FC2ブログ
2021
06.23

金持ちの御曹司~あなたへのおすすめ~<後編>

「おいお前ら!俺たちは鬼退治に来たんだぞ!それなのに何を楽しく鬼と酒飲んでんだ!」

司は他の三人が楽しそうにグラスを傾けている様子に腹が立って言いました。
しかし三人は司のことを無視しました。

「お前ら……俺たちの友情よりその鬼と飲む方が大事なのか?」

すると総二郎が言いました。

「ああ。つくしちゃんとこうして飲む方が楽しい」

「そうだ。総二郎の言う通りだ。少なくとも野郎ばっかで飲むより楽しい。それにつくしちゃんの食いっぷりは実にいい。女が美味そうに食べる姿は見ていて気持ちがいい」

あきらは、きび団子を口に入れ美味しいと言った鬼を見て頷きました。

「おれもそう思う。食べるつもりもないサラダをつついている女よりよっぽどいい」

類はそう言って手にしていたウィスキーを飲み干し、おかわりを頼みました。

「おいおい類。お前、麦茶みてぇにウィスキー飲んでるが大丈夫か?
それにしても、いつも寡黙な類がここまでお喋りになるってことは……もしかして類。お前つくしちゃんに惚れたんじゃねえの?」

総二郎の問いかけに類は頷きました。
そして「俺。鬼沢つくしのことが好きかも」と答えました。

「マジか?おい鬼沢つくし。類は女に興味がなかった。そんな男を夢中にさせるなんて、あんたスゲー女だな」

「そうか。ついに類も恋に落ちたか。いやこりゃめでたい!つくしちゃん。もっとこいつに飲ませてやってくれ!」

あきらと総二郎は口々につくしを褒めました。
ところが司は違いました。

「フン。こんな女のどこがいいんだよ。俺には全く理解出来ねえ。類。お前よっぽどゲテモノ趣味なんだな」

鬼沢つくしは司の言葉にムッとした表情を浮かべました。

「おい司。類が好きになった女だぞ?そんな言い方するな。つくしちゃんゴメンな。司は昔から口が悪い男だ。この男のことは気にしないでくれ」

あきらはそう言って、「そうだ。つくしちゃんウィスキーの水割り作ってくれないか?ここにある一番高級なウィスキーな。ほれ司。お前も飲んで落ち着け」と言いました。

つくしはウィスキーの水割りを作るとカウンターに置きました。
カウンターに近づいた司はグラスを掴むとグイッと一気に煽りました。
しかし司は「何だよこれは!」と言って顏を歪めました。

「何だよって口の悪い男に合わせたブレンドよ?」

つくしが作ったウィスキーの中にはスパイスのナツメグが大量に入れられていたのです。

「一体何が気に入らないのか知らないけどね、アンタのその態度は失礼極まりないのよ!」

そう言ったつくしはカウンターの中から司を睨みつけました。

「何が気に入らないかって?そんなモン決まってるだろうが!お前の態度が気に入らねえんだよ!」

「だから態度って何よ!」

「類に色目なんぞ使いやがって!」

「色目ですって?いつ私が色目を使ったって言うのよ!?難癖つけるの止めてよね!」

「難癖だと?」

「そうよ!私は色目なんて使ってないわよ!あ、もしかしてアンタ類さんのことが好きなんでしょ?だから類さんが私のことを好きだって言ったことが許せないのね!だから私のこと侮辱するのね?」

つくしはそう言ってニヤッと笑いました。

「阿呆!俺はストレートだ!類のことなんぞ好きじゃねえ!」

たとえ類が司のことが好きだとしても、司は男には全く興味はない。

「そうですか。それは失礼いたしました。それじゃあ何が理由か知らないけど私に突っかかるの止めてくれない?」

「お前…クソ生意気な女だな….」

「はいはい。クソ生意気で悪うございました!でも生意気だからってアンタに迷惑かけた覚えはないけど?それに私たちは今日初めて会ったばかり。だから迷惑かけようがないと思うけど?」

「迷惑かけようもなにも、その言い方が生意気だって言うんだ!」

あきらと類と総二郎はふたりのやり取りを傍で見ていました。
しかし、司がカウンターにいる鬼沢つくしの腕を掴んだのを見て、もしかして手を上げるのではないかとハッとしました。止めなければならないと思いました。
しかしそれは間違いでした。司は掴んだ腕を引き寄せ鬼沢つくしにキスをしたのです。

「どうだよ?ナツメグ入りのウィスキーの味は?」

「…..パンチが利いてていいんじゃない?だって刺激のない恋なんて恋じゃないもの」

「言うじゃねえか」

司はニヤリと笑みを浮べました。
すると女は司をまっすぐ見つめて言いました。

「ええ。それに私、恋をするなら対等だと思ってるから」





司はそこで目が覚めた。
「アダルト桃太郎」の動画は終わっていて結局最後まで見ることはなかった。
その代わり、夢で司オリジナルの桃太郎を見た。その夢には生意気な小鬼が出て来て、司はその鬼と恋に落ちていた。
そして司は実際には味わっていないとしても、唇にナツメグの味を感じていた。
それは、つい先日恋人がハンバーグを作ってくれた時のことだ。
司はハンバーグのたねを混ぜようとしている恋人の背後に立ち抱きしめようとした。
だが司の腕はナツメグをボウルの中に振り入れようとした恋人の腕に当たり、ナツメグはボウルではなくキッチンの天板に撒かれた。するとそこには甘くエキゾチックな香りが漂った。
ナツメグは大量に摂取すると、交感神経系に影響を与え、最終的にめまいや幻覚を示すことがある。それに興奮作用があると言われている。だからあの時の司はハンバーグをこねようとしていた恋人を抱きしめキスをした。
だがそれはナツメグのせいではなく、ただキスしたかったからだが、ハンバーグが焼かれることがなかったのはナツメグが作用したのかもしれない。

司は無性に恋人の作ったハンバーグが食べたくなった。
胡椒とナツメグを入れた肉をこねて、丸めて、フライパンで焼くだけのシンプルなハンバーグが。
だから携帯電話と掴むと恋人に電話をした。

「もしもし?今晩うちに来るんだろ?」

「______」

「食べたいものがある。リクエストしてもいいか?」

「______」

「ハンバーグ。お前の作ったハンバーグが食べたい」



司はもし誰かに、あなたへのおすすめがあります、と言われたらこう答えることに決めた。
自分で考え自分で判断して自分がしたいことをするから勧めてもらう必要はないと。
しかし、そんな男も相手が恋人となると違う。

「らっきょう?」

最近恋人はやたらと、らっきょうを喰えと勧める。
それは血液がサラサラになるからという理由だが、実は恋人の今のマイブームはお手製のらっきょうを漬けることだ。
だから今日もジャムの空き瓶に入れた、らっきょうを抱えて来るはずだ。

「___ああ、分かった。喰うよ。喰う。だからひと瓶でもふた瓶でもいい。持って来い」

司はそう答え電話を切ると、パソコンの電源も切った。
そして恋人が来るまでの間にシャワーを浴びることを決めるとバスルームへ向かったが、今夜はどんな愛し方にしようかと考えていた。
実はこう見えて司は股関節が柔らかい。だから司にしか出来ない体位というものがある。
だが今まで恋人の身体のことを考え、その体位は封印していたが、大量のらっきょうを受け入れる代わりに今夜はそれを試してみるのも悪くないのではと思い始めていた。




にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト



Comment:7
2021
06.22

金持ちの御曹司~あなたへのおすすめ~<中編>

おじいさんとおばあさんは、赤ん坊に桃太郎と名前を付けて大切に育てました。
やがて20歳になった桃太郎は眉目秀麗な青年に成長しました。そして自分の名前の桃太郎はダサイからと司に変えました。
そして司に名前を変えた桃太郎は鬼ヶ島に住む悪い鬼の話を聞いて、その鬼を退治するため鬼ヶ島を目指すことになりました。

「じいさん、ばあさん。俺は鬼ヶ島にいる鬼を退治に行く。そこで鬼が持っている宝物を持ち帰る」

そう言った司に、おばあさんは、きび団子作って持たせました。
そしてその旅に同行することになったのは、犬田あきら、猿村類、雉沼総二郎の三人です。
三人は司の幼馴染みで見た目が美しいこともですが腕力にも自信があります。
四人は船に乗って鬼が住む島に向かいました。そして辿り着くと上陸して悪い鬼を探しました。しかし鬼はどこにもいませんでした。

「鬼。居ねぇな」

「そうだな」

「まさか俺らが来ると知って怖くて逃げ出したとか?」

あきらと類と総二郎はそう言って「どうする?そろそろ日が暮れるぞ?」と司を見ました。
するとその時でした。
「おい、あれ見ろよ!森の向こうに明かりが見えるぞ!」
と、あきらが言ったので三人はあきらが指差した方を見ました。すると森の奥深くに小さな明かりと煙が上がっているのが見えました。だから四人はその方向へ向かって駆け出しました。
そして森が開けた場所に見たのは、明かりが灯った一軒の小さな家だったのです。

「おい。ここが鬼の家か?けど『Bar鬼ヶ島』って書いてあるぞ?」

総二郎はそう言って扉に掛けられた木片を指差しました。

「へえ。ここの鬼ってバー経営してるんだ。それも営業中だって。おもしろいね」

類はそう言って笑いました。
しかし司はそんな類を睨み、「類。おもしろいもなにも鬼がバーを経営するわけねぇだろうが。そんなことよりさっさと鬼退治をして宝を持ち帰るぞ!それにここに島じゅうの鬼が集まってんなら、ちょうどいい。一気に退治しちまおうぜ!」と言って店の扉を勢いよく開けました。

するとそこにいたのは頭に小さな二つの角を生やした若い鬼の女。
「いらっしゃいませ」と言って司たちを迎えました。
四人はまさか鬼が若い女だとは思いもしませんでした。
それに鬼と言えば大きな男だと思っていたので、どう見ても自分達よりも若く背の低い姿に驚きました。

「あら。人間のお客さんなんて珍しいわね?」

女の鬼はそう言ってどうぞ、おかけになってと座ることを勧めました。

「お前、鬼か?」

司は訊きましたが、ぶっきらぼうなその言い方に鬼はムッとして、「ええ。私の名前は鬼沢つくし。この島でひとり暮らししている鬼だけど?」と答えました。

「へえ…そうなんだ。君、この島でひとり暮らしなの?寂しくない?」

類は村の娘たちも見たことがない天使の微笑みを浮べてカウンターに近づきスツールに腰を下ろしました。
するとその瞬間鬼は恥ずかしそうに頬を赤く染めたのです。

「なんだ。女の鬼か。それにしてもなんだか可愛いじゃん」

総二郎もそう言って近づくと「あ、そうだ。良かったらこれ食べない?」と言って司からもらっていた、きび団子を差し出しました。

「わあ、美味しそう!……でもいいの?」

鬼は総二郎の手に乗せられている団子を見て上目遣いで訊きました。

「いいんだよ、総二郎は食い物に対して興味がないから」

と類が答えると鬼は遠慮しながらも、「ありがとう!」と言って嬉しそうに総二郎から、きび団子を受け取りました。
するとあきらも、「俺のもやるよ」と言ってカウンターに近づき席に座ると、きび団子を差し出しました。
すると鬼は嬉しそうに「ありがとう」と礼を言いました。
そして、あきらと類と総二郎は、それぞれ飲み物を頼むとカウンターに座って鬼と話をはじめましたが、その光景を見ていた司は面白くありませんでした。



にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
Comment:3
2021
06.21

金持ちの御曹司~あなたへのおすすめ~<前編>

目から入れる薬物と言われる男が今その目で見ているのは、インターネットの動画共有サイト。そこに「あなたへのおすすめ」といって表示されたのは「桃太郎」というタイトルの動画だが、桃太郎と言えば『むかしむかしあるところに、おじいさんと、おばあさんがいました』で始まる司でも知っている日本の昔話だ。
だが昔話というのは生物的にも科学的にも….いや、どう考えても全てに於いて納得がいかない話ばかりだが、それを恋人に言うと、

「あのね、昔話っていうのは、おとぎ話なの。それが本当かどうかは関係ないの。昔話は昔話で時代や場所の設定はないの。深く考えることなくその時を楽しめばいいお話なの。
ほら、コンサートとか演奏会に行ってその時その音楽を楽しむのと同じ。昔話っていう物語はその瞬間だけに存在しているものなのよ?」

という答えが返ってきた。
だから司はそんなものかと頷いたが、それにしても何故サイトは昔話を司に勧めてきたのか。
司は不思議に思いながらも興味本位でその動画をクリックした。
すると動画の初めに現れた文字はただの「桃太郎」ではなく「アダルト桃太郎」。

「….アダルト桃太郎?」

司は呟くと胡散臭そうに画面を眺めた。
それはアダルトと付く動画はエロに決まっているからだ。
司はそういったものに興味はない。だから見たことがない。
……いや。いつだったか総二郎が貸してくれたDVDが洋物のその手のモノで、そのことを知らずに見たことがあったが、それを恋人に知られ酷く軽蔑された。
だから「アダルト桃太郎」というタイトルの動画を消すと本来見たいと思っていたビジネスに関する動画を見た。だが見終わった後、再び「アダルト桃太郎」がお勧め動画として画面に表示された。

司は鬱陶しさを感じ動画共有サイトを閉じようとした。
だが少しだけ気になった。
だから好奇心から、ほんの少しだけという思いで「おすすめ」動画をクリックした。








むかし、むかし、あるところに、おじいさんとおばあさんがいました。
おじいさんは山へしば刈りに、おばあさんは川へ洗濯に行きました。
ある日、おばあさんが川で洗濯をしていると、川上から大きな桃がどんぶらこ、どんぶらこと流れてきました。

「おや、まあ….なんと立派な桃でしょう。この桃をおじいさんへの土産に持って帰りましょう。きっとおじいさんは喜ぶわ」

と言って、おばあさんはその桃を川から引き上げました。
そして洗濯物と一緒に家に持ち帰ると、おじいさんが山から戻ってくるのを待ちました。

「おばあさん。今帰ったよ」

「おじいさん、お帰りなさい。ねえ、訊いて下さい。今日川で洗濯をしていたら川上から大きな桃が流れてきたんですよ。だからおじいさんと一緒に食べようと思って引き上げて持って帰りました」

おばあさんは、そう言って包丁で桃を切ろうとしました。
すると桃は、おばあさんが切る前にパッカーンとふたつに割れたのです。
そしてそこにいたのは男の子の赤ん坊で、大きな声で泣いていました。


司が見ている動画は「アダルト桃太郎」と言うタイトルだが一体どこがアダルトなのか。
登場人物は年老いた夫婦と赤ん坊でエロ動画には程遠い昔話の通りの桃太郎だ。
だから、そのことに若干だが残念という思いを心の中に抱きつつ動画を見るのを止めようとした。だがそう思うも、子供の頃に昔話を読み聞かせてもらったことがなかった司は、この際だと桃太郎の動画を最後まで見ることにしたが、ここ数日間は忙しい日が続き寝不足だったことから瞳を閉じると眠りに落ちていった。




にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
Comment:3
2021
05.17

金持ちの御曹司~赤裸々なほど愛して~<後編>

大人向けのお話になりますのでご注意下さい。
*********************










たいていの女は司を前にすると頬を染める。
直視されると落ち着きが無くなる。
だが牧野つくしという女は元SPというだけに、そういった態度を見せることは無くいつも落ち着いていた。
しかしこの瞬間、女は唇を舐めた。

「…..私にセックスの相手をしろと?」

「ああ。俺をこの家から出さないつもりなら、お前が俺を楽しませてくれ」

司の言葉に女は何と答えるのか。
すると女は背筋を伸ばし抑えた声ではっきりと言った。

「申し訳ございません。私はあなたの安全を守るためにここにいるのであって性的なサービスをするためではありません。ですからそういった問題は、ご自分で解決していただくしかないと思います」

「ふぅん…..そうか。自分で解決か。お前。その意味が分かって言ってんのか?」

ニヤニヤと意地悪な笑みを浮べた司は高級な靴を履いた足を一歩踏み出し女に近づいた。

「そ、それは…」

「それは….か?なあ。自分で解決するとしたらどうしたらいい?」

司は短く笑ってまた一歩踏み出した。
すると女はよろけて一歩後退し、ゴクリと唾を飲んだ。

「と、とにかく、そういった問題はご自身で解決して下さい。それ以上私には申し上げることは出来ません。それから今夜はもう遅いので早くお休み下さい」

と言うと女は司に背中を向け自分の部屋に戻りますと言ったが、いくら落ち着いた態度を取っても、内心は司とのコトを想像したはずだ。そうだ。どんなに冷静に振る舞おうとしても司に相手をしろと言われ慌てていた。それにどんなに優秀な元SPだとしても所詮女は女。だから司は少し生意気な女の中にある弱さを突いてやろうと思っただけで、元々抱く気などなかった。自分に纏わりつく女を厄介払いしたいがため、ただからかっただけだ。

だが暫く経って司の部屋の扉が微かに音をさせて開いた。
司は音には敏感だ。それに眠りが浅い。それは作家の職業病なようなもので、真夜中だろうが早朝だろうが頭の中に文章がひらめくと執筆することがあるからだ。
そして今夜も牧野つくしをからかった後、週刊誌へ連載中の話を書き終え、ちょうどベッドへ身体を横たえたところだった。
そんな司が薄暗い部屋の中でベッドに片肘を着いた姿勢で見たのは牧野つくし。
女は扉を閉めると司が寝ているベッドに近づいて来た。そしてベッドから少し離れた場所で立ち止まったが、身に付けているのは、いつも着ているチャコールグレーのスーツではなく上下黒の下着。そして黒いレースのガーターベルトとストッキングだけという出で立ちだ。

「道明寺さん。ご希望通り相手になります」

それは思いもしなかった展開で司は驚きの表情を浮かべた。
だがそれをすぐに隠した。
それにしても、女が地味な服装の下にセクシーな下着を着けているとは思いもしなかった。だが、それ以上に女の行動が意外だった。
だから訊いた。

「お前、本気か?」

「ええ、本気です」

迷いのないその言葉は、少し前に司の前で見せた女の態度とは違った。
どうやら女は司と同じで男女の愛について心得ているようだ。





***





司の巧みな口づけに女が口を開いた。
舌を滑り込ませて女を味わえば、身体はその先へ進むことを求めた。
今の司は牧野つくしが欲しいという思いしかなかった。
相手とひとつになりたいという貪欲な思いが身体の奥から湧き上がっていた。

司は裸になった女をベッドに横たえると感嘆の目で眺めた。
セクシーな下着もだが、まさか牧野つくしがこんなに官能的な身体をしているとは思わなかったからだ。
白い肌はシルクのような手触りがある。背は低くても、その体にぴったりの大きさの胸は司の手のひらに収まる大きさで、ウエストは司の両手で掴める細さだ。
そして小さな布に覆われていた場所は、きれいに処理がされていた。

司はその場所に指を這わせると奥へある泉に分け入ったが、そこはぐっしょりと濡れて、とろとろだった。
その奥深くに刺激を与えると女が叫び声を上げ司にしがみついたが、そこには熱い欲求が込められていた。

「たっぷり愛してやるよ」

司はそう言ったが、ふたりの間には愛などなく、ただ身体の欲求が満たされればそれでよかった。
それにセックスと愛情は別物であり女を征服することは楽しい。
だからまず司は指で女を征服した。
肉襞を押し分け侵入した中で指を曲げ、力を込めて押したり擦ったりを繰り返すと女は声を上げ身体をくねらせた。そして指を一定の速度で出し入れを始めると、さらに悩ましげな声が唇から漏れた。

「いい声だ。だが俺はもっと声が訊きたい」

そう言った司は次にピンク色の胸の先端を舐めたり吸ったりして弄んだ。
そこから滑らかに張り詰めた腹の中心に舌を這わせたが、日に当たることの無いその場所は身体の他の場所よりも一段と白い。
そんな場所に鼻を擦り付け舌で舐めると身体の震えが伝わってきた。

司は震える女から目を離さずに細い足首を掴んだ。
そして女の両脚をMの字に開かせたが嫌とは言わなかった。

「口で男に愛されたことがあるか?」

秘められた部分が丸見えになったその姿は司の思い通りの姿勢。

「なあ。どうなんだ?」

意地悪く訊いた。

「な、無いわ」

どうやら女は司の相手をするという大胆な行動に出た割りには経験が少ないらしい。

「そうか。俺も普段なら女のココを舐めることはしない。だがお前のココは美しい。だから特別に舐めてやるよ」

その言葉に女の太腿に力が入ったのが分かった。
だが入口は白露が溢れていた。
だから司は顏を近づけると猫がミルクを舐めるように溢れた露を舐め上げた。

「ああっ!」

女が顏をのけ反らせ声を上げた。

「どうだ?気持いいか?」

司は言いながら何度も舐め上げる。その一方で甘い露が溢れ出て来る場所に指を出し入れした。

「疼いてんだろ?ここが」

その問いに女は答えない。だが身体は正直なもので幾度となくわなないていた。

「本当は指じゃないモノを挿れて欲しいんだろ?」

女は挿れて欲しいとは言わない。
だから司は膨張した突起を口に含むと強く吸い上げた。
すると女は「あああっ!」と悲鳴を上げ、ついさっきまでシーツを掴んでいた手が司の髪を掴み自分のそこへ強く押し付けると懇願を始めた。

「お願い…..お願い….」

「何が欲しいかちゃんと言え。言わないとわかんねえだろ?」

司は突起を強く吸い上げ指を出し入れすることを止めなかった。

「ああ…..お願い!ダメ!」

「何がダメなんだ?」

女の股の間でサディスティックに言うと、そこは更に潤った。
そして哀れっぽい声で「お願いだから….」と言われたところで司は女を苛めるのを止めた。
それは自分自身の欲望に突き動かされ我慢できなかったからだ。
だから女の華奢な腰を掴み、司を受け入れる姿勢を取らせると腰を突き出し一気に貫いた。
そして自分を解放するために腰を激しく動かし女の身体の奥に自らを吐き出すと、女の上に崩れ落ちた。





司は目が覚めたが身体に違和感があった。
それは腕が動かせないからだ。
そして足も動かせなかった。
どうやら自分はベッドに縛られている。そのことに気付いたとき部屋の扉が開いた。

「おはようございます道明寺さん。ご気分はいかがですか?とても良く眠っていたので心配したんですよ?だって縛っていても目が覚めないくらい深い眠りについていたんですもの。でもそれは私の責任です。だって私とキスしたことであなたは睡眠薬を口にすることになったんですもの。でも昨日は良かった。私たちこれで一生離れることはありませんよね?だって私たちの間には切っても切れない結びつきが出来たんですから」

司はチャコールグレーのスーツ姿の牧野つくしが冷たい微笑みを浮べ自分を見下ろしている姿を見ていた。

「お前まさか….お前が俺のストーカーなのか?」

「ええ。そのまさかです。私はあなたの大ファン。私はあなたのことをずっと見てきたわ。だからあなたの傍に居たかった。そんな私があなたのボディガードに選ばれたことは神様が私にくれたプレゼントだった。いいえ、違うわ。これは運命だったのよ。
そして昨日あなたは私を抱いた。そして私の中で果てた。今の私は妊娠しやすい時期なの。
だからきっと私のお腹の中にあなたの子供、いえ、私たちの赤ちゃんが出来たはずよ。そうよ、きっともう私のお腹の中で細胞分裂を始めてるわ。それから道明寺さん。私から逃げようと思わないでね?もし逃げるなら私はあなたを傷つけることになるから。でもそんなことはしたくはないの。だってあなたは私たちの赤ちゃんのパパですもの」

女は悦に入った表情で言ったが、その右手にはキラリと光るナイフが握られていた。






「支社長!支社長!」

「….西田….か?」

「はい。お目覚めですか?額に汗をかいていらっしゃるようですが大丈夫ですか?」

「ああ。大丈夫だ」

そう答えた司は西田が運んで来たコーヒーを口にした。












「牧野。お前、生理はもう来たか?」

「え?唐突に何よ?」

仕事を終えた司は、マンションを訪ねて来ていた恋人から怪訝な顏を向けられたが、それは赤裸々な質問をしたからだ。

「いや。ちょっと訊いてみただけだ」

と司は答えたが、夢に出て来た女が言ったように恋人との間に絶対に切れることのない絆が欲しかった。そして女が言ったように、その絆は二人の間に子供を作れば切れることがない。

「もう。変なこと訊かないでよね?生理は2週間前に終わりました。だからまた来たらびっくりするじゃない。月に2回も来たら大変よ。でも生理不順だと終わったと思ったらまたすぐ来たなんてこともあるのよね。幸い私はそうじゃないからいいけど。….….ところで知ってる?」

と言って恋人は司の前に一冊の本を差し出した。

「この作家。松蔭寺司って言うんだけどね。この人が書いた『時を戻そう』って本がベストセラーなんだって!だから買ってみたんだけど面白そうよ?何でも主人公が過去にタイムスリップするんだけどね、そこで自分の未来を変えるためにある人を探すって話なの。でもそのある人になかなか出会えなくて結局未来を変えることが出来ないまま現代に戻って来る話しなの。
ねえ。もし過去に戻れるとしたらあんたは何をする?」

司は過去に戻りたいとは思わなかった。
たとえ過去に戻れたとしても過去を変えたいとは思わなかった。
それは過去があるから今の自分があるからだ。
それに未来を知りたいとも思わない。
未来とは自分で切り開いていくものであり、まだ見ぬ世界が楽しみだからだ。
そして人は今を生きることが一番大切だ。

「ねえ。それにしても松蔭寺司ってあんたの名前に似てるわよね?それに道明寺も大袈裟な名前だけど松蔭寺って名前も大袈裟よね?」

と言って笑う恋人は夢に出て来た牧野つくしとは違って策を巡らすことはしない。
だが司は恋人に策を巡らされてもいいと思っている。
それに早くその大袈裟な名前になってくれることを望んでいる。
何しろ司は三度のメシより牧野つくしのことが好きなのだから。
その時ふと頭を過った女性が妊娠するというタイミング。
確かそれは次の生理が来る2週間前だ。
恋人は生理が終って2週間が経ったと言った。つまり生理不順ではない恋人は今が丁度妊娠しやすいと言われる時期だ。だから司は策を巡らせることにした。

「なあ。今夜。いいだろ?」

すると恋人は司の目をじっと見つめて言った。

「いいけど……ちゃんと着けてよね」




にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
Comment:2
2021
05.15

金持ちの御曹司~赤裸々なほど愛して~<中編>

司は若くして直木賞を受賞した人気作家だ。
ベストセラー作家だ。
だが彼の人気を支えているのは作品だけではない。それは彼が映画で主演を張れるほどの外見を持っているからだ。
つまり司は文学的才能とは別に女を惑わす外見を持つ作家としてテレビへの出演や雑誌に載ることが増えた。

そんな男だから司の近くにはストーカーと思われる女の存在がある。
そしてその女は何故か彼のスケジュールを知っていて、『道明寺さん。今日あなたはメイプルにいましたよね?あなたは中野さんと一緒にいましたね?』そんな手紙を送って来るようになった。ちなみにメイプルは道明寺家が経営するホテルで中野とは雑誌のカメラマンだ。

そして手紙には写真も添えられていて、司が自宅のマンションのベランダに立っている姿や、ホテルのロビーで担当編集者と一緒にコーヒーを飲んでいる姿が写っていた。
けれど当の本人は、そんな手紙や写真が送られてきても全く気にしていなかった。
だがやがて手紙の内容が一方的な思いや脅迫めいたものに変わると流石に周りも心配した。

『道明寺さん。どうして私の気持ちを受け止めてくれないのですか?あなたは私のことが嫌いになったの?でも私はあなたのことが忘れられないの。だから私から離れると言うのなら、私はあなたを殺して永遠に私だけのものにするわ』

だから出版社は司に警護を付けることを勧めた。
しかし司は警護を付けることを嫌がった。
だが万が一のことがあっては大変だと出版社はボディガードを付けた。

「よろしくお願いします。今日からあなたの警護を担当します。牧野つくしです」

ボディガードは女。
司は元SPだと言う自分の肩にも届かない小さな女が自分を守れるとは思わない。
だから、ボディガードなどいてもいなくても同じだと無視することにした。
何か言われても返事をしなかった。
だがある日。「道明寺さん。困ります。勝手に出歩かれては困ります」と夜遅く飲みに行こうとした司の前に立ち塞がった。

「なあ。おい。いい加減にしてくれ。出歩くなと言われても俺には自由に行動する権利がある。その権利をお前に止める権利はない。それにいつもいつも俺の後を付いて回るな。お前のようなチビに後ろを付いて回られると鬱陶しいんだ」

司にイライラとした態度でチビと言われた女は、その態度を気にすることなく平然と訴えた。

「道明寺さん。ですが私はあなたの安全を守るために雇われています。それにあなたは私の雇い主である出版社の方針に従うことを決めたんですよね?私をボディガードとして傍に置くことを認めたんですよね?それなら私の忠告を聞いて下さい。あなたはストーカーに命を狙われています。あなたは彼女にまともに取り合うつもりは無いのでしょうけど、彼女はいつもあなたのことを見ていると言っています。つまり他の人間のことは目に入っていません。そういった人間は目的のためには何をするか分かりません。だから危険なんです」

司の前に立ち塞がった女は、なんとか外出しようとしている男を止めようとしていた。

「それにもし飲みに行きたいなら、こんな真夜中ではなくもう少し早い時間にして下さい。それにご友人と飲みたいなら、そのご友人をご自宅に招いて下さい」

司はその言葉に思考を巡らせた。
そして暫く女を見つめると、「なるほど。誰かと飲みたいなら、その誰かをここに呼べばいいんだな?」と言って無邪気にほほ笑んで見せた。
すると女は「ええ。そうです。ご友人の方をこの家にお呼び下さい」と言った。
だから「分かった。飲みに行くのは止めた」と司が答えると、女は安堵した様子でホッとした表情を浮かべたが、それを見た司はニヤリと笑った。

「お前の要望を受け入れ飲みに行くのは止めたが、その代わり女を抱きたい。だが問題がある。それは今の俺に特定の女がいないことだ。だから相手を探す必要がある。つまり、そういった場所に行く必要がある。分かるよな?そういった場所だ。だがお前は外出するなと言う。それなら女をここに呼べばいいって言うんだろうが、俺はこの家に商売女を入れるつもりはない。だからお前の望み通り俺にここにいて欲しいなら、お前が俺の相手をすればいい。そうすればこの問題は解決するが、どうする?」



にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
Comment:0
back-to-top