思った。
弾丸は恋で狙撃手は牧野つくし。
そして17歳の時に牧野つくしにハートを撃ち抜かれた男は彼女の虜だ。





溢れる牧野つくしへの情熱。
歪みない牧野つくしへの愛情。
司は牧野つくしなしでは存在することが出来ない。
そんな男に秘書が引いているとしても関係なかった。
今夜の会食は、さっさと切り上げて帰りたい。
早く帰って彼女を抱きたい。
今はただ、その思いで一杯だった。




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