FC2ブログ
2020
07.06

『Love and Tenderness』更新のお知らせ

『Deception 78話』をUPしました。


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
スポンサーサイト



Comment:0
2020
07.03

『Love and Tenderness』更新のお知らせ

『Deception 77話』をUPしました。


にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
Comment:1
2020
07.01

夜の終わりに 20

Category: 夜の終わりに
男性との初めてのデート。
つくしは緊張してないと言ったが、実は緊張していた。だが時間が経つにつれ、その緊張もほぐれ、打ち解けてくると久し振りのテーマパークを楽しんでいた。
するとその分だけお腹がすくのは当たり前で、「ねえ。お昼どうする?」と訊いたが、テーマパークのレストランはいつも混んでいて、食べたくてもすぐにという訳にはいかない。
それにいくら男性が列に並ぶことが構わないと言っても、やはり待つことに慣れていない男性にはどうかと思った。
それなら飲み物を手にした食べ歩きや、ハンバーガーやピザという手もあるが果たして男性がそういったものを食べるだろうか。

すると「昼飯ならさっきの親父、いや会長からレストランに席を用意してあると言われた。場所は銀行の隣だそうだ」と言ったが、さすが男性はここの大株主だけのことはあると思った。だが、園内にある銀行の隣にレストランがあっただろうかと記憶を巡らせたが覚えがなかった。
いや。もしかして新しく出来たのかもしれない。何しろつくしがここに来たのは随分と前だ。
けれど、パンフレットを見たが銀行の隣にレストランの表記はない。
それでもそこだと言われたならと指定された場所に行ったが、やはりレストランらしき店舗は見当たらなかった。
その代わりそこにあるのは『33』と書かれた扉。

「ここだ」

「ここ?」

店の看板もなければ、しっかりと閉ざされた扉に人の出入りは全くなく、そこはレストランには思えなかった。

「ねえ。本当にここ?レストランには見えないんだけど違うんじゃない?」

「いや間違いない。扉に33の数字だけが書かれていると言ったからここだ」と言った男性が入口に向かって右側の壁にある金属パネルの中に隠されたインターフォンを押した。
すると「どちら様ですか?」と声が聴こえた。
そして男性が「道明寺だ」と名乗るとすぐに扉が開かれ女性が現れた。
「お待ちしておりました。道明寺様」と言って中に案内されたが、そこは高級ホテルのようなエントランス。
そこからエレベーターで二階へ案内されると、ラウンジがあり、その先にあるのは外観からは想像もつかなかった豪華なレストランだ。

「どうやらここは予約が必要な会員制レストランのようだな」

男性はこういった場所に慣れているのだろう。
ここがどういった場所なのか瞬時に分かったようだ。

「銀行の隣にこんな所があったなんて知らなかった」

窓辺の席に案内されたが、まさかこのテーマパークに秘密のレストランが存在していたとは知らなかった。
それにしても、いくら会員制で予約者以外は受け入れないと言っても、日曜の昼食時だというのに人がいない。と、いうことは、もしかすると会長と呼ばれた人物が大株主である道明寺ホールディングスの副社長の来園に急遽ここを貸し切りにしたのではないか。

「ねえ。もしかしてここ貸し切りなんじゃない?」

「多分な。それにしてもあの親父。気が利くじゃねえか」

「でもなんだか悪い気がするんだけど」

窓の外から聞こえる歓声は、ここが巨大テーマパークである証拠だが、建物の中は外の世界とは全く別の静けさと優雅さがあった。そんな場所をふたりだけで使うという贅沢は男性が道明寺司だから出来ることだと分かっていても、ここを独り占めするには悪いような気がした。

「気にするな。こういった場所は大口の株主やスポンサー企業の特権として用意されている場所で利益を追求するための場所じゃない。それから夕食もここで食べてくれと言われている。つまりここは俺たちが自由に使っていいってことだ。だから食事を済ませたあともここでゆっくりすればいい。それに夜にはパレードがあるんだろ?あの親父が言うにはここから見る夜のパレードの景色は園内で一番だそうだ」

男性が言った通り、初めて夜のパレードを見た時は感動した。
園内に散りばめられていた様々な光りの形が音楽と共に目の前を通り過ぎていく様子は、想像をはるかに超えたもので、まさに夢の国の出来事だと思った。
だがつくしはおとぎの国のお姫様になりたいと望んだことはない。
けれど男性は恋人を夢の国に誘っている。つまり男性はその見た目とは違いロマンチストだということだが、そんなつくしの考えは男性の発した言葉で証明された。

「俺は牧野つくしと恋愛をすることを決めたとき、お前が喜ぶことならどんなことでもしようと思った。それは少しでも長く一緒にいる時間を過ごして俺のことを知ってもらうことは勿論だが、同じ景色を見て同じ感動を味わいたい。自分の恵まれた環境を牧野つくしのために生かすことが出来るならそれでいいと思っている。言っただろ?何しろ俺はお前に惚れたんだ。惚れた女のためなら何でもする。だからお前も遠慮なくそれを受け取ってくれればいい」

つくしはその言葉を素直に受け入れたが、そうすることが出来たのは、男性が浮かべた表情がさわやかな笑顔だったからだが、何事も堂々と構える男性のその笑顔にドキンと心臓が高なった。

そしてここで提供されるのは高級フランス料理のフルコース。
園内はアルコール禁止だが、ここだけはアルコールを飲むことが許されていて、ワインリストを手渡された男性は、慣れた様子でワインを選んでいたが、「それからあのセクハラ男は異動になった。二度とお前の前に現れることはない」と言った。
だからメニューを見ていたつくしは、男性を上目遣いに捉えた。
すると男性の顏は先ほどとは打って変わって引き締まった厳しい顏に変わっていた。




にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
Comment:2
2020
06.28

夜の終わりに 19

Category: 夜の終わりに
会議室でつくしに交際を迫りキスした男は徐々に俺を知ってくれと言ったが、その言葉とは裏腹にあれからすぐに行動に移した。

「俺たちは他人の目を気にして付き合うことはしない。ふたりが一緒にいるところを見られても取り繕う必要なない。堂々と付き合う。だから周りが何を言おうと気にしなくていい」

そして二日後の日曜デートしようと言われ「どこで?」と訊けば、動きやすい服装をして欲しいと言われたからパンツ姿で自宅マンションの前で待っていると、迎えに来た男性はラフな服装で、つくしを連れて行ったのは浦安にある巨大なテーマパーク。

イメージじゃない。
この男性がテーマパークのアトラクションを楽しむようには思えない。
だから意外過ぎて男性の顏をまじまじと見た。
すると「どうした?こういった場所は嫌いか?」と言った。
だから嫌いじゃないと答えると男性は話を継いだ。

「俺はここに来るのは初めてだ」

と言って入場ゲートに向かったが、つくしと1歳違いで東京に住んでいながらここに来たことがない人間がいることは相当珍しいのではないかと思った。

「けど子供の頃、姉に連れられてアナハイムにある本家のテーマパークを訪れたことがあるが、ここに来たことがない。だから一度来たかった」

そして入場ゲートの前にいたのは、この場にはそぐわないスーツ姿の年配の男性が三人。
その中の白髪の男性と親しげに言葉を交わし一般の入園者とは別の入口から中に入ったが男性が誰だか気になった。

「ねえ。あの人誰?」

「あの男はここの運営会社の会長だ。うちはここの大株主だ。秘書にここのチケットを用意しろと言ったら必要ない。話しておくと言った」と説明され、ああそうだ。この人はそういう立場の人間だったと納得した。
そして、「ここを貸し切りにすることも出来たが、そうしなかったのは誰もいないテーマパークほど虚しいものはないからな」と言われ、もしかすると子供の頃、姉に連れられ訪れたテーマパークは貸し切りで、笑い声もなにもない虚しさだけが感じられる場所だったのではないかと思った。そうでなければ飛び出す絵本のようなこの世界を虚しいなど表現しないはずだ。
だがそれにしてもまさか男性が初めてのデートでテーマパークを選ぶとは思わなかった。

「それで?どれに乗りたい?」

「え?」

「だからどれに乗りたいんだ?」

つくしがここに来るのは今日で3度目だが、様々なイベントで楽しませてくれるこの場所は何度訪れても楽しい。鉱山列車が荒野を急旋回するジェットコースターも好きだし、カリブ海の海賊たちの船旅も好きだ。それに世界各国の子供たちが歌う姿を船の中から見るのも好きだ。他にも色々あるがどれも乗りたいと思う。
だからどれに乗りたいと言われても迷う。すると男性がつくしの手を掴んで向かったのは丸太を模したボートが滝つぼに落ちるアトラクション。

「ここに来るならこれに乗れと勧められた」

誰に勧められたかは別として、男性がこういった乗り物に乗るイメージがわかなかった。
いや。それ以前にどうしても男性をこういった場所と結びつけることが出来なかった。
だが思った。だからこそ初めてのデートでテーマパークを選んだ男性は、このアトラクションを終えた後にどんな表情を浮かべるのか。だがこのアトラクションは隣に座らないことから顏を見ることは出来ない。
けれど、滝つぼに落ちる瞬間が写真に撮られる。だからその写真を購入するつもりでいるが、座席に腰を下ろし、身体を固定したボートが動き始めると、このアトラクションの怖さを知るつくしは緊張していた。だからボートが徐々に傾斜に近づき滝つぼ目がけて落下する瞬間叫んでいたが、後ろに座った男性の声は聞えなかった。

そしてボートから降りたつくしが水しぶきを浴びた状態で「怖かった」と言ったのに対し、浴びなかった男性が余裕の表情で開口一番言ったのは、「ボートが落ちた傾斜角度は45度くらいか?」
だからつくしは「よくそんなに冷静でいられるわね?怖くなかったの?」と訊いたが男性は「スキーで急斜面を直滑降で滑っているのと同じだ」と言った。

だから「スキーするの?」と訊いた。すると「ああ。冬はカナダかスイスだ。お前もスキーをするならどうだ?次の休みはスイスに行くか?ちなみに俺の腕はインストラクター並だと言われている。だからなんなら教えてやるぞ」と言われたが、つくしはスキーが下手だ。
運動音痴ではないがスキーは苦手だ。それに一度雪まみれになって遭難しそうになったことがある。
だからいくら男性がスキーのエキスパートだとしても、きっとつくしのスキーをする姿を見れば呆れるはずだ。それに次の休みにスイスだなんてとんでもないと慌てて断ったが、脳裡には男性が急斜面をダイナミックに滑り降りる姿が浮かんでいて、男性はスポーツ万能なのだろうと思った。



「はいどうぞ。こちらのお写真です」

係員から丸太のボートが滝つぼに落ちる瞬間を捉えた写真を渡されたが、つくしが眼を見開き大きく口を開け、明らかに恐怖を感じているのに対し、男性の顏に恐怖はなかった。
それどころか余裕の笑みが浮かんでいるように思えた。
だから何故かそれが悔しくて、つくしが自分から乗ろうと言ったのは、鉱山列車が荒野を急旋回するジェットコースター。登り下りが繰り返され、岩と岩の間をすり抜けるコースは体感スピードが速く感じられる。これなら男性の顏も少しは歪むはずだ。









「どうした?気分が悪いのか?」

「………….」

「おい?平気か?」

「うん…..うん。平気大丈夫」

と答えたが、つくしの声は呟きに近く掠れて小さかった。

「おい。本当に大丈夫か?顔色がよくないぞ。酔ったんじゃないのか?座れ」

男性は近くのベンチにつくしを座らせたが、身体を丸めたつくしに「吐きそうなのか?」と言うと背中をさすった。

「だ、大丈夫。でもこのアトラクション。前に来た時に乗ったけど全然平気でこんな風にならなかったのに」

だが思えば以前ここに来たのは20代半ば。
つまりその頃なら平気だったことも、30代半ばになり身体はそれを受け容れることが難しくなったのかもしれない。

「前に来たのがいつだったか知らないが、若い頃は平気でも年をとれば無理ってこともある。身体がついていかなくなる。さすがに若く見えるお前でも年齢はそれなりってことか?」

ニヤッと笑みを浮かべ年齢のことを言われ、自分だって1歳しか年が変わらないくせにとムッとした気持になったが、それよりも男性の大きな手が背中をさすってくれることに安堵する気持が大きかった。

それにしてもつくづく意外に思うのは、男性がこういった場所に足を踏み入れることに躊躇いがないこともだが、立場から言ってもアテンドされることが当たり前の人間なら特別扱いされることに慣れているはずだが列に並ぶことに文句を言わないことだ。

「お前。俺が列に並ぶのが意外だと考えているな?」

「え?」

また言葉が口から漏れていたのだろうか。
だが、それならと丁度いいと思って訊くことにした。

「うん。だってあなたここの大株主でしょ?だから優先しろと言うかと思った」

だが男性は、「言っておくが、俺は社会のルールをことごとく無視する人間じゃない」と否定した。そして「どうする?調子が悪いならここを出るか?歩けそうにないならおぶってやるぞ」と言われたが、「大丈夫。少し休んだら平気だから」と答えると、「そうか。それならここで待ってろ」と言ってベンチから立ち上がると、どこかへ向かった。
やがて少し経って戻ってきたが、その手にはペットボトルの水が2本握られていて、差し出された1本を受け取った。

そして隣に腰を下ろした男性は蓋を開けるとゴクゴクと飲み始めたが、つくしがじっと見つめていることに気付くと、「どうした?飲まないのか?それともアレか?俺の口移しで飲みたいのか?」と言われ頭に浮かんだのは会議テーブルを背にキスされたこと。

だがあの時は会議室でふたり切りだったが、ここは修学旅行生と思われる制服姿の学生や大勢の子供や大人がいる。
だから、おおっぴらにキスされてはたまらないと急いで蓋を開けるとペットボトルを口に運んだが、男性がその様子を見て喉の奥で笑っていることに気付くと水が気管に入ってむせた。

すると再び男性が背中をさすってくれたが、そうしながら耳の後ろで、「そんなに緊張するな。俺たちは恋人同士だろ?」と囁かれ、その瞬間背中に走った感覚はこれまで経験したことがないものだった。
それにしても、つくしが付き合うことを決めた男性が過去に恋愛をしたことがないとしても、この人は好きになった女性にはとことん甘くなれる人だと思った。
そしてつくしが「別に緊張してないわよ。ただ早くお水が飲みたくて慌てただけよ」と答えると、男性はそんなつくしを素直じゃないと言っているように笑っていた。





にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
Comment:9
2020
06.26

夜の終わりに 18

Category: 夜の終わりに
『俺と恋愛してくれ』

つくしはテーブルを背に追いつめられた形で返事を求められていた。
追いつめた男性は何もない一夜を共に過ごしてから気になっていた人だ。だからその男性から惚れた。付き合って欲しい。恋愛をしてくれと言われれば、「はい」と答えればいいはずだ。
だが、その状態で口を突いたのは、「ええっと…..あの…..少し考えさせてくれませんか?」

「少し考える?何を考える?考える必要はないはずだ。何しろ俺はお前に惚れてる。それにお前も俺に惚れてる。そうだろ?」

男性は片眉を上げそう言ったが、つくしの硬くなっていた頬を撫でた指先が今度は唇に触れそうになった。
だから慌てて口を開くと、「か、考える必要はないって言われても、私たち、ええっと、ほら、あの夜を一緒に過ごしただけでお互いのことを知らなすぎます。あなたの名前も今日初めて知ったんです。だから…他に年齢とか血液型とか。食べ物は何が好きかとか趣味とか。もし付き合うなら相手のことを色々と知ってからの方が楽しいと思うんです!」
と早口で言ったが、男性とのあまりの近さに顏が上気していることもだが、息がはずんで鼓動はたかぶっていた。
そして目の前の巨体ともいえる男性に対し、自分があまりに小さく感じられて不安になった。
だがそんなつくしに対し男性は考え込むように眉をひそめたが、黒く鋭い瞳は熱心につくしを見つめていた。

「そうか。俺のことが色々と知りたいか?」

つくしは、その言葉に頷いた。
何度も頷いて目でそうだと訴えた。

「それなら言おう。俺の名前は道明寺司だが、道明寺ホールディングス株式会社の副社長だ。
年は35才。血液型はB型。好きな食べ物はお好み焼き。ああこれはあの夜に話した姉が子供の頃に作ってくれたことで好きになった。と、言っても最近は食べたことはない。それから趣味は特にないが他に質問は?」

よどみなく言った男性は片眉を上げた。
だからつくしは色々と言った手前、他に何か聞く事はないかと探した。そうしなければ、目の前の男性に会議室のテーブルの上に押し倒されるのではないか。もしくは抱きしめられるのではないかと思ったからだ。だからそうならないために何でもいいから言おうとしたが、頭が真っ白で思い浮かばない。だがそんなつくしをよそに男性が言葉を継いだ。

「どうやらお前は俺に訊きたいことがあるようだが、俺は今まで恋愛をしたことがない。つまり恋愛のプロセスに何が必要かを知らないが、恋愛は付き合っていく過程が楽しいと訊く。
だから初めから相手の全てを知るようじゃ恋愛は楽しめないと思うのは俺の思い違いか?それに時間をかけて共に過ごすことで共通の基盤が出来ると思っているんだが違うか?」

いや、違わない。
男性の言っていることは正しい。
何もかも知って始まる恋はない。
それに共通の基盤を作るためには、その人のことを理解することが必要で、そのために出来るだけ一緒に過ごすことが必要だと思う。

けれど、道明寺司と恋愛をする?
親会社の、それもトップの地位に限りなく近い男性と?
そんな男性の過去の女性関係は知らないが、意識して女性の前で魅力を振り撒く必要がないほどモテるはずだ。恐らく類まれな美しさを持つと言われる女性や、お金持ちで良家の子女と呼ばれる女性たちと付き合ってきたはずだ。それなのに、そんな男性がグループ会社の所謂電気屋と呼ばれる会社の社員と恋愛をしたい?
それも、美人でもなければスタイルがいい訳でもない。恋愛経験がない訳ではないが上手くいかない女と?だが恋が上手くいかなかったからといって失意に沈んだことはない。つまりその気になる前に終わっていることから深く傷ついたことはないが、そんな女で本当にいいのか?

「おい。牧野つくし。あの夜も思ったがお前は考えていることが口に出ていることがある。
だからその呟きについて答えるが、俺の立場は気にするな。他人がごちゃごちゃ何か言ったとしても、そんなものは風が吹いている程度に思え。それに俺は惚れた女を何かの矢面に立たせるつもりはない。何かあれば俺が守る。それから俺に暗い秘めた過去はない。まあ、あの夜も話した通り若い頃はやんちゃ坊主だったが今の俺はそんなことはない。とはいえ、さっきひとり男を殴ったが、あれは嫌がるお前を助けるためであり正当な行為だと思っている」

人には過去があるから今がある。それにつくしは終わったことを言ったところで何になると思う人間だ。
そしてつくしは追い込まれても尻尾を丸めて逃げる人間ではない。
だが今はひたすら守勢に回っていて男性からの交際の申し出をどうすればいいのか考えている。

「牧野つくし。今更何を躊躇う?俺たちは裸にこそならなかったがラブホテルで一夜を明かした仲だ。それもお前は俺の前でノーパンでいた。普通の神経の女ならいくら何もしないと言われても見知らぬ男の前で下着を脱いで洗いはしないだろうが、他人をいとも簡単に信じたお前が俺は好きだ」

洗って干していた下着を見られるという触れられたくないことに触れられ、ただでさえ熱い顏がさらに熱を持った。
だがそれは別として、今までこんな風に告白をされたことはなかった。
それにつくしも男性のことが気になっていた。だから自分の胸に言い聞かせた。男性がどんな立場にいる人間だとしても、男性が言った通り気にしなければいい。
そして自分の行動は自分が責任を持てばいい。それだけの年は重ねた大人の女だ。それに男性と付き合ってダメになったとしてもそれはそうなる運命だったと思えばいいだけの話だ。
だからつくしは息を深く吸い込んでから言った。

「いいわ。お付き合いします」

「そうか。それならこれから徐々に俺を知ってくれ」

そう答えた男性は、つくしの腰に大きな手を添え彼女の身体を引き寄せると唇を重ねた。





にほんブログ村 小説ブログ 二次小説へ
にほんブログ村
Comment:8
back-to-top