「三条さん。牧野さんは道明寺副社長と何かあったんですか?」
和彦は桜子がはっきりとは口にしなかったが、何かあったのだと感じていた。
だから改めてその思いを口にしたが、束の間の沈黙の後、返されたのは、
「男って口では良い事ばかり言っても結局本心は何を考えてるのか分からないわ」だった。
それから桜子は赤ワインの入ったグラスを口に運んだが、戸惑っている若林和彦に、
「先輩はね、薄情者に傷つけられたことがあったの。だから男性とは常に一定の距離をおいてきたの。それをあの人が….うんうん。道明寺副社長じゃないわ。道明寺副社長だけど道明寺副社長じゃない人に傷つけられたの」と言葉を継いだ。
「それって一体どういう意味ですか?」
桜子の口調から、和彦は桜子が道明寺司に対し腹を立てていることは分かるのだが、その具体的な理由は分からなかった。だから訊いたが、「そうね。詳しくは言えないけど、とにかく道明寺副社長は非難されるだけのことをしたってことなのよ」と答えた。
そして、店の入口がざわついているのに気付いた和彦がそちらに視線を向けると、黒い服を着た支配人らしき男性が慌てて走っていく様子を見たが、それから少しして入口から姿を現した人物にハッとした。
「あの、三条さん」
「何?」
桜子はグラスを手にしたまま和彦を見たが、すぐに和彦の視線が向けられている方へと顔を向けると、視線の先にいる人物がこちらへ向かって来ることに気付いた。
すると、それまでとは全く違う真剣な顔になり、やがて近づいて来た人物がテーブルの傍で立ち止まると対峙するように数秒間無言の視線をぶつけ合ったが、どちらも視線を逸らさなかった。そしてその人物の堂々とした姿は、恋愛という勝負に勝つ意欲がある男の姿で、ビジネスに対しても新たな勝負を挑むことが日常の男ならではの態度があった。
「ここに牧野つくしがいるはずだが?」
「あら道明寺副社長。偶然ですね?こちらでお食事ですか?でもここは道明寺副社長がお見えになるには庶民的だと思いますけど?それともたまにはこういった一般的なお店で食事をするのも悪くはないということでしょうか?」
司は牧野つくしが三条桜子と若林和彦と六本木のレストランへ向かい、そこで食事をしていると連絡を受けた。そして桜子と和彦を見つけると彼らのテーブルへ向かい桜子に声をかけた。
だがその三条桜子の口調は冷たく、取り方によっては邪慳とも言えたが、それは予期していたことだった。
だが同じテーブルにいる若林和彦が司の姿に、ほとんどそれとはわからぬほどだったが、微かに挨拶ともいえる態度を取った。
司は、それを受けると桜子に視線を戻した。
「いや。食事をしに来たんじゃない。牧野つくしに会いに来た」
司にとって牧野つくしの友人でもあり教授秘書の女は味方にもなれば敵にもなる。
そして味方につければ助けになることは間違いなく、一時は味方になった。
だが今の三条桜子にとって司は敵であり、彼を見る目は牧野つくしが司を関わろうとしないことを望んでいると言ってはいるが、司は牧野つくしに会わなければならなかった。
それに司がここに来た理由など分かっているはずだが、それでも敢えて訊いてくるのは、無視をされるよりもマシだったが、秘書の女はそれを考えるふうもなく司に向かって言った。
「道明寺副社長は牧野先輩の行動は把握していらっしゃるということでしょうけど、先輩にどういったご用ですか?」
「用か?三条さん。あんたの顔は言わなくても分かってるって顔だが?」
桜子という名と、その人格がまるで合っていないほど気が強い女の司に向けられる態度は敵愾心の表れ。そしてそれは、本人の口から語られた過去に起きた事故に対する贖罪の気持ちがそうさせていると分かってはいるが、三条桜子という女は司の前では雛を守る親鳥のごとく厳しかった。
「ええ。勿論です。私は以前言いましたよね?道明寺副社長は女性にとって男性には見られたくないものを見られた女性にどう言葉をかけるおつもりですかと。でもあなたはそれ以前の許せない行動を取りましたね?私は先輩が人を見る目がないとは思いません。でも見抜ける目がなかったと言えばいいのか……。でも仕方がありませんよね?だって相手はあなたなんですから。道明寺副社長。あなたのようにビジネスに秀でた男性ならただ一方的に好意を抱くようになった女性を騙そうと思えば簡単に騙すことが出来るはずですものね?それに私が知る先輩は人を信じやすい、猜疑心がなさすぎなことが唯一の欠点とも言えるんですから」
猜疑心がなさすぎる。
それは司も思ったことだが、逆に無防備だからこそ、そんな女に惹かれた。
「ああ。牧野つくしは電話の相手が俺だったことにショックを受けた。いや、衝撃を受けた。だから彼女から受けた平手打ちは当然のことだと思ってる。それによくもぬけぬけと会いに来ることが出来たと言われれば、その通りだと答えるしかない」
「そうですか。自覚してらっしゃるなら、この言葉を加えてもいいですよね?恥じ知らずという言葉も」
「あんた。手厳しいな」
辛辣とも言える言葉は、やはり冷めた口調で司の不実を暴いたように聞こえるが、牧野つくしに嘘をついていたのは事実なのだから言われた言葉を受け止めるしかなかった。
だがだから司は牧野つくしに会って今の自分の気持ちを伝えようとしていた。
「でもそうじゃないですか?道明寺副社長。あなたは嘘をついて牧野つくしと電話で親しくなった。私は先輩の過去についてお話ししましたよね?そしてあの時は、さも分かったような態度を取られましたけど、あの態度は見せかけだったということですか?心に傷がある女をからかいたかったということですか?牧野つくしという女性は決してひと前にしゃしゃり出ることはしません。それにつくしという名前から雑草のようだと思われるかもしれませんが、秘すれば花というタイプです。だかから、電話の男性に会うことを楽しみにしていたはずです。先輩にとってはとても勇気がいることだったはずです。それなのに道明寺副社長あなたは…..」
桜子は、そこまで言って重々しい息をついた。
それは目の前の男を公然と侮辱していても、その男はそれを当然だと受け止めているからだが、それでも言いたいことは言わせてもらうと言葉を継いだ。
「それにあなたのような男性の前には無限に女性が現れるはずです。あなたは女性に拒否されるような男性じゃありません。だから何も牧野つくしに固執する必要はないんじゃないですか?」
司の前に無限に現れる女たち。
彼が望めば毎晩女を変えることも出来る。だがそれは肉体という表面的レベルだけの話であり、それも相手の方から近づいてくることから関係を持ったに過ぎず、人として相手の女を好きになるというのではない。それに女に感情を上下させられたことはない。だが牧野つくしは違った。
そして、牧野つくしが電話の男に会おうと決めた理由が、容姿など気にしない自分に興味を持った男だから。つまり二人とも本当の自分を受け入れてもらえる人を探しているということだ。だからこそ司は彼女に会って自分が杉村と名乗り夜の電話の男を演じていたのかを話したかった。
「三条さん。俺が牧野つくしに惚れたのは嘘じゃない。彼女が意志の強い女だってことはこの前の平手打ちで充分理解した。今までは女という生き物の存在に重きを置いたことはない。だが牧野つくしは違う。だから彼女に謝りたい。あの凛とした黒い瞳が真面目にサメのことを話す姿が愛おしいと思えるのは可笑しいか?」
司の言葉に桜子は答えなかった。
だがその代わり口を挟んだのは若林和彦だ。
「…….あの。道明寺副社長。可笑しくなないですよ。と、いうよりも重症です」
「重症?」
「ええ。恋をするということはそういうことじゃないですか?僕は男ですからあなたの言いたいことは少なくとも理解出来ます。ああ、それから誤解がないようにお伝えしておきますが、僕は牧野さんにフラれました。でも好きな人の瞳がキラキラ輝く様子は見ていて楽しいですし嬉しいです。生きていく上での喜怒哀楽はあって当然ですがでも嘘はダメです。
それに嘘が楽しめるのは映画や小説の中だからで、実生活の上での嘘は楽しいものではないはずです。僕は道明寺副社長がどんな嘘をついたのか詳しくは知りません。でも意図的にしろ、そうでないにしろついた嘘はいずれバレます。それに人は嘘をついたまま生きることは出来ない。苦しいと思うから嘘をついたことを詫びるんです」
若林和彦は司より7歳年下だが、年の割りには真っ当なことを言っていると司は思った。
そして継いだ言葉は、意外にも司を擁護する言葉だった。
「三条さん。道明寺副社長がここまでおっしゃるのは、自分がついた嘘に対して後悔してるってことじゃないですか?そうじゃなければここまでおっしゃらないでしょう」
それにしても何故若林和彦は司を擁護するのか。
そしてその思いは三条桜子も同じだった。
「若林さん。あなたはどっちの味方なの?あなたは男性だから道明寺副社長の気持ちが分かるなんて言わないで欲しいんだけど。私は牧野先輩が傷ついて欲しくなかったの。だからこの人に_」
「三条さん。男がどういう生き物か知ってますか?一度こうだと決めたことを迷ってはダメなんです。それはビジネスを進めていく上でも人生にも言えることなんですが相手が人間となると見誤ることもあります。僕は牧野さんが初恋の人で再会してから直ぐに思いを伝えました。でも牧野さんが僕を見る目は、あくまでも教え子なんです。中学生の頃の僕を見ている。そう感じました。カフェテリアに道明寺副社長が現れたとき、その姿は傲慢でしたが男としては堂々としていました。その時僕はああ、この人には勝てないと思ったんです。それに言葉では言えない何かがあるんです。人にはそれぞれ生まれ持ったものがあります。それは目に見えないものです。つまりそれは能力と運というものですが、そのどちらも持っている人間がいるとすれば、それは道明寺副社長です」
和彦は、そこで一端話を区切り苦笑した。
「どうして僕がここまで言うのかですか?だって初恋の人には幸せになって欲しいじゃないですか。それに道明寺司と同じ女性を好きになって取り合ったとなれば凄いことです。それにどんな男性でも真心を込めて話をすれば、どんなに酷い嘘をついていたとしても、牧野さんなら分ってくれると思います。彼女はそういう人間ですから」

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和彦は桜子がはっきりとは口にしなかったが、何かあったのだと感じていた。
だから改めてその思いを口にしたが、束の間の沈黙の後、返されたのは、
「男って口では良い事ばかり言っても結局本心は何を考えてるのか分からないわ」だった。
それから桜子は赤ワインの入ったグラスを口に運んだが、戸惑っている若林和彦に、
「先輩はね、薄情者に傷つけられたことがあったの。だから男性とは常に一定の距離をおいてきたの。それをあの人が….うんうん。道明寺副社長じゃないわ。道明寺副社長だけど道明寺副社長じゃない人に傷つけられたの」と言葉を継いだ。
「それって一体どういう意味ですか?」
桜子の口調から、和彦は桜子が道明寺司に対し腹を立てていることは分かるのだが、その具体的な理由は分からなかった。だから訊いたが、「そうね。詳しくは言えないけど、とにかく道明寺副社長は非難されるだけのことをしたってことなのよ」と答えた。
そして、店の入口がざわついているのに気付いた和彦がそちらに視線を向けると、黒い服を着た支配人らしき男性が慌てて走っていく様子を見たが、それから少しして入口から姿を現した人物にハッとした。
「あの、三条さん」
「何?」
桜子はグラスを手にしたまま和彦を見たが、すぐに和彦の視線が向けられている方へと顔を向けると、視線の先にいる人物がこちらへ向かって来ることに気付いた。
すると、それまでとは全く違う真剣な顔になり、やがて近づいて来た人物がテーブルの傍で立ち止まると対峙するように数秒間無言の視線をぶつけ合ったが、どちらも視線を逸らさなかった。そしてその人物の堂々とした姿は、恋愛という勝負に勝つ意欲がある男の姿で、ビジネスに対しても新たな勝負を挑むことが日常の男ならではの態度があった。
「ここに牧野つくしがいるはずだが?」
「あら道明寺副社長。偶然ですね?こちらでお食事ですか?でもここは道明寺副社長がお見えになるには庶民的だと思いますけど?それともたまにはこういった一般的なお店で食事をするのも悪くはないということでしょうか?」
司は牧野つくしが三条桜子と若林和彦と六本木のレストランへ向かい、そこで食事をしていると連絡を受けた。そして桜子と和彦を見つけると彼らのテーブルへ向かい桜子に声をかけた。
だがその三条桜子の口調は冷たく、取り方によっては邪慳とも言えたが、それは予期していたことだった。
だが同じテーブルにいる若林和彦が司の姿に、ほとんどそれとはわからぬほどだったが、微かに挨拶ともいえる態度を取った。
司は、それを受けると桜子に視線を戻した。
「いや。食事をしに来たんじゃない。牧野つくしに会いに来た」
司にとって牧野つくしの友人でもあり教授秘書の女は味方にもなれば敵にもなる。
そして味方につければ助けになることは間違いなく、一時は味方になった。
だが今の三条桜子にとって司は敵であり、彼を見る目は牧野つくしが司を関わろうとしないことを望んでいると言ってはいるが、司は牧野つくしに会わなければならなかった。
それに司がここに来た理由など分かっているはずだが、それでも敢えて訊いてくるのは、無視をされるよりもマシだったが、秘書の女はそれを考えるふうもなく司に向かって言った。
「道明寺副社長は牧野先輩の行動は把握していらっしゃるということでしょうけど、先輩にどういったご用ですか?」
「用か?三条さん。あんたの顔は言わなくても分かってるって顔だが?」
桜子という名と、その人格がまるで合っていないほど気が強い女の司に向けられる態度は敵愾心の表れ。そしてそれは、本人の口から語られた過去に起きた事故に対する贖罪の気持ちがそうさせていると分かってはいるが、三条桜子という女は司の前では雛を守る親鳥のごとく厳しかった。
「ええ。勿論です。私は以前言いましたよね?道明寺副社長は女性にとって男性には見られたくないものを見られた女性にどう言葉をかけるおつもりですかと。でもあなたはそれ以前の許せない行動を取りましたね?私は先輩が人を見る目がないとは思いません。でも見抜ける目がなかったと言えばいいのか……。でも仕方がありませんよね?だって相手はあなたなんですから。道明寺副社長。あなたのようにビジネスに秀でた男性ならただ一方的に好意を抱くようになった女性を騙そうと思えば簡単に騙すことが出来るはずですものね?それに私が知る先輩は人を信じやすい、猜疑心がなさすぎなことが唯一の欠点とも言えるんですから」
猜疑心がなさすぎる。
それは司も思ったことだが、逆に無防備だからこそ、そんな女に惹かれた。
「ああ。牧野つくしは電話の相手が俺だったことにショックを受けた。いや、衝撃を受けた。だから彼女から受けた平手打ちは当然のことだと思ってる。それによくもぬけぬけと会いに来ることが出来たと言われれば、その通りだと答えるしかない」
「そうですか。自覚してらっしゃるなら、この言葉を加えてもいいですよね?恥じ知らずという言葉も」
「あんた。手厳しいな」
辛辣とも言える言葉は、やはり冷めた口調で司の不実を暴いたように聞こえるが、牧野つくしに嘘をついていたのは事実なのだから言われた言葉を受け止めるしかなかった。
だがだから司は牧野つくしに会って今の自分の気持ちを伝えようとしていた。
「でもそうじゃないですか?道明寺副社長。あなたは嘘をついて牧野つくしと電話で親しくなった。私は先輩の過去についてお話ししましたよね?そしてあの時は、さも分かったような態度を取られましたけど、あの態度は見せかけだったということですか?心に傷がある女をからかいたかったということですか?牧野つくしという女性は決してひと前にしゃしゃり出ることはしません。それにつくしという名前から雑草のようだと思われるかもしれませんが、秘すれば花というタイプです。だかから、電話の男性に会うことを楽しみにしていたはずです。先輩にとってはとても勇気がいることだったはずです。それなのに道明寺副社長あなたは…..」
桜子は、そこまで言って重々しい息をついた。
それは目の前の男を公然と侮辱していても、その男はそれを当然だと受け止めているからだが、それでも言いたいことは言わせてもらうと言葉を継いだ。
「それにあなたのような男性の前には無限に女性が現れるはずです。あなたは女性に拒否されるような男性じゃありません。だから何も牧野つくしに固執する必要はないんじゃないですか?」
司の前に無限に現れる女たち。
彼が望めば毎晩女を変えることも出来る。だがそれは肉体という表面的レベルだけの話であり、それも相手の方から近づいてくることから関係を持ったに過ぎず、人として相手の女を好きになるというのではない。それに女に感情を上下させられたことはない。だが牧野つくしは違った。
そして、牧野つくしが電話の男に会おうと決めた理由が、容姿など気にしない自分に興味を持った男だから。つまり二人とも本当の自分を受け入れてもらえる人を探しているということだ。だからこそ司は彼女に会って自分が杉村と名乗り夜の電話の男を演じていたのかを話したかった。
「三条さん。俺が牧野つくしに惚れたのは嘘じゃない。彼女が意志の強い女だってことはこの前の平手打ちで充分理解した。今までは女という生き物の存在に重きを置いたことはない。だが牧野つくしは違う。だから彼女に謝りたい。あの凛とした黒い瞳が真面目にサメのことを話す姿が愛おしいと思えるのは可笑しいか?」
司の言葉に桜子は答えなかった。
だがその代わり口を挟んだのは若林和彦だ。
「…….あの。道明寺副社長。可笑しくなないですよ。と、いうよりも重症です」
「重症?」
「ええ。恋をするということはそういうことじゃないですか?僕は男ですからあなたの言いたいことは少なくとも理解出来ます。ああ、それから誤解がないようにお伝えしておきますが、僕は牧野さんにフラれました。でも好きな人の瞳がキラキラ輝く様子は見ていて楽しいですし嬉しいです。生きていく上での喜怒哀楽はあって当然ですがでも嘘はダメです。
それに嘘が楽しめるのは映画や小説の中だからで、実生活の上での嘘は楽しいものではないはずです。僕は道明寺副社長がどんな嘘をついたのか詳しくは知りません。でも意図的にしろ、そうでないにしろついた嘘はいずれバレます。それに人は嘘をついたまま生きることは出来ない。苦しいと思うから嘘をついたことを詫びるんです」
若林和彦は司より7歳年下だが、年の割りには真っ当なことを言っていると司は思った。
そして継いだ言葉は、意外にも司を擁護する言葉だった。
「三条さん。道明寺副社長がここまでおっしゃるのは、自分がついた嘘に対して後悔してるってことじゃないですか?そうじゃなければここまでおっしゃらないでしょう」
それにしても何故若林和彦は司を擁護するのか。
そしてその思いは三条桜子も同じだった。
「若林さん。あなたはどっちの味方なの?あなたは男性だから道明寺副社長の気持ちが分かるなんて言わないで欲しいんだけど。私は牧野先輩が傷ついて欲しくなかったの。だからこの人に_」
「三条さん。男がどういう生き物か知ってますか?一度こうだと決めたことを迷ってはダメなんです。それはビジネスを進めていく上でも人生にも言えることなんですが相手が人間となると見誤ることもあります。僕は牧野さんが初恋の人で再会してから直ぐに思いを伝えました。でも牧野さんが僕を見る目は、あくまでも教え子なんです。中学生の頃の僕を見ている。そう感じました。カフェテリアに道明寺副社長が現れたとき、その姿は傲慢でしたが男としては堂々としていました。その時僕はああ、この人には勝てないと思ったんです。それに言葉では言えない何かがあるんです。人にはそれぞれ生まれ持ったものがあります。それは目に見えないものです。つまりそれは能力と運というものですが、そのどちらも持っている人間がいるとすれば、それは道明寺副社長です」
和彦は、そこで一端話を区切り苦笑した。
「どうして僕がここまで言うのかですか?だって初恋の人には幸せになって欲しいじゃないですか。それに道明寺司と同じ女性を好きになって取り合ったとなれば凄いことです。それにどんな男性でも真心を込めて話をすれば、どんなに酷い嘘をついていたとしても、牧野さんなら分ってくれると思います。彼女はそういう人間ですから」

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司*****E様
おはようございます^^
司が現れた先にいたのは、桜子と若林君でした。
先輩命の桜子と、初恋の人であるつくしに想いを寄せていた和彦とでは、性別の差から考え方の違いが見受けられました。
それにしてもつくしは、まさか自分が化粧室に行っている間にこんなことになっているとは思いもしませんよね?
あ、でもお話は進んでしまいましたね(笑)
コメント有難うございました^^
おはようございます^^
司が現れた先にいたのは、桜子と若林君でした。
先輩命の桜子と、初恋の人であるつくしに想いを寄せていた和彦とでは、性別の差から考え方の違いが見受けられました。
それにしてもつくしは、まさか自分が化粧室に行っている間にこんなことになっているとは思いもしませんよね?
あ、でもお話は進んでしまいましたね(笑)
コメント有難うございました^^
アカシア
2019.03.16 21:22 | 編集
