あれから2週間がたったがどちらからも何の連絡もなかった。
うちの調査会社と美作商事の調査会社を使って調べさせている。
が、意外と難しいもんだと思ってみるがもう少し待ってみるか。
パーティーの盛り上がりに花を添えるように3人の男達が通路の奥へと進んで行く。
司たちが奥に進むにしたがって、他の客は彼らの進路を開けて行く。
薄暗いクラブのなかで行われている内輪のパーティーに総二郎は和服姿で現れた。
「おい総二郎、ここのところ女断ちしてるんだって?いったいどういう風の吹きまわしだよ?」
あきらが聞いた。
「ここのところ忙しくてな」
そう言いながらも遠巻きにこちらを見ている女達に対し笑顔を振りまいている。
「それより聞いたぞ司、おまえ女を探しているそうだな?」
総二郎は話しながらもウエィターに手で合図を送っている。
「そうなんだよ、総二郎。なんでも司は一目惚れしたらしいぞ?」
「マジか!司が女に一目惚れってどこのお嬢だよ?」
総二郎が尋ねた。
「それが・・」
あきらは笑いを噛み殺した。
「なんだよ?司のお眼鏡にかなった女だろ?」
「それがなんと、地下鉄の駅で見かけた女なんだと!」
ついにあきらが笑い出した。
「げっ。なんだよそれ?それに司が地下鉄って、なんだよそれ?」
「お、俺だって地下鉄くらい乗るぞ?それがなにか問題か?」
「おい司、そんなに睨むなよ!」
あきらが司の肩をたたいた。
「いやいや、司君。地下鉄云々の問題じゃなくて。なにか問題か以前の問題だろ?」
総二郎は真面目な顔をして言ってきた。
「そうそう、相手のことなんてなーんにも分かんねぇんだからな」
あきらの言い分はもっともだった。
「ま、とにかくだ。司に気になる女が現れたってことが重要だな?」
総二郎は言った。
「そうそう。司がやっと女に目覚めたってことが重要だよな」
二人の男たちはこれ以上おかしい事はないとばかりに笑っていた。
司は悪友二人が自分のことを話しながら酒を飲んでいる姿を見て自分が女を探しているなんて事をあきらの耳に入れたのは迂闊だったかと思い始めていた。
「で、その女は誰なんだ?」
総二郎は尋ねた。
「それが・・」
「調べさせてる」
あきらが言いかけた言葉を遮えぎって司が言った。
「その女、俺をみてほほ笑んだんだ」
「それって司の幻想じゃねえの?」
総二郎が言った。
「本当か?本当におまえを見てほほ笑んだのか?おまえの後ろに誰かいなかったか?」
あきらはいたずらっ子のような目で言った。
「いねぇよ!」
司は強い視線であきらを睨みつけた。
「で、どうしたんだ?」
総二郎はウエィターが運んできたグラスを受け取ると口へと運んでいた。
「お、おう。女はそのまま次の電車に乗っていっちまった」
「で、司はどうしてたんだ?」
「お、俺か?」
「そう。おまえは?」
「俺は・・・ただ突っ立ってた」
「なんだよそれ?もっとなんかあっただろ?」
総二郎が呆れたような顔をして司を見た。
「女は反対側のプラットホームだぞ?どうすりゃよかったんだよ!」
「あほか。そこから待っててくれとか叫べばよかっただろうが!」
「おっ!そうか!いいこと言うよな総二郎」
総二郎が呆れたような顔をしているのを見てあきらが言った。
「なあ、司ってなんかキャラ変わってないか?」
「そうだよな、こいつ女なんて近寄るなブス!見るなブス!って感じだったよな。それもつい最近まで・・」
「だよな・・・」
あきらはにやりと笑った。
「司がこんなふうになるんだから、俺達もその地下鉄の女ってのに会ってみたいよな」
総二郎は笑いを噛み殺した。
二人は思わず笑い出しそうになっていた。
司は女の事を考えているのか黙り込んでテーブルに置かれていた酒の入ったグラスを手に取ると、一気に飲み干してしまおうとしていた。
「しょうがねぇな。こうなったら俺もひと肌脱ぐか。司君のチェリー卒業の為にもな!」
総二郎のその言葉に司は氷の塊を喉に詰まらせそうになっていた。

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うちの調査会社と美作商事の調査会社を使って調べさせている。
が、意外と難しいもんだと思ってみるがもう少し待ってみるか。
パーティーの盛り上がりに花を添えるように3人の男達が通路の奥へと進んで行く。
司たちが奥に進むにしたがって、他の客は彼らの進路を開けて行く。
薄暗いクラブのなかで行われている内輪のパーティーに総二郎は和服姿で現れた。
「おい総二郎、ここのところ女断ちしてるんだって?いったいどういう風の吹きまわしだよ?」
あきらが聞いた。
「ここのところ忙しくてな」
そう言いながらも遠巻きにこちらを見ている女達に対し笑顔を振りまいている。
「それより聞いたぞ司、おまえ女を探しているそうだな?」
総二郎は話しながらもウエィターに手で合図を送っている。
「そうなんだよ、総二郎。なんでも司は一目惚れしたらしいぞ?」
「マジか!司が女に一目惚れってどこのお嬢だよ?」
総二郎が尋ねた。
「それが・・」
あきらは笑いを噛み殺した。
「なんだよ?司のお眼鏡にかなった女だろ?」
「それがなんと、地下鉄の駅で見かけた女なんだと!」
ついにあきらが笑い出した。
「げっ。なんだよそれ?それに司が地下鉄って、なんだよそれ?」
「お、俺だって地下鉄くらい乗るぞ?それがなにか問題か?」
「おい司、そんなに睨むなよ!」
あきらが司の肩をたたいた。
「いやいや、司君。地下鉄云々の問題じゃなくて。なにか問題か以前の問題だろ?」
総二郎は真面目な顔をして言ってきた。
「そうそう、相手のことなんてなーんにも分かんねぇんだからな」
あきらの言い分はもっともだった。
「ま、とにかくだ。司に気になる女が現れたってことが重要だな?」
総二郎は言った。
「そうそう。司がやっと女に目覚めたってことが重要だよな」
二人の男たちはこれ以上おかしい事はないとばかりに笑っていた。
司は悪友二人が自分のことを話しながら酒を飲んでいる姿を見て自分が女を探しているなんて事をあきらの耳に入れたのは迂闊だったかと思い始めていた。
「で、その女は誰なんだ?」
総二郎は尋ねた。
「それが・・」
「調べさせてる」
あきらが言いかけた言葉を遮えぎって司が言った。
「その女、俺をみてほほ笑んだんだ」
「それって司の幻想じゃねえの?」
総二郎が言った。
「本当か?本当におまえを見てほほ笑んだのか?おまえの後ろに誰かいなかったか?」
あきらはいたずらっ子のような目で言った。
「いねぇよ!」
司は強い視線であきらを睨みつけた。
「で、どうしたんだ?」
総二郎はウエィターが運んできたグラスを受け取ると口へと運んでいた。
「お、おう。女はそのまま次の電車に乗っていっちまった」
「で、司はどうしてたんだ?」
「お、俺か?」
「そう。おまえは?」
「俺は・・・ただ突っ立ってた」
「なんだよそれ?もっとなんかあっただろ?」
総二郎が呆れたような顔をして司を見た。
「女は反対側のプラットホームだぞ?どうすりゃよかったんだよ!」
「あほか。そこから待っててくれとか叫べばよかっただろうが!」
「おっ!そうか!いいこと言うよな総二郎」
総二郎が呆れたような顔をしているのを見てあきらが言った。
「なあ、司ってなんかキャラ変わってないか?」
「そうだよな、こいつ女なんて近寄るなブス!見るなブス!って感じだったよな。それもつい最近まで・・」
「だよな・・・」
あきらはにやりと笑った。
「司がこんなふうになるんだから、俺達もその地下鉄の女ってのに会ってみたいよな」
総二郎は笑いを噛み殺した。
二人は思わず笑い出しそうになっていた。
司は女の事を考えているのか黙り込んでテーブルに置かれていた酒の入ったグラスを手に取ると、一気に飲み干してしまおうとしていた。
「しょうがねぇな。こうなったら俺もひと肌脱ぐか。司君のチェリー卒業の為にもな!」
総二郎のその言葉に司は氷の塊を喉に詰まらせそうになっていた。

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Comment:1
コメント
た*き様
鋭いコメントを有難うございます。
ご推察の通りでございます(笑)
芸がなくて申し訳ないです。
鋭いコメントを有難うございます。
ご推察の通りでございます(笑)
芸がなくて申し訳ないです。
アカシア
2015.10.16 22:38 | 編集
