つくしはなぜか愛想笑いを浮かべていた。
顧客からセクハラまがいの言葉を言われた時の対処方だ。
お客様は神様ですじゃないが、こんな時は曖昧にほほ笑むのが一番だ。
アメリカなんかじゃ客と店員との立場はわりと対等だけど日本の社会ではまだまだ客ありきの商売だ。
でも・・
いきなりおまえと寝れるかですって?
「あ、あんた何考えてるのよ!」
つくしは感情的になっていた。
「おまえの言う微妙な関係ってのを俺に教えてくれないか?」
「おまえとのつき合い方を考えなきゃならないからな」
「ど、どういう意味?」
「だからきちんと話し合おうってことだ」
つくしはじっと自分を見つめる司の視線を感じていた。
「だからそれはどういう意味なのよ?」
「微妙な関係ってやつの先に俺たちが寝ることが出来るかどうか知りたい」
司の目が期待に輝いた。
俺の言葉にいつわりはない。嘘をつくなっていったのは牧野だ。
だから俺は嘘偽りのない正直な気持ちを牧野に伝えているだけだ。
牧野の心が欲しいのはもちろんだが体も欲しいに決まってる。
「は、話し合うことなんてないわよ!なんでいきなりあんたとね、寝ないといけないのよっ!」
「だいだいなんで今そんなことを話し合わないといけないのよ!」
つくしは自分が案外大きな声で喋っていることに気が付いた。
レストランの中で大きな声で男と寝るとか寝ないとか・・
つくしがふと見た先にいるのは、蝶ネクタイ姿の男で、そんな男は多分レストランの支配人だろう。何やら落ち着かない様子でこちらを見ていた。
多分、恐らくだが道明寺はこのレストランでは常連なのだろう。そんな男が連れの女と口論しているとしたら、止めるべきか止めないべきか迷うのも当然だ。
つくしは周りを見るのが怖かった。近くのテーブルの客はナイフとフォークを持つ手を止めて2人の様子を見ていたし、他の客も2人の会話に聞き耳を立てているに違いない。
2人の席に料理を運ぼうとしていたウェイターにいたっては、サーブするのをためらって固まっている。
今や2人はレストラン中の注目を浴びていることには間違いがなかった。
この前は個室で食事をしたから周りを気にするなんてことがなかったけど、さすがにこのレストランでの失態につくしは頭が痛くなってきた。
それになんだか急に食欲がなくなってきたように感じられた。
それなのに向かいの席に座る男は悪びれた様子もみせずニヤリと笑っていた。
「牧野、冷静になれ」
司は面白そうに頬を赤く染めたつくしを眺めていた。
言われなくてもわかってるわよ!
何が冷静になれよ!あんたがあたしを冷静にさせないんでしょ?
「やけに今夜は機嫌が悪いな?なんか会社で嫌なことでもあったのか?」
「ええ。おかげ様で営業成績は一番をいただいていますがなにか?」
「凄いじゃないか!」
何が会社で嫌なことよ!何が凄いじゃないかよ!
嫌なことはなかったけど、凄い方は・・まあ、道明寺のおかげだから正直お礼を言わなきゃいけないんだけど・・
「ちょっと・・失礼して来てもいい?」
つくしはこのまま席に座っていたらもっととんでもないことを口走りそうになりそうで怖かった。
「け、化粧室に行って来たいんだけど・・」
つくしはじろりと司を睨みつけると腰をあげるが早いか鞄を手に大きな足取りで化粧室を目指した。
司はどうぞ行って来いとばかりに形ばかりの挨拶をした。
なによ!グラスなんて持ち上げちゃって!
今夜のこのデートは・・デートよね?
上手くいくのか心配になってきた。
***
つくしは化粧室を見つけると扉を開けて中に入った。
その直後、背後に人の気配を感じたかと思えばひとりの女性が中に入ってきた。
つくしは怒りに任せて歩いていたせいか、自分のすぐ後ろに女性が歩いていたことに気が付かなかった。
その女性はいきなりつくしに話しかけてきた。
「あなた道明寺さんとはどういう関係なの?」
露骨な敵意が感じられるような声だった。

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お客様は神様ですじゃないが、こんな時は曖昧にほほ笑むのが一番だ。
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でも・・
いきなりおまえと寝れるかですって?
「あ、あんた何考えてるのよ!」
つくしは感情的になっていた。
「おまえの言う微妙な関係ってのを俺に教えてくれないか?」
「おまえとのつき合い方を考えなきゃならないからな」
「ど、どういう意味?」
「だからきちんと話し合おうってことだ」
つくしはじっと自分を見つめる司の視線を感じていた。
「だからそれはどういう意味なのよ?」
「微妙な関係ってやつの先に俺たちが寝ることが出来るかどうか知りたい」
司の目が期待に輝いた。
俺の言葉にいつわりはない。嘘をつくなっていったのは牧野だ。
だから俺は嘘偽りのない正直な気持ちを牧野に伝えているだけだ。
牧野の心が欲しいのはもちろんだが体も欲しいに決まってる。
「は、話し合うことなんてないわよ!なんでいきなりあんたとね、寝ないといけないのよっ!」
「だいだいなんで今そんなことを話し合わないといけないのよ!」
つくしは自分が案外大きな声で喋っていることに気が付いた。
レストランの中で大きな声で男と寝るとか寝ないとか・・
つくしがふと見た先にいるのは、蝶ネクタイ姿の男で、そんな男は多分レストランの支配人だろう。何やら落ち着かない様子でこちらを見ていた。
多分、恐らくだが道明寺はこのレストランでは常連なのだろう。そんな男が連れの女と口論しているとしたら、止めるべきか止めないべきか迷うのも当然だ。
つくしは周りを見るのが怖かった。近くのテーブルの客はナイフとフォークを持つ手を止めて2人の様子を見ていたし、他の客も2人の会話に聞き耳を立てているに違いない。
2人の席に料理を運ぼうとしていたウェイターにいたっては、サーブするのをためらって固まっている。
今や2人はレストラン中の注目を浴びていることには間違いがなかった。
この前は個室で食事をしたから周りを気にするなんてことがなかったけど、さすがにこのレストランでの失態につくしは頭が痛くなってきた。
それになんだか急に食欲がなくなってきたように感じられた。
それなのに向かいの席に座る男は悪びれた様子もみせずニヤリと笑っていた。
「牧野、冷静になれ」
司は面白そうに頬を赤く染めたつくしを眺めていた。
言われなくてもわかってるわよ!
何が冷静になれよ!あんたがあたしを冷静にさせないんでしょ?
「やけに今夜は機嫌が悪いな?なんか会社で嫌なことでもあったのか?」
「ええ。おかげ様で営業成績は一番をいただいていますがなにか?」
「凄いじゃないか!」
何が会社で嫌なことよ!何が凄いじゃないかよ!
嫌なことはなかったけど、凄い方は・・まあ、道明寺のおかげだから正直お礼を言わなきゃいけないんだけど・・
「ちょっと・・失礼して来てもいい?」
つくしはこのまま席に座っていたらもっととんでもないことを口走りそうになりそうで怖かった。
「け、化粧室に行って来たいんだけど・・」
つくしはじろりと司を睨みつけると腰をあげるが早いか鞄を手に大きな足取りで化粧室を目指した。
司はどうぞ行って来いとばかりに形ばかりの挨拶をした。
なによ!グラスなんて持ち上げちゃって!
今夜のこのデートは・・デートよね?
上手くいくのか心配になってきた。
***
つくしは化粧室を見つけると扉を開けて中に入った。
その直後、背後に人の気配を感じたかと思えばひとりの女性が中に入ってきた。
つくしは怒りに任せて歩いていたせいか、自分のすぐ後ろに女性が歩いていたことに気が付かなかった。
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「あなた道明寺さんとはどういう関係なの?」
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コメント
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co**y様
おはようございます(^^)
坊ちゃん直球すぎでしたか(笑)
恋愛偏差値・・もうそんな偏差値は不要の歳です(笑)
猪突猛進坊ちゃんかわいいですよね。
でも明日から少しこちらのお話はお休みです。
忙しいといいますか、ちょっとこの時間頭が働かずです(笑)
別のお話をご用意していますのでよろしくお願いしますm(__)m
またご感想などありましたらよろしくお願いします。
コメント有難うございました(^^)
おはようございます(^^)
坊ちゃん直球すぎでしたか(笑)
恋愛偏差値・・もうそんな偏差値は不要の歳です(笑)
猪突猛進坊ちゃんかわいいですよね。
でも明日から少しこちらのお話はお休みです。
忙しいといいますか、ちょっとこの時間頭が働かずです(笑)
別のお話をご用意していますのでよろしくお願いしますm(__)m
またご感想などありましたらよろしくお願いします。
コメント有難うございました(^^)
アカシア
2016.05.31 00:19 | 編集

サ*ラ様
こんばんは(^^)
寝ることができるか?本当に金持ちの御曹司みたいなことを言う司。
表現が露骨すぎですよね!(笑)
なんだか御曹司が乗り移るんです。キャラが違うのに困ります。
嫌な感じの女性が登場しました!
が、サ*ラ様、すみません!
只今業務多忙で頭が回らずこちらのお話はちょっとお休みです。
他のお話になりますが、もしよろしければそちらをお読み下さいませ。
コメント有難うございました(^^)
こんばんは(^^)
寝ることができるか?本当に金持ちの御曹司みたいなことを言う司。
表現が露骨すぎですよね!(笑)
なんだか御曹司が乗り移るんです。キャラが違うのに困ります。
嫌な感じの女性が登場しました!
が、サ*ラ様、すみません!
只今業務多忙で頭が回らずこちらのお話はちょっとお休みです。
他のお話になりますが、もしよろしければそちらをお読み下さいませ。
コメント有難うございました(^^)
アカシア
2016.05.31 00:24 | 編集
